S2000 AP1とAP2の違い|排気量が増えて最高出力はどうなった?

黒いホンダ S2000(AP1)をオープンの状態で斜め前から見た外観
写真: OWS Photography / Wikimedia Commons ( CC BY 4.0 ・縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をパーカーのポケットに入れて、口を開けてシキに問いかけている。シキは白紙を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔でクラを見ている AP2は2.2Lに増えたんだから、最高出力も上がったんでしょ?
シキが白紙を1枚、片手でクラのほうへ向けて見せながら、落ち着いた表情で話している。クラは白いマグカップを両手で持ち、目を丸くして口を小さく開けている 159cc増えたのに、最高出力は250PSから242PSに下がった
クラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をポケットに入れて、口を大きく開けてシキに話しかけている。シキは白紙の束を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔で聞いている じゃあ、17インチになったのもAP2から?17インチはAP1の2003年10月から。リアの足まわりもそこで見直された
シキが白紙を片腕で胸に抱え、眉を下げて目を閉じている。クラは白いマグカップを片手に持ち、眉を下げて困ったような表情でシキのほうを見ている type VとType S、同じモデルの中で選べた時期はある?ない。type Vは2007年9月まで、Type Sは2007年10月から

S2000のエンジンは、2005年11月に2.0LのF20Cから2.2LのF22Cへ替わりました。ここからの型式がAP2です。排気量は159cc増えたのに、最高出力は184kW〔250PS〕から178kW〔242PS〕へ、8PS下がっています。

「排気量が大きいAP2のほうが、力もあるはず」と考えたくなるところですが、最高出力と最大トルクの数値の違いは8PS減・3N・m増と小さく、はっきり違うのは、それぞれが出る回転数です。全長も全幅もホイールベースもトレッドも、サスペンションの形式も、AP1とAP2で同じです。

中古のS2000を探すときに見落とされやすいのは、17インチになった時期です。タイヤが16インチから17インチに替わったのは2003年10月で、型式はまだAP1です。Hondaはこのとき、リアサスペンションの設計も見直しています。

S2000の10年は、5つの期に分かれる

Hondaの公式アーカイブは、1999年5月から2009年6月までの諸元を5つの期に分けて載せています。

期間型式エンジン最高出力最大トルクタイヤ(前/後)車両重量同時に選べたタイプ
1999.05〜2001.08LA-AP1F20C 1,997cc184kW〔250PS〕/8,300rpm218N・m/7,500rpm205/55R16/225/50R161,240kgtype V(2000年7月から)
2001.09〜2003.09LA-AP1F20C 1,997cc184kW〔250PS〕/8,300rpm218N・m/7,500rpm205/55R16/225/50R161,240kgtype V
2003.10〜2005.10ABA-AP1F20C 1,997cc184kW〔250PS〕/8,300rpm218N・m/7,500rpm215/45R17/245/40R171,250kgtype V
2005.11〜2007.09ABA-AP2F22C 2,156cc178kW〔242PS〕/7,800rpm221N・m/6,500〜7,500rpm215/45R17/245/40R171,250kgtype V
2007.10〜2009.06ABA-AP2F22C 2,156cc178kW〔242PS〕/7,800rpm221N・m/6,500〜7,500rpm215/45R17/245/40R171,250kgType S

車両重量は標準タイプのものです。型式はその期の終了時点のもので、先頭に付くLAは平成12年規制に加えて排出ガス50%低減レベルに適合した車、ABAは平成17年規制の車を指す記号です。

標準タイプの諸元は、2003年10月にタイヤと車両重量、客室内の幅、ハンドルの回転数が変わり、2005年11月にエンジンと変速比・減速比、燃費が変わりました。

2007年10月は、諸元表の数字こそ前の期と同じですが、装備が変わっています。type VがType Sに替わり、VSA(車両挙動安定化制御システム)が標準装備になりました。VSAは、ブレーキ時の車輪のロック、加速時の空転、旋回時の横すべりをまとめて制御する装置です。

F22Cは、最大トルクを1,000rpmの幅で出す

17インチとtype Vが共通する2期、2003年10月〜2005年10月のAP1と2005年11月〜2007年9月のAP2では、エンジンと変速比・減速比、燃費の諸元が次のように違います。

項目AP1後期(2003.10〜2005.10)AP2(2005.11〜2007.09)
エンジン型式F20CF22C
総排気量1,997cc2,156cc
内径×行程87.0×84.0mm87.0×90.7mm
圧縮比11.711.1
最高出力184kW〔250PS〕/8,300rpm178kW〔242PS〕/7,800rpm
最大トルク218N・m〔22.2kg・m〕/7,500rpm221N・m〔22.5kg・m〕/6,500〜7,500rpm
5速の変速比0.9700.942
6速の変速比0.8100.763
減速比(1次)1.1601.208
10・15モード燃費12.0km/L11.0km/L

159cc増えたのは、ピストンが上下する距離(行程)を長くしたためです。シリンダーの内径は87.0mmのままで、行程が84.0mmから90.7mmへ伸びました。圧縮比は11.7から11.1になりました。

最大トルクの数字は218N・mから221N・mへ、3N・m増えただけです。F20Cは最大トルクを7,500rpmという1つの回転数で出し、F22Cは6,500〜7,500rpmの1,000rpmの範囲で出します。HondaもF22Cの解説で、「ワイドなトルクバンド」を挙げています。

F20Cはレブリミットが9,000rpmで、最高出力が出る8,300rpmから、さらに700rpm回ります。F22Cは最高出力が出る回転数が7,800rpmで、F20Cより500rpm低くなりました。

1〜4速の変速比は同じでも、同じ速度でのエンジン回転数は4%高い

1速3.133、2速2.045、3速1.481、4速1.161、後退2.800の変速比と、2次減速比の4.100は、AP1とAP2で同じ数字です。

違うのは1次減速比で、1.160から1.208になっています。このため、同じギア・同じ速度で走ったときのエンジン回転数は、1速から4速までどのギアでもAP2のほうが4%ほど高くなります。5速と6速は変速比を小さくして差を縮めていて、5速ではAP2のほうが1%ほど高いだけになり、6速ではAP2のほうが逆に2%ほど低くなります。

クラ

うちは帰省で高速道路を走ることが多いんだけど、AP2だと、巡航中もエンジンの回転が高くなるの?

シキ

6速で時速100kmなら、タイヤの外径から概算して、AP1もAP2も3,200rpm前後になる

クラ

じゃあ、回転数に差が出るのは、街中で1速から4速を使っているときなんだ

シキ

回転数ならそう。その4%が運転してどう感じられるかまでは、諸元表からは言えない

回転の上がり方をどう感じるかといった、実際に乗っている人の評価は、みんカラのS2000のレビューで読めます。

車両重量は、エンジンが替わっても1,250kgのままです。10・15モード燃費は12.0km/Lから11.0km/Lになりました。燃料タンクは50Lのままなので、満タンからカタログ上で走れる距離は600kmから550kmに縮みます。10・15モードは当時の測定方法で、いまのWLTCモードの数値とは並べて比べられません。

赤いホンダ S2000(AP2)をソフトトップを閉じた状態で真横から見た外観
写真: Noah Wulf — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

4,135×1,750×1,285mmは10年変わらなかった

寸法のうち、5期のあいだに変わったのは客室内の幅だけです。

項目5期を通じた値
全長×全幅×全高4,135×1,750×1,285mm
ホイールベース2,400mm
トレッド(前/後)1,470/1,510mm
最低地上高130mm
乗車定員2名
客室内 長さ・高さ800mm・1,055mm
燃料タンク50L(無鉛プレミアム)
最小回転半径5.4m
サスペンション(前/後)ダブルウイッシュボーン式
スタビライザー(前/後)トーション・バー式
ブレーキ(前/後)ベンチレーテッドディスク/ディスク

サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーン式で、左右の車輪が別々に動く形式です。トレッド(左右の車輪の間隔)は後ろのほうが前より40mm広くなっています。

荷室について、Hondaの主な装備の解説は「大人2名、1泊程度の旅行を想定して」荷物スペースを確保したと説明しています。センターコンソールボックスには脱着式の灰皿をセットできるカップホルダーが付き、助手席の足元には収納ネットがあります。2人で乗り、2人ぶんの荷物を積む前提の車です。

17インチ化と足まわりの見直しは、AP1の2003年10月

「17インチならAP2」と考えて探すと、2003年10月〜2005年10月のAP1が候補から外れてしまいます。タイヤが前205/55R16・後225/50R16から、前215/45R17・後245/40R17に替わったのは2003年10月です。

サイドウォールの高さは、前後とも15mmほど低くなりました。サイドウォールが低くなったぶん、路面の細かい凹凸はタイヤで吸収されにくくなります。

Hondaの説明によると、同じ2003年10月には、リアサスペンションのジオメトリー(アームの取り付け位置や角度)が見直され、スプリング、ダンパー、スタビライザーが新しく設計されています。ボディ剛性も強化されました。段差を越えたときの衝撃の伝わり方に関わるタイヤと足まわりは、AP2になる2005年11月より前、AP1の2003年10月にまとめて変わっています。

この期ではほかに、客室内の幅が1,325mmから1,350mmへ25mm広がり、ハンドルを端から端まで回す回転数は2.4回転から2.6回転に、車両重量は1,240kgから1,250kgになりました。

クラ

2003年10月より後のAP1を買って、タイヤだけ16インチに替えたら、前の期と同じ車になる?

シキ

ならない。2003年10月からは、スプリングもダンパーもスタビライザーも新しく設計したものが付いている

type Vは2007年9月まで、Type Sは2007年10月から

type Vに付くVGS(車速応動可変ギアレシオステアリング)は、車速と舵角に応じてステアリングのギア比が変わる仕組みです。違いが数字に出ているのは諸元表のハンドル最大回転数で、2003年10月以降の標準タイプの2.6回転に対して、type Vは1.4回転です。ハンドルを端から端まで回す量が、半分ほどで済みます。Hondaの2003年10月発表のモデルの解説では、メインスプリング、フロントスタビライザー、トルセン方式のLSDもtype V専用の部品とされています。トルセン方式のLSDそのものは、標準タイプにも付いています。

HondaがType Sの解説で挙げているのは、前後の大型スポイラーとストレーキ、前後のダンパー・スプリング・スタビライザーの強化、専用パッドと専用ファブリックでホールド感を高めたシート、球状のシフトノブです。スペアタイヤとジャッキを積まず、応急パンク修理キットにしています。ただ、諸元表の車両重量はもともとスペアタイヤを含まない値なので、スペアタイヤを降ろしたぶんの軽さは表の数字には出ません。諸元表ではType Sが1,260kg、標準タイプが1,250kgで、Type Sのほうが10kg重くなっています。

2009年6月終了モデルのカタログに載っている新車価格は、S2000が約386万円、Type Sが399万円(いずれも消費税込み、リサイクル料金は別途)で、差は約13万円です。

クラ

中古で、本革シートのType Sを見つけたんだけど

シキ

メーカーオプションの本革シート&インテリアを選ぶと、シートとドアライニングは標準タイプの本革と同じものになる。専用パッドと専用ファブリックのシートではない

クラ

ホールド感を取るか、本革を取るか……。そこは座り比べてから決めることになりそう

買取相場の差は、グレードより走行距離のほうが大きい

カーセンサーの平均買取相場額は175.5万円〜281.1万円です(2026年9月更新)。グレード別では、2.2と2.0が次のように並びます。

グレード買取相場
2.2 タイプS277.9万円〜442.8万円
2.2229.4万円〜414.2万円
2.0186.3万円〜341.1万円

走行距離帯別の相場も出ています。

走行距離買取相場
10,001〜20,000km297.1万円〜409万円
50,001〜60,000km228.2万円〜332.7万円
100,001〜110,000km162.6万円〜253.1万円
150,001km以上122.2万円〜208.5万円

下限で比べると、走行距離帯どうしの差は2倍を超え、グレードどうしの差(約1.5倍)より大きくなっています。

ここに出ているのは買取相場で、中古車として店頭に並ぶ小売価格ではありません。

中古で探すなら、タイプ、2003年10月の前か後か、エンジンの順に決める

最初に決めるのは、どのタイプを探すかです。type Vは2000年7月から2007年9月終了モデルまで、Type Sは2007年10月からの設定です。VSAが標準装備になったのも2007年10月からです。タイプを決めると、探す年式の範囲も決まります。

次が、17インチのタイヤと見直されたリアの足まわりが付いた2003年10月以降かどうかです。2003年10月以降に絞るなら、その中でAP1(2005年10月まで)かAP2か、つまりF20CかF22Cかを決めます。エンジンは載せ替えでもしないかぎり替えられません。

走行距離は最後です。買取相場ではグレードより大きな差が出ますが、予算に合わせて探す範囲を決めるためのもので、エンジンや足まわりを決めるものではありません。

※価格・相場は執筆時点の情報です。実際の査定額は状態・走行距離・時期・業者・地域で変わります。