ホンダ ビート|当時の軽規格の上限まであと何mmか?

黄色いホンダ ビート(型式E-PP1)を斜め前から見た外観。ソフトトップを閉じている
写真: Guyon from Richmond, VA, United States of America / Wikimedia Commons ( CC BY 2.0 ・縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラが小さな2人乗りオープンカーのミニカーを手のひらに載せて眺め、シキが書類を持って隣に立っている いまの軽より小さいの?
シキが定規でミニカーの全長を測り、クラがしゃがんでのぞき込んでいる 全長3,295mm。当時の上限3,300mmより5mm短いぎりぎりだ
クラが両手を広げて驚き、シキは表情を変えずに書類を見ている 客室内の長さは915mmS2000より長いの!?
シキが人差し指を立てて説明し、クラが納得してうなずいている 定員2名と客室915mmは変わらない値段から見るところだった
クラ

ビートって、いまの軽より小さいんだよね? 並んでるところを見たことがある

シキ

全長3,295mm、全幅1,395mmで、いまの軽の規格の上限より長さで105mm、幅で85mm小さい。ただ、発表された当時の規格で見ると、長さも幅も上限まで5mmしかない

クラ

5mm。その大きさの中で、人が座る場所はどのくらいあるの?

ホンダ ビート(型式E-PP1)の主要諸元表で、客室内の長さは915mmです。Hondaの2人乗りで全長が840mm長いS2000は、この欄が800mmです。幅と高さはS2000より小さく、荷室の欄は主要諸元表にありません。

数値と装備は、Hondaが公式サイトで公開している過去の車種のアーカイブにある、1996年現在の主要諸元と主要装備のものです。

長さも幅も、発表当時の軽規格の上限まで5mm

ビートの発表は1991年5月です。そのとき適用されていた軽自動車の規格は、1990年1月1日に施行されたものです。

ビート(E-PP1)1990年1月1日施行の規格現行の規格
全長3,295mm3,300mm3,400mm
全幅1,395mm1,400mm1,480mm
総排気量656cc660cc660cc

表の規格の数値は、いずれも上限です(全国軽自動車協会連合会「軽自動車の規格」)。ビートは長さで5mm、幅で5mm、排気量で4cc、上限より小さい値です。

1990年1月の規格は、平成元年2月10日の運輸省令第4号で、長さの上限を3.20mから3.30mへ、排気量の上限を0.550ℓから0.660ℓへ引き上げたものです。幅の1.40mはこのとき書き換えられておらず、1976年1月施行の値がそのまま使われていました。いまの3.40m×1.48mになったのは平成8年9月30日の運輸省令第53号で、施行は1998年10月1日です。

Hondaはビートを「1996年終了モデル」としているので、発表から終了まで、当てはまる規格の上限は長さ3.30m・幅1.40mのままでした。

クラ

じゃあ、いまの軽の隣に停めたら、どう見える?

シキ

軽ハイトワゴンは、長さも幅もいまの規格の上限に近い寸法でそろっている。隣に停めると、さっきの105mmと85mmに近い差がそのまま見えることになる。ただ、先に目が行くのは全高だと思う。ビートは1,175mmで、軽の規格にある高さの上限2.00mの6割に届かない

軽ハイトワゴン4車の全長と全幅は、軽ハイトワゴン4車で車中泊の記事に並べてあります。

黄色いホンダ ビート(E-PP1)を右側面から見た外観。ソフトトップを閉じた状態で、道路脇に停車している
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

客室内の長さ915mmは、S2000より115mm長い

主要諸元表には「客室内寸法(m)」という欄があり、長さ0.915・幅1.215・高さ1.015と入っています。長さの915mmは、全長3,295mmの3割に届きません。

915mmだけを読むと短く見えます。ところが、全長4,135mmのS2000は、Hondaの主要諸元表の同じ欄で長さが800mmです。

ビート(E-PP1)S2000(2001年8月終了モデル)
全長3,295mm4,135mm
ホイールベース2,280mm2,400mm
客室内 長さ915mm800mm
客室内 幅1,215mm1,325mm
客室内 高さ1,015mm1,055mm
車両重量760kg1,240kg/1,260kg
乗車定員2名2名
最小回転半径4.6m5.4m

全長が840mm短いビートのほうが、客室内の長さは115mm長くなっています。 幅は110mm、高さは40mm、S2000のほうが大きい値です。2人が座る空間は、前後にはS2000より長く、左右と上下にはS2000より小さい、という数字です。

クラ

でも、客室が長いからって足元が広いとは言い切れないよね。どこからどこまでを測った長さなの?

シキ

測り方は主要諸元表に書かれていない。注記にあるのは、道路運送車両法による型式指定の申請書の数値だということまでで、S2000の表も同じ。だから言えるのは、同じ欄どうしで比べるとビートのほうが115mm大きい、というところまでになる

クラ

じゃあ、狭いかどうかを数字で見るなら、幅と高さのほうか

シキ

幅は1,215mm、高さは1,015mmで、ここに2人が並んで座る

クラ

背の高い人は、屋根を閉めた状態で座ってみないと決められないね

S2000はAP1とAP2で型式が分かれますが、ビートの型式はE-PP1の1つです。ホイールベースは2,280mmで、前輪の中心より前と後輪の中心より後ろに出ている長さ(前後のオーバーハング)は、合計1,015mmです。エンジン搭載位置と駆動輪の欄は「ミッドシップ/後輪」で、後輪を駆動する車です。

主要諸元表に荷室の欄はなく、主要装備一覧に収納が3つある

1996年現在の主要装備一覧で、物をしまう場所として名前が載っているのは、キー付ドキュメントボックス、アシスタントボックス、リアコンソールボックス(カセットホルダー付)の3つです。どれも、寸法や容量は書かれていません。

クラ

収納が3つか。買い物袋はどこに載せるの?

シキ

荷物を置く場所の寸法は、主要諸元表にも主要装備一覧にも載っていない。3つの収納に入らない物は、実車で置き場を確かめることになる

クラ

だったら、家の車がこれ1台なら、買い物袋を置く場所を実車で確かめてからでないと決められないね

黄色いホンダ ビート(E-PP1)を斜め後ろから見た外観。左右のテールランプのあいだにホンダのHマークがあり、バンパーには横向きのスリットが並ぶ
写真: Guyon from Richmond, VA, United States of America — Wikimedia Commons(CC BY 2.0・縮小)

タイヤは前後でサイズが違い、外径に約22mmの差がある

タイヤは前が155/65R13 73H、後ろが165/60R14 74Hです。主要装備一覧にも「前後異径スチールラジアルタイヤ」として同じサイズが載っていて、スチールホイールは前が13×4 1/2J、後ろが14×5Jです。

扁平率は前が65、後ろが60なので、この数字だけを読むと、前のほうがサイドウォール(タイヤの側面)が高そうに見えます。サイズから計算すると、サイドウォールの高さは前が約101mm、後ろが99mmで、差は2mm弱です。

前後で大きく違うのは外径です。リムが13インチと14インチで1インチ違うため、外径の計算値は前が約532mm、後ろが約554mmになり、差は約22mmです。

サイズが前後で違うと、買い替えのときの手配が変わります。4本を同じサイズでまとめて買うことができず、前2本と後ろ2本を別々のサイズでそろえます。前後を入れ替えるローテーションもできません。

最大トルクが出るのは7,000rpm、最高出力は8,100rpm

エンジンの型式はE07Aで、水冷直列3気筒横置の656cc、燃料は無鉛レギュラーガソリンです。内径×行程は66.0×64.0mm、圧縮比は10.0です。

最高出力は64PS、最大トルクは6.1kgmです。最大トルクが出るのは7,000rpm、最高出力が出るのは8,100rpmで、2つの回転数は1,100rpmしか違いません。主要諸元表の数字で見るかぎり、最大トルクも最高出力も、7,000rpm以上の高い回転数で出るエンジンです。どちらもネット値で、Hondaのページには「同じエンジンで測定した場合『ネット』は『グロス』よりも約10%程度低い値(自工会調べ)」という注記があります。

燃料消費率は2つ載っています。10モード走行が17.2km/L、60km/h定地走行が27.0km/Lで、同じ車の数字に1.6倍近い差があります。

クラ

定地って、ずっと同じ速度で走るやつだよね

シキ

そう。27.0km/Lは運輸省届出値、17.2km/Lは運輸省審査値で、数字の種類が違う。片方だけをビートの燃費として覚えると、もう片方を見たときに食い違う

クラ

中古車の紹介文に燃費が書いてあったら、どっちの数字なのかを先に見ないとね

変速機は5速マニュアルで、変速比は1速が3.428、5速が0.941、減速比は5.714です。後退は4.300です。

サスペンションは前後ともマクファーソン式です。スタビライザーは前だけで、形式はトーション・バー式です。ブレーキは前後とも油圧式ディスクで、真空倍力式の制動倍力装置が付きます。初速50km/hからの制動停止距離は13.0mと載っています。

最小回転半径は4.6mで、S2000の5.4mより0.8m小さい値です。同じ道幅でUターンするなら、切り返しの回数はビートのほうが少なく済むと考えられます。

ホンダ ビートの運転席まわり。右ハンドルで、ステアリングの奥に丸型メーターが並び、センターにエアコンの操作部とフロアから立つシフトレバーがある。座面には柄物のシートカバーが掛かっている
写真: dave_7 — Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0・縮小)

1996年現在の主要装備一覧にある装備と、記載のない装備

Hondaのアーカイブにある主要装備は、グレードの列を持たない1本の一覧です。どのタイプに何が付くかは、この一覧からは読めません。

一覧には、エアコンディショナー(マニュアル)、パワーウインドウ、独立3眼メーター(トリップメーター付)、バケットシート(ヘッドレスト一体式)、ソフトトップ(折りたたみ式)、4輪ディスクブレーキ(サーボ付)などが載っています。ガラスはフロントが合わせガラス、サイドが強化ガラスです。

パワーステアリングは、主要諸元表にも主要装備一覧にも記載がありません。かじ取り装置形式の欄は「ラック・ピニオン式」です。遮音・吸音・断熱にあたる項目も、この2つの資料にはありません。

シートは、一覧に「バケットシート(ヘッドレスト一体式)」と載っています。表皮の素材も、シートリフターやランバーサポートといった調整機構も、一覧には出てきません。座る空間の広さを数字で見るなら、主要諸元表の客室内寸法にある幅1,215mmと高さ1,015mmが手がかりになります。

中古で個体を見るときに確かめたいことは、一覧の注記に3つ書かれています。

  • SRSエアバッグシステム(運転席用)には「※1:TYPE II、装備車を設定。」という注記が付く
  • フェンダーミラー(ブラック)を選ぶ場合は速度警報装置とセット装着になり、そのときSRSエアバッグシステムは装着できない
  • SRSエアバッグシステム装備車のステアリングホイールは、小径3本スポークではなく小径4本スポークになる

「装備車を設定」という書き方なので、SRSエアバッグシステムには、付いた仕様と付いていない仕様があると読めます。

クラ

エアバッグが付いているかどうかは、実車のどこを見れば分かるの?

シキ

注記どおりなら、ステアリングホイールのスポークが4本ならSRSエアバッグシステム装備車、3本なら付いていない仕様になる。フェンダーミラーの個体も、注記のうえではエアバッグを装着できない組み合わせにあたる

クラ

でも古い車だよ。ハンドルやミラーを替えてある個体だと、その見分け方は当てにならないんじゃない?

シキ

注記が示すのは新車のときの組み合わせで、あとから替えてあるかどうかは書かれていない。いまの状態は現車を見て、販売店にも聞いて確かめることになる

Honda自身も、主要装備のページの末尾に「年式により諸元、装備仕様が異なる場合があります。中古車をご購入の際には装備仕様を必ずお確かめください」と書いています。

買取相場は34.7万円から120.6万円(2026年9月更新)

カーセンサーの買取相場ページ(2026年9月更新)では、ビートの買取相場額が34.7万円〜120.6万円と出ています。

グレード買取相場新車価格年式排気量型式
66034.7万円〜120.6万円138.8万円(税抜)平成3(1991)年05月〜660ccE-PP1

新車価格は税抜の表記で、年式は1991年5月からの1行にまとまっています。買取相場は上限が下限の約3.5倍で、E-PP1という1つの型式のなかにこれだけの幅があります。手放す1台の買取額が約35万円から約121万円のあいだのいくらになるかは、この表からは分かりません。

クラ

これは、ビートを買うときの値段じゃないよね

シキ

買取の相場で、店頭の販売価格とは別の数字になる。いまビートに乗っている人が、手放すときの目安に使う

数値は執筆時点(2026年10月11日)のもので、相場は更新されます。買取・売却を検討する際は、最新のページと実際の査定で確かめてください。

先に決めるのは何台目の車にするか、次にタイヤ、装備は現車で確かめる

ビートを探しはじめる前に決めておくのは、これを何台目の車にするかです。乗車定員は2名で、買ったあとに増やすことはできません。3人目を乗せる日があるなら、その日に使う車が別に要ります。荷物をどれだけ載せられるかは主要諸元表から読めないので、積みたい物が決まっているなら実車で確かめることになります。

次に見積もっておくのが、タイヤを交換するときの費用です。前155/65R13と後165/60R14という組み合わせのまま乗るかぎり、外径が約22mm違う2種類のサイズを、交換のたびに2本ずつ手配します。

装備は、現車の前で確かめる項目です。SRSエアバッグシステムもフェンダーミラーも、一覧の注記に条件が書かれているだけなので、その個体がどちらの仕様かは実車で見て確かめます。価格を比べるのは、この3つのあとです。

クラ

順番、逆にするところだった。値段から見ちゃう

シキ

値段は相場の更新で変わる。定員2名と客室内の長さ915mmは変わらない

クラ

でも欲しくなるきっかけは、いまの軽の規格の上限より長さで105mm、幅で85mm小さいっていう寸法のほうだと思うよ

シキ

それでいいと思う。欲しくなる理由が寸法でも、買う前に確かめる順番は変えなくていい

実際に乗っている人の評価は、みんカラのビートのレビューで読めます。