車検証の車台番号|車体のどこに打ってあり、消すとどうなる?

「車検証の『車台番号』と同じ番号が、車体に打ってある」と題した模式図。左に電子車検証の見本での並びを3つの枠で示し、2段目が車名・車体の形状、3段目の左が車台番号、4段目が型式・原動機の型式で、車台番号の枠に「リコールの確認、重量税額の照会、登録事項等証明書の請求で使う」と添えている。右には車体の打刻について決まっていることを4行で並べ、打てる者は道路運送車両法第29条第1項により自動車・車台・原動機の製作を業とする者と国土交通大臣が指定した者、打つ位置は施行規則第26条の7の届出事項の1つで位置そのものは法律にも施行規則にも書かれていない、消すと第31条・第107条第2号により1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金または併科、読めないと第32条(職権による打刻等)により国は所有者に打刻を受けるよう命じるか自ら打刻できる、としている。下に「第29条から第32条までは、軽自動車にも適用される(第4条)」と注記している
写真: 型式ラボ編集部 (自作図版・道路運送車両法、同施行規則、国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイトの電子車検証の見本をもとに編集部で作成)
── この記事の結論を先に4コマで ──
右のクラが小さな白いカードを顔の前に掲げ、もう片方の手でマグカップを持って、眉を寄せてカードを見つめている。左のシキは白紙の書類を両手で持ち、落ち着いた表情でクラを見ている 車検証のこの番号、車のどこかに同じものがあるの?
左のシキが白紙の紙を片手に持ち、もう片方の人差し指で紙の面を指しながら真顔で説明している。右のクラはマグカップを持ったまま身を乗り出し、目を丸くして聞いている 車体の金属に打ってある。位置はメーカーが国に届け出た場所だ
右のクラが片手で後頭部をかき、もう片方の手にマグカップを持って、汗をかきながら困った顔をしている。左のシキは書類の束を片腕に抱え、もう片方の手の人差し指を立てて答えている 錆びて読めなくなったら、自分で打ち直していい?打てる者は法律で限られている。運輸支局で職権の打刻を受ける
右のクラがマグカップを両手で持ち、少し口を開けて驚いている。左のシキは書類を胸の前に抱え、落ち着いた真顔でクラを見て答えている じゃあ、塗りつぶして消したら?1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金。両方のこともある

車検証の「車台番号」は、その車の車体の金属に打ち込まれている番号と同じものです。番号を打てるのは自動車や車台の製作を業とする者などに限られ、打つ位置はメーカーが車台の型式ごとに国へ届け出ています。打ってある番号を塗りつぶすなどして読めなくする行為には、1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその両方が定められています。

「リコールの対象か調べようとしたら、車台番号を入力する欄が出てきた」「中古車を見に行く前に、車検証の番号が車のどこに打ってあるのか知っておきたい」。車台番号を気にするのは、たとえばこうした場面です。

車検証の見本では3段目の左にあり、リコールの確認や税額の照会で使う

国土交通省が自動車検査登録総合ポータルサイトに載せている見本では、電子車検証でも紙の車検証でも、車台番号の欄は上から3段目の左端にあります。すぐ下の4段目には「型式」と「原動機の型式」が並びます。

電子車検証の券面に印字されるのは車検証の情報の一部で、有効期間のように券面に載らない項目もあります(電子車検証|有効期間が券面にないのはなぜ?)。車台番号は券面に印字される項目です。道路運送車両法は、自動車検査証に記載する事項として、車台番号と使用者の氏名又は名称の2つを明記しています(第五十八条第二項)。

型式は、同じ設計の車に共通で付く記号です。型式指定番号と類別区分番号を合わせると、同じ型式の中のどの類別かまで分かります(車検証の型式指定番号と類別区分番号|どこに書いてある?)。車台番号はそれとは別に、1台ごとに打たれる番号です。北陸信越運輸局は、車台番号と原動機の型式を「個々の自動車を特定するために非常に重要なもの」と説明しています。

車検証を出してこの番号を読むことになるのは、次のような場面です。

場面車台番号の使い方
リコールの対象かを確かめる国土交通省のリコール情報検索は、対象を車台番号の範囲で示している。1台ごとの確認はメーカーや販売会社に問い合わせる。主要メーカーには、車検証の車台番号を入力して調べられる検索システムがある
次の車検でかかる自動車重量税額を調べる(登録を受ける車と小型二輪車)国土交通省の次回自動車重量税額照会サービスに、車検証の車台番号をハイフンも含めて全桁入力する。軽自動車はこのサービスでは照会できず、検査対象の軽自動車には軽自動車検査協会の照会サービスが別にある
登録事項等証明書を請求する(登録を受ける車)請求書に自動車登録番号と車台番号の両方を書く。関東運輸局の案内では、車台番号は下7桁が要る(車台番号だけで請求するときは全桁)
車を譲り渡す(登録を受ける車)譲渡証明書の記載事項に、車台番号と原動機の型式が入っている(道路運送車両法 第三十三条)

リコールの確認では、車台番号が対象の範囲に入っていても、変速機の種類やターボの有無といった仕様によって対象外の場合があります。国土交通省は、メーカーか販売会社に確認するよう求めています。

登録事項等証明書(自動車登録ファイルに記録されている事項を証明する書面)は、誰でも請求できる書面です(道路運送車両法 第二十二条)。そのかわり自動車登録規則の第二十六条が、国や自治体が業務で請求する場合などを除いて、自動車登録番号「及び」車台番号を明らかにするよう求めています。北海道運輸局のQ&Aは、その理由をこう説明しています。車台番号を知り得るのは、一般的に所有者・使用者と、その取引関係にある人などに限られる。だから両方を求めて、登録情報の悪用を防ぐ、というものです。

クラ

ナンバーは道ですれ違えば見えるけど、車台番号は持ち主や使用者と、その取引相手くらいしか知らない。だから両方そろえて出させるんだ。自分の車の証明書でも同じ?

シキ

同じ。北海道運輸局のQ&Aは、所有者本人の請求でも自動車登録番号と車台番号の下7桁が要ると答えている

クラ

じゃあ証明書を取りに行く日は、車検証を持って出ないと請求書が書けないね

車体のどこに打つかは、メーカーが届け出た位置で決まる

車検証と同じ番号は、車体の金属に直接打ち込まれています。これが打刻です。

打刻の位置そのものは、道路運送車両法にも施行規則にも書かれていません。法律が決めているのは手順のほうで、打刻をする者は「打刻様式」「打刻字体」「打刻位置」の3つをあらかじめ国土交通大臣に届け出て、届け出たとおりに打つことになっています(法第二十九条第二項、施行規則第二十六条の七)。届出は車台の型式ごとに出し、届出書の様式には「打刻位置説明図」の欄があります。

届け出る位置の基準は、国土交通省の通達「自動車型式認証実施要領について(依命通達)」にあります。車台番号を打つのは、次の2つを満たす位置です。

  • フレーム、カウルトップパネル等の車台の主要部分で、その型式、番号等が容易に確認できる位置
  • 蓄電池溶液等により腐食等のおそれのない位置

カウルトップパネルは、エンジンルームの奥、フロントガラスの下にある車体のパネルです。

通達が示しているのは基準までで、実際の位置は車種ごとに違います。日産の公式FAQから2車種を引くと、次のとおりです。

車種車台番号の打刻位置
日産 オーラ(2021年8月〜・FE13型)カウルトップパネル中央
日産 デイズ(2019年3月〜・AA1型)運転席シート下のカーペットをめくったところ

オーラはボンネットを開けた先、デイズは室内の床です。同じFAQは、打刻の位置とは別の項目として「モデルナンバープレート」の位置(オーラは右側センタピラー、デイズは右側センターピラー下部)も載せています。車体に付いているプレートと、車体の金属への打刻は、別のものとして案内されています。

クラ

中古車を見に行ってボンネットを開けても、見つからない車があるんだ。デイズだとシートの下のカーペットをめくるんでしょ

シキ

オーラとデイズは同じ日産のFAQに載っていて、それでも位置が違う。FAQのページは車名と型式ごとに分かれているから、見に行く前にその車のページで位置を確かめておく

番号の様式は、車台の型式と一連番号をハイフンなどで区切るのが基準

同じ通達は、打刻の様式も定めています。型式、番号の順に並べてハイフンなどで明確に区切ること、総桁数を17桁以下にすることなどです。国土交通省の次回自動車重量税額照会サービスは、車台番号の入力例として「ABCD03-1234567」を挙げています。

ハイフンの前に来るのは車台の型式です。道路運送車両法も、車台番号には「車台の型式についての表示」を含むと書いています(第七条第一項第二号)。通達に付いている届出書の記載例では、自動車の型式が「E-AB1」や「E-AB2」、車台の型式が「AB」で、打刻は「AB-1000001」で、ハイフンの前に「型式」、後ろに「一連番号」と添えてあります。車検証の「型式」欄に入るのは自動車の型式のほうなので、車台番号の前半と同じ文字列になるとは限りません。国土交通省の紙の車検証の見本でも、型式の欄は「5AA-SKE」、車台番号の欄は「SKE-1234」です。車検証の「型式」欄の先頭に付く記号の意味は、型式の頭の記号 E-・DBA-・6AA-|何が読み取れる?で扱いました。

ハイフンで区切らない番号もあります。通達は、日本産業規格の「車両識別番号(VIN)」に沿って打刻した場合を、区切りの決まりの対象外にしています。輸入車については、リコールの届出が車台番号ではなくシリアル番号でされている場合があり、車検証の車台番号と書式が違うときは、車体に取り付けられているプレートなどのシリアル番号と照合するよう、国土交通省が案内しています。

打てる者は法律で限られ、消すと拘禁刑か罰金の対象になる

誰が車台番号を打てるか、打った番号をどう扱うかを定めているのは、道路運送車両法の第二十九条から第三十二条までの4条です。違反したときの罰則は、第八章に置かれています。

条定めていること違反したとき
第二十九条第一項自動車・車台・原動機の製作を業とする者と、国土交通大臣が指定した者以外は、車台番号や原動機の型式を打刻してはならない1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、または併科(第百七条第二号)
第二十九条第二項打刻をする者は、様式などをあらかじめ届け出て、届け出たとおりに打つ30万円以下の罰金(第百十条第一項第一号)
第三十条第一項輸入を業とする者は、輸入のつど、車台番号の様式などを輸入の日から20日以内に届け出る届出をしない、または虚偽の届出をすると30万円以下の罰金(第百十条第一項第三号)
第三十一条何人も、打刻を塗まつし、その他識別を困難にするような行為をしてはならない1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、または併科(第百七条第二号)
第三十二条打刻が無い、他の車の打刻と類似している、識別困難である、のいずれかに当たる車について、国は所有者に打刻を受けることなどを命じるか、自ら打刻できる命令に違反すると50万円以下の罰金(第百九条第六号)

拘禁刑の定めがあるのは、資格のない者が番号を打つことと、打ってある番号を塗まつすることの2つで、どちらも第百七条第二号です。届出や命令に関わる残りの3行は罰金だけです。

「塗まつ」は、塗りつぶして消すことです。第三十一条が禁じる範囲は塗まつに限らず、車台番号の「識別を困難にするような行為」全体に及びます。主語は「何人も」で、その車の所有者も含まれます。

例外は、条文に2つ書かれています。整備のため特に必要な場合その他やむを得ない場合に国土交通大臣の許可を受けたときと、第三十二条の命令を受けたときです。この許可の権限は、車の使用の本拠の位置(車を使う人の拠点)を管轄する運輸監理部長または運輸支局長に委任されています(施行令第十五条)。「詐偽その他不正の手段」でこの許可を受けた者にも、同じ1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金の定めがあります(第百七条第一号)。

クラ

自分の車でも、自分で番号を消したら罰則なんだ。古い車を塗り直すときに、うっかり一緒に塗ってしまいそう

シキ

条文は所有者を除いていない。整備のためにどうしても必要なときは、先に運輸支局長の許可を受ける順序になっている

クラ

許可が先か。板金や塗装に出すときは、打刻のある場所に触る作業かどうかを先に聞いておく

では、打てる立場にある自動車メーカーが番号を打ち間違えたときは、どうするのでしょうか。通達は、誤って打ったときや不鮮明に打ったときは「二重に打刻を行なうことなく、あらかじめ届け出た訂正様式により、訂正して打刻すること」としています。届出書の様式にも、打刻様式の欄には訂正を行う場合の訂正様式まで書くよう備考が付いています。打てる者も、訂正のしかたまで先に届け出ておく決まりです。

通達には、部品として譲渡する車枠についての定めもあります。車台番号の打刻位置を含む部分を部品として譲渡するときは、その部分に車台番号を打刻してはならない、というものです。

型式の指定を受けた車では、指定を受けた者が車を譲渡するときに完成検査を行います。その要件の1つが、届出をした車台番号と原動機の型式が「明確に打刻されていること」です(自動車型式指定規則 第七条第一項第三号)。

登録を受ける車では、打刻は登録の審査の対象にもなります。新規登録では、車に打刻されている車台番号(完成検査終了証などの書面を出して車の提示に代えた場合は、その書面に記載された車台番号)が申請書の記載と同一でなければ登録されません(法第八条第三号。条文は車検証の「原動機の型式」|何を書き写した欄か?で引いています)。申請を審査する運輸監理部長または運輸支局長は、提示された自動車について「車台番号又は原動機の型式の打刻が真正なものであると認められるかどうか」を審査しなければならない、とも定められています(自動車登録令第二十二条第二項第三号)。

車台そのものが新規登録のときにあったものでなくなった場合は、所有者は15日以内に永久抹消登録を申請しなければなりません(法第十五条第一項第二号)。車台を取り替えた車は、変更登録ではなく永久抹消登録の対象になります。永久抹消登録の手続きは一時抹消と永久抹消|また乗るならどちらを選ぶ?にあります。

第二十九条から第三十二条までの4条は「自動車の登録等」という章(第二章)にありますが、登録を受けない軽自動車にも適用されます。第四条が、この章でいう自動車から軽自動車・小型特殊自動車・二輪の小型自動車を除いたうえで、第二十九条から第三十二条まではその除外の対象外にしているためです。新規登録や永久抹消登録は登録の手続きなので、こちらは軽自動車には当てはまりません。

腐食で読めなくなった車は、運輸支局で職権の打刻を受ける

第三十二条による打刻は、条の見出しから「職権による打刻」、運輸支局の案内では「職権打刻」と呼ばれています。条文が挙げる3つの場合のうち、新潟運輸支局の案内が取り上げているのは、腐食などで打刻が識別困難になった場合です。

北陸信越運輸局は、冬に道路へ散布される凍結防止剤や潮風の影響で、フレームなどの車台番号が腐食し、不鮮明になって確認できなくなる事案が起きていると注意を呼びかけています。確認できなくなると、車の特定ができないため、「最悪の場合、車検などの手続きが行えなくなることがあります」とも書いています。

新潟運輸支局が載せている手続きの流れは、3段階です。

  1. 打刻の申請。塗まつ許可申請書、車検証のコピー、車台番号が確認できる拓本か写真、車両の外観写真(前後左右の4枚)、自動車製作者による製作証明書などを出す。郵送でも申請できる
  2. 審査。1〜2週間程度
  3. 打刻の実施と、変更登録の申請

同じ案内によると、手続きができるのは、その車のナンバーを管轄する運輸支局か検査登録事務所に限られます。抹消されている車は、新規検査に合わせて実施する場合を除いて対象外です。書類は案件によって増えることがあり、富山運輸支局は、事前に検査整備保安部門へ相談するよう求めています。

3つ目には変更登録の申請が付いていて、案内はここで出す書類を「自動車検査証書き換えに必要な書類等」と呼んでいます。職権で打たれる番号は、メーカーが打った英数字の番号とは書式が違います。国土交通省の次回自動車重量税額照会サービスは、漢字が含まれる車台番号を「職権打刻」の番号として案内し、例に「国[01]012345」と「東[41]52123東」を挙げています。

登録されている車台番号が変わったときは、所有者が15日以内に変更登録を申請する決まりで(法第十二条第一項)、車台番号の変更が原因の変更登録では、車そのものを提示します(自動車登録令第四十条)。変更登録が所有者の義務であることは、車検証の所有者と使用者|引越しの手続きは誰がする?で扱いました。

クラ

漢字の入った番号になったら、さっきの税額の照会には入力できるの?

シキ

入力欄が、車台番号が英数字のみの場合と、漢字が含まれる場合の2つに分かれている。漢字は一覧から選んで、数字を打ち込む

クラ

じゃあ中古車の車検証で漢字入りの車台番号を見たら、国が打った番号だと分かるね。いつ、どうして打ったのかを販売店に聞いてみる

確かめる順番は、車検証、メーカーの案内、車体の打刻

最初の表に挙げた4つの場面で要るのは、どれも車検証の「車台番号」の欄に書いてある番号です。控えるときは、ハイフンも含めて全桁を写します。

車体の打刻と見比べたいときは、車を見る前に、メーカーの公式FAQなどでその車種の打刻位置を確かめます。位置は道路運送車両法にも施行規則にも書かれておらず、メーカーが車台の型式ごとに届け出た場所にあるためです。

打刻が錆びて読みにくくなっていたら、その車のナンバーを管轄する運輸支局に相談します。打てる者は法律で限られているので、自分で打ち直すことはできません。北陸信越運輸局は、点検整備の機会に車台番号にも注意を払い、必要に応じて防錆対策を施すよう、点検整備をする事業者に呼びかけています。車検や点検に出すときに、打刻の状態も見てほしいと頼んでおけば、読めなくなる前に防錆の対策を取れます。

※本記事は2026年10月10日時点の道路運送車両法・同施行令・同施行規則、自動車型式指定規則、自動車登録令・自動車登録規則と、国土交通省・各運輸局・日産自動車の公表資料によります。職権打刻の手続きと必要書類は運輸支局ごとに案内が異なることがあるため、手続きの際は管轄の運輸支局で最新の案内をご確認ください。