型式の頭の記号 E-・DBA-・6AA-|何が読み取れる?

左がトヨタ スプリンタートレノ GT APEX(型式 E-AE86)、右が日産 シルビア spec R b package(型式 GF-S15)の外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・2枚を左右に並置しトリミング・縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラがスマートフォンを見ながら首をかしげ、シキが書類の束を持っている 6AA-って何の記号?
シキが3つの枠が並ぶ図解の真ん中を指し示し、クラが興味深そうに見る 真ん中がAならハイブリッド1文字で分かるんだ
クラが嬉しそうに両手を打ち合わせ、シキが書類を開いている 乗用車で数字始まりなら平成30年規制
シキが指を1本立てて締めくくり、クラがマグカップ片手に納得の笑顔 3文字なら、まず真ん中の1文字それなら覚えられる!

中古車情報の型式欄には、「E-AE86」や「6AA-ZWR90W」のように、ハイフンの前に短い記号が付いています。ハイフンより後ろはメーカーが決める型式で、手前は国土交通省が定めている識別記号です。そのクルマがどの排出ガス規制に適合しているか、低排出ガス車の認定を受けているか、燃料は何か、ハイブリッドかどうか、用途の区分は何かを、この1〜3文字が表しています。

クラ

うちは夫婦2人で、年式の古い中古車を1台探してるところ。掲載ページを見てると『GF-』のクルマもあれば『DBA-』のクルマもあって、何が違うのか分からないまま眺めてた

シキ

先に文字数を数えてください。3文字なら平成17年規制以降の記号、1〜2文字ならそれより前の記号で、読み方の表が別になります。DBA- は3文字のほう、GF- は2文字のほうです

3文字の記号は、真ん中の1文字から見る

平成17年規制以降の識別記号は3桁です。1桁目が排出ガス規制の年と低排出ガス車の認定、2桁目が燃料とハイブリッドの有無、3桁目が用途と重量の区分を表します。

識別記号の3桁構造。1桁目は規制年と低排出ガス認定、2桁目は燃料とハイブリッドの有無、3桁目は用途・重量条件

3つのうち最初に見るのは2桁目です。A ならガソリン(または LPG)のハイブリッド車、B ならハイブリッドではないガソリン車です。

記号燃料ハイブリッド
Aガソリン・LPG有
Bガソリン・LPG無
C軽油有
D軽油無
ECNG有
FCNG無
Gメタノール有
Hメタノール無
Lガソリン・電気/LPG・電気有
M軽油・電気有
Yその他有
Zその他無

2桁目から見るのは、車名やグレード名からは分からないことが、ここで分かるからです。VW ゴルフの eTSI は 3AA-、メルセデス GLA 180 は 4AA- で始まります。どちらも名前に「ハイブリッド」とは入っていませんが、2桁目は A です。

クラ

48Vのマイルドハイブリッドって、制度上はハイブリッドに入るの?

シキ

識別記号では入ります。ゴルフ eTSI の2桁目の A は、表でいうと『ガソリン・LPG、ハイブリッド有』です。メルセデス GLC 220 d は 3CA- で、C は『軽油、ハイブリッド有』。ディーゼルに ISG(Integrated Starter Generator)を組み合わせたクルマが、この区分に入っています

クラ

掲載ページに型式が書いてあれば、販売店に聞く前に自分で確かめられるね。A だったら、モーターの出力まで分かる?

シキ

2桁目で分かるのは、燃料の種類とハイブリッドの有無までです。電動機の定格出力は、識別記号ではなく諸元表に書かれています

ゴルフ eTSI の装備はVWゴルフのグレードの違い、GLC 220 d の電動機はメルセデス GLA・GLB・GLCの年式で扱っています。

1桁目が Z の記号だけは、2桁目と3桁目の読み方が別です。Z は排出ガス規制の適用を受けない自動車に付き、このときの2桁目は A が電気、B が燃料電池、3桁目は A が乗用車、B が貨物を表します。「ZAA-」で始まる型式は、電気自動車の乗用車です。

1桁目は、適合した規制の年と認定のレベルを表す

規制年認定なし25%低減50%低減75%低減
平成17年規制A—CD
平成19年規制E—GH
平成20年規制K———
平成21年規制L/F—MR
平成22年規制S———
平成23年規制U———
平成24年規制W———
平成25年規制X———
平成26年規制Y———
平成28年規制2———
平成30年規制3/7456
平成32年規制8———
令和6年規制9———

この表には、二輪車や特殊自動車、重量車などに適用される規制も並んでいます。平成28年規制の「2」は、対象がディーゼル重量車と二輪車です。乗用車に数字の記号が付くのは、平成30年規制の 3〜7 からです。

乗用車の型式が数字で始まっていれば、平成30年(2018年)規制に適合したクルマです。3 は認定なし、4 は25%低減、5 は50%低減、6 は75%低減を表します。7 も認定なしの記号で、国土交通省の表では「無(排出ガスの上限値規制)」と書かれ、注記で対象が「PHP車」とされています。PHP は輸入自動車特別取扱制度のことで、輸入台数の少ない自動車のために設けられた認証制度です。

クラ

行が多いね。乗用車を探してるうちが見るのは、どの行?

シキ

国土交通省の表の注記で乗用車が対象に入っているのは、平成17年、平成21年、平成30年の3つの規制です。乗用車で1桁目が Z 以外のアルファベットなら、前の2つのどちらかになります

クラ

うちが見てる DBA- は、D だから平成17年規制で75%低減の行だね

3桁目は用途の区分で、末尾 D は貨物・乗合の軽自動車

3桁目は、用途と重量の区分です。乗用車と貨物・乗合とで、使う記号が分かれています。下の表では、二輪車や原動機付自転車、特殊自動車の記号を省いています。

記号用途区分
A乗用車平成17年規制のディーゼル車以外
B乗用車平成17年規制のディーゼル車(車両重量1,265kg以下)
C乗用車平成17年規制のディーゼル車(車両重量1,265kg超)
D貨物・乗合軽自動車
E貨物・乗合車両総重量1.7トン以下
F貨物・乗合車両総重量1.7トン超、3.5トン以下
G貨物・乗合車両総重量3.5トン超
Y超小型モビリティ貨物自動車
Z超小型モビリティ乗用車

見落とされやすいのは、D の「軽自動車」が貨物・乗合の区分に置かれていることです。ダイハツ ハイゼットカーゴの 3BD-S700V、スズキ エブリイの 3BD-DA18V は、どちらも末尾が D です。一方、軽の乗用車は乗用車の区分に入るので、末尾は D になりません。ホンダ N-BOX の型式は 5BA-JF5 と 5BA-JF6 で、どちらも末尾は A です。

クラ

末尾が A なら普通車、って読もうとしてた。軽かどうかは、末尾の文字からは分からないんだ

シキ

末尾が D なら、貨物・乗合の軽自動車だと言えます。末尾が A のときに分かるのは乗用車だということまでで、軽かどうかは3桁目からは分かりません

1桁目から3桁目まで読むと、トヨタ ノアのハイブリッド車の 6AA-ZWR90W は次のようになります。

桁記号意味
1桁目6平成30年規制に適合+排出ガス75%低減レベルの認定
2桁目Aガソリン・LPG でハイブリッド有
3桁目A乗用車で、平成17年規制のディーゼル車以外

国産車と輸入車の型式を、同じ規則で並べます。

型式車種読み方
6AA-ZWR90Wトヨタ ノア/ヴォクシー HV平成30年規制・75%低減/ガソリンHV/乗用車
6BA-MZRA90Wトヨタ ノア 2.0ガソリン平成30年規制・75%低減/ガソリン非HV
3BA-ZRR85Wトヨタ ヴォクシー(先代・2.0)平成30年規制・認定なし/ガソリン非HV
6AA-MXPJ10トヨタ ヤリスクロス HV平成30年規制・75%低減/ガソリンHV
5BA-MXPB10トヨタ ヤリスクロス ガソリン平成30年規制・50%低減/ガソリン非HV
3BD-S700Vダイハツ ハイゼットカーゴ平成30年規制・認定なし/ガソリン非HV/貨物・乗合の軽自動車
3BD-DA18Vスズキ エブリイ同上
3AA-CDDXDVW ゴルフ eTSI平成30年規制・認定なし/ガソリンHV
3DA-CDDTTVW ゴルフ TDI平成30年規制・認定なし/軽油・非HV
3CA-254605Cメルセデス GLC 220 d(ISG)平成30年規制・認定なし/軽油・HV有
5LA-254656メルセデス GLC 350 e平成30年規制・50%低減/ガソリン・電気(PHEV)
4AA-247784Mメルセデス GLA 180平成30年規制・25%低減/ガソリンHV

1〜2文字の記号は、平成16年規制までの記号

識別記号を規制の年代順に並べた一覧。E・GF・GH・TA・LA・UA・ABA・DBA・3BA・6AAなど

平成16年規制までの識別記号は、1文字か2文字です。国土交通省の一覧では、1文字の記号が昭和50年度規制から平成4年規制まで、2文字の記号が平成5年規制から平成16年規制までに割り当てられています。記号が短いほど、適合した規制は古くなります。

旧車やネオクラシックの乗用車で目にする記号を、3文字の記号とあわせて並べます。

記号意味
E昭和53年度規制に適合(乗車定員10人以下の乗用車)
GF平成10年アイドリング規制+昭和53年度規制の乗用車(非HV)
GH平成12年規制(ガソリン・LPG、非HV、乗用の普通・小型・軽)
TA平成12年規制+25%低減(ガソリン・LPG、非HV、乗用)
LA平成12年規制+50%低減(同上)
UA平成12年規制+75%低減(同上)
XA / YA / ZATA / LA / UA のハイブリッド版
ABA平成17年規制・認定なし(ガソリン非HV)
CBA平成17年規制・50%低減
DBA平成17年規制・75%低減
DAA平成17年規制・75%低減・ハイブリッド

冒頭の写真の2台は、左の E-AE86(スプリンタートレノ)が昭和53年度規制に適合した乗用車、右の GF-S15(シルビア)が平成10年アイドリング規制と昭和53年度規制に適合した、ハイブリッドではない乗用車です。

クラ

候補の中に E- のクルマもある。昭和53年度規制ってことは、昭和50年代に作られたクルマなの?

シキ

記号から言えるのは、昭和53年度規制に適合しているところまでです。作られた年は記号からは分かりません。GF の定義には、平成10年アイドリング規制と並んで『昭和53年度規制に適合させたもの』とあって、平成10年の規制の記号にも昭和53年度規制が出てきます

クラ

掲載ページの年式が平成で、型式が E- でも、おかしくはないんだね

同じグレード名でも、記号が違えば別の仕様として見る

クラ

同じ車種の同じグレード名なのに、ハイフンの前が違う2台が並んでることがあるんだけど、あれは同じクルマとして比べていいの?

シキ

別の仕様として見てください。記号が違うなら、適合した規制、低排出ガス車の認定、燃料とハイブリッドの区分、用途の区分のどれかが違います。メルセデス GLB 180 は、ハイフンより後ろは同じで、前の記号が変わっています

モデル型式読み方
旧5BA-247684M50%低減/ガソリン非ハイブリッド
現行4AA-247684M25%低減/ガソリンハイブリッド

2桁目が B から A に変わっているので、ハイブリッドではないガソリン車の区分から、ハイブリッド有の区分に変わったことが読み取れます。現行の Data Information(メルセデス・ベンツ日本の諸元・装備表)には、定格8kWの電動機(EM0025)が記載されています。1桁目も 5 から 4 に変わり、低排出ガス車の認定は50%低減から25%低減になっています。

年式が近い2台を並べるときほど、グレード名だけでは違いに気づきにくくなります。5BA と 4AA の違いは、GLBの年式による違いで扱っています。

型式欄は、文字数、真ん中の1文字、1桁目の順に見る

車検証や掲載ページの型式欄では、最初にハイフンの前の文字数を数えます。3文字か、1〜2文字かで、読み方に使う表が変わります。

3文字なら、次に見るのは真ん中の1文字です。燃料の種類とハイブリッドの有無を確かめてから、1桁目で適合した規制を読みます。1桁目が Z 以外のアルファベットなら平成17年から平成26年までの規制、数字なら平成28年以降の規制で、乗用車に付く 3〜7 は平成30年規制です。

年式は掲載ページで確かめます。候補が2台あって記号が違っていたら、同じグレード名でも別の仕様として、装備を1台ずつ照合してください。

※制度の内容は執筆時点の情報です。国土交通省の「平成17年規制以降の自動車排出ガス規制の識別記号」(令和7年1月10日現在)と「自動車排出ガス規制の識別記号一覧」にもとづきます。記号の体系は改正されることがあります。個別の車両の区分は、車検証と販売店で確かめてください。