軽自動車に車検が無かった21年|いまも車検の要らない軽は?

1949年から現在までを横軸にした帯。1952年4月28日から1973年9月30日までが「検査制度なし 21年5か月」として点線で抜かれ、1952年4月28日に運輸省令第18号、1973年10月1日に法律第62号と添えられている図
写真: 型式ラボ編集部 (自作図版・全国軽自動車協会連合会「軽自動車の規格」自動車規格変遷表と、道路運送車両法・同施行規則をもとに編集部で作成)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラが目を丸くして両手を前に出して驚き、シキが書類の束を持って隣に立っている 軽自動車に車検が無かった時期があるんだ
シキが白紙の紙を1枚広げて真顔で話し、クラが腕を組んでそれを見ている 昭和27年から昭和48年まで、21年5か月
クラがマグカップを両手で持って考える顔をして、シキが腕を組んで隣に立っている 二輪の軽も、そのとき車検が戻ったの?
シキが書類を持ったまま片手を前に出して話し、クラがマグカップを持ってうなずいている 戻ったのは軽三・四輪だけいまも検査が要らない軽は3種類

軽自動車には、車検が無かった時期があります。昭和27年(1952年)4月28日から昭和48年(1973年)9月30日まで、21年5か月です。

全国軽自動車協会連合会が出している「自動車規格変遷表」は、長さと幅と排気量の年表として読まれる表です。ただ、軽三・四輪の欄には、寸法とも排気量とも関係のない行が2つ混ざっています。

施行日軽自動車三輪及四輪の欄省令公布日等改正の中身(表の記載どおり)
昭和27年4月28日検査・登録制度やめる昭和27年4月28日 運輸省令第18号 道路運送車両法施行規則の一部改正軽二、三、四輪自動車の検査、登録制度の廃止
昭和48年10月1日検査制度開始昭和47年6月12日 法律62号 道路運送車両法の一部改正軽三、四輪自動車に検査制度を設ける

出典:全国軽自動車協会連合会「軽自動車の規格」

クラ

21年5か月って、生まれた子が成人する長さだよね

シキ

昭和27年から昭和48年まで。表の軽三・四輪の欄で検査に触れているのは、この2行しかない

廃止したのは省令、復活させたのは法律

この表の省令公布日等の欄で法律が挙がるのは、昭和48年10月1日の1行だけです。ほかの改正は、内務省令か運輸省令です。

昭和27年の廃止は、運輸省令第18号による道路運送車両法施行規則の一部改正。昭和48年の復活は、昭和47年6月12日の法律第62号による道路運送車両法の一部改正です。

クラ

いま車検が要るかどうかは、法律と省令のどっちを見れば分かるの?

シキ

検査を受けろと書いているのは法律の第五十八条第一項。受けなくていい軽自動車を選び出しているのは、そこが中身を任せた省令のほう

廃止のときは軽二輪も一緒、検査制度が始まったのは軽三・四輪だけ

昭和27年の行は、軽三・四輪の欄と軽二輪の欄の両方に「検査・登録制度やめる」と入っています。改正の中身の欄も「軽二、三、四輪自動車の検査、登録制度の廃止」です。

昭和48年の行で「検査制度開始」が入っているのは軽三・四輪の欄だけで、軽二輪の欄は空のままです。改正の中身の欄も「軽三、四輪自動車に検査制度を設ける」と、二輪を外しています。

クラ

二輪の軽自動車って、いまも車検が無いまま?

シキ

無い。ただしそれは表の話ではなく、いまの条文がそう決めている

いま検査を受けなくてよい軽自動車は3種類

検査を受けるかどうかを決めているのは、道路運送車両法 第五十八条第一項です。

自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

(道路運送車両法 第五十八条第一項)

括弧の中で除いているのが「国土交通省令で定める軽自動車」です。その中身を書いているのは法律ではなく、道路運送車両法施行規則の第三十五条の二。号は3つしかありません。

第三十五条の二 法第五十八条第一項の国土交通省令で定める軽自動車は、次の各号に掲げる軽自動車とする。

一 二輪の軽自動車

二 カタピラ及びそりを有する軽自動車

三 被牽引自動車である軽自動車(第一号に掲げる軽自動車又は小型特殊自動車により牽引されるものに限る。)

(道路運送車両法施行規則 第三十五条の二)

第一号が、いわゆる軽二輪です。第二号は、カタピラとそりを持つもの。そして第三号には、括弧が付いています。

被牽引自動車はトレーラーのことです。軽自動車の大きさに収まるトレーラーでも、検査を受けなくてよいのは「第一号に掲げる軽自動車又は小型特殊自動車により牽引されるもの」に限られます。第一号は二輪の軽自動車ですから、牽く車がバイクか小型特殊自動車のときだけ、そのトレーラーは第三号に当たります。

乗用車や軽自動車で牽くなら、当たりません。当たらないとどう扱われるかは、新規検査の条が書いています。

登録を受けていない第四条に規定する自動車又は次条第一項の規定による車両番号の指定を受けていない検査対象外軽自動車以外の軽自動車(以下「検査対象軽自動車」という。)若しくは二輪の小型自動車を運行の用に供しようとするときは、当該自動車の使用者は、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう新規検査を受けなければならない。

(道路運送車両法 第五十九条第一項)

「検査対象外軽自動車以外の軽自動車」を検査対象軽自動車と呼ぶ、という定義がここに置かれています。3つのどれにも当たらない軽自動車は、全部この検査対象軽自動車です。

クラ

牽引免許のことばかり調べてた

シキ

第三号が限定しているのは牽く車だけで、重さは出てこない。重さの境目を決めているのは、この条文ではない

重さのほうの境目はキャンピングトレーラーの750kgにまとめてあります。

「検査対象外」でも、番号は要るし、臨時検査を受けることはある

検査を受けなくてよいことと、何も要らないことは別です。第九十七条の三第一項が、番号のほうを求めています。

検査対象外軽自動車は、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する地方運輸局長に届け出て、車両番号の指定を受けなければ、これを運行の用に供してはならない。

(道路運送車両法 第九十七条の三第一項)

届け出て番号をもらう手続きは施行規則の第六十三条の二にあり、その第三項が「当該届出に係る検査対象外軽自動車の車両番号を定め、軽自動車届出済証を交付することによつて行う」と書いています。自動車検査証の代わりに軽自動車届出済証が出る形です。次の第六十三条の三は、それを車に備え付けることを求めています。

臨時検査のほうは、名指しで対象に入っています。

国土交通大臣は、一定の範囲の自動車又は検査対象外軽自動車について、事故が著しく生じている等によりその構造、装置又は性能が保安基準に適合していないおそれがあると認めるときは、期間を定めて、これらの自動車又は検査対象外軽自動車について次項の規定による臨時検査を受けるべき旨を公示することができる。

(道路運送車両法 第六十三条第一項)

第五十八条第一項が「除く」と書いたこの軽自動車を、第六十三条第一項は「又は検査対象外軽自動車について」と足しています。同じ条の第五項と第六項には、臨時検査に合格したときの標章の交付と、それを表示する義務まで置かれています。

クラ

検査対象外って書いてあると、何もしなくていいように読めちゃう

シキ

無いのは、有効期間のある自動車検査証のほう。臨時検査は、第六十三条が検査対象外軽自動車を名指ししている

もうひとつ。軽自動車に「登録」はありません。登録を求める第四条が、括弧の中で軽自動車を除いています。第五十九条第一項が軽自動車について使っているのも「車両番号の指定」という語です。乗用車の登録とは別の手続きで、条文でも言葉が分けてあります。

現在の規格の4つの数字は、別表第一の1行にある

そもそも何が軽自動車なのかは、法律の第三条が省令で決めると書いています。

この法律に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車の別は、自動車の大きさ及び構造並びに原動機の種類及び総排気量又は定格出力を基準として国土交通省令で定める。

(道路運送車両法 第三条)

受けているのが施行規則の第二条で、一文だけです。「法第三条の普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車の別は、別表第一に定めるところによる」。

この別表で、軽自動車のひとつ前に置かれているのが小型自動車の行です(5ナンバーと3ナンバーの分かれ目)。軽自動車の欄には、行が2つあります。

軽自動車の行総排気量長さ幅高さ
二輪自動車以外〇・六六〇リットル以下三・四〇メートル以下一・四八メートル以下二・〇〇メートル以下
二輪自動車〇・二五〇リットル以下二・五〇メートル以下一・三〇メートル以下二・〇〇メートル以下

出典:道路運送車両法施行規則 別表第一(第二条関係)

上の行が、軽トラも軽バンも軽乗用も入る行です。3.40m・1.48m・2.00m・0.660L。4つとも「以下」で、実車の寸法ではなく上限です。下の行が第三十五条の二第一号の「二輪の軽自動車」で、250ccまでのバイクがここに入ります。

3.40mと1.48mが、いつどれだけ広がってこの数字になったかは軽自動車の旧規格はいつまで?が扱っています。

クラ

なら、候補の軽が上限まで何mm残してるかは、この表を見ても分からない

シキ

表にあるのは上限だけ。実寸はその車の諸元表を見る

残りが5mmという車もあります。ホンダ ビートの全長がそれです。

第三十五条の二で迷うのは第三号だけ、決め手は牽く車にある

中古で軽を探すとき、その車に自動車検査証が付くかどうかを決めるのは、年式でも大きさでもありません。第三十五条の二の3つに当たるかどうかだけです。

自分で走る四輪の軽自動車は、どれにも当たりません。軽トラも軽バンも軽乗用も、まとめて検査対象軽自動車です。

四輪の軽どうしを比べるとき、この区分は使えません。全部が検査対象軽自動車に入るからです。差が出るのは実際の寸法のほうで、荷台の寸法を並べたハイゼット トラックとキャリイや、4WDで全高が30mm上がるデリカミニが、寸法で比べた記事になります。

残るのが第三号です。決め手はトレーラー側ではなく牽引車で、これを乗用車や軽自動車にした時点で、トレーラーに自動車検査証が要ることになる。先に決まるのは牽く車です。トレーラーを見に行く前に、そちらを固めておく順番になります。

制度の記述は執筆時点(2026年9月7日)の情報です。