電子車検証|有効期間が券面にないのはなぜ?
車検証に有効期間が無いんだけど!?
印刷漏れじゃない。法律の書き分け
券面に無いものはICタグに記録されてるどこで確かめるの…
標章・記録事項の紙・アプリの3つまず端末を確認! 電子車検証の券面(カードに印字されている面)に有効期間の欄がないのは、印刷の抜けではありません。道路運送車両法が、券面に「記載」する事項と、目で読めない方法で「記録」する事項を書き分けていて、有効期間は「記録」する事項のほうに挙げられているためです。満了日は、車に表示した検査標章(車検のステッカー)、「自動車検査証記録事項」という書面、車検証閲覧アプリの3つで確かめられます。
「次の車検がいつだったか確かめようと車検証を出したのに、日付がどこにも見当たらない」。電子車検証を手にして戸惑うのは、たとえばこうした場面です。車検証は、A4サイズの紙から、A6サイズ相当の厚紙にICタグを貼り付けたカード(電子車検証)に変わっています。
車台番号も使用者の名前も車両重量も印字されてるのに、有効期間の欄は見当たらないんだよね。隅にある二次元コードを読めば出てくる?
国土交通省は、従来の二次元コードから取得できた情報のうち『自動車検査証の有効期間』だけは確認できない、と案内している。二次元コードを読んでも、有効期間は出てこない
じゃあ、カードにスマホのカメラを向けても満了日は分からないのか。どこを見ればいいのかを先に知りたい
条文は、券面に「記載」する事項と「記録」する事項を分けている
根拠は、自動車検査証がどういうものかを定めた条文です。
自動車検査証は、車台番号、使用者の氏名又は名称その他国土交通省令で定める事項が記載され、かつ、これらの事項、有効期間その他国土交通省令で定める事項(以下「自動車検査証記録事項」という。)が電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により記録されたカードとする。
(道路運送車両法 第五十八条第二項)
この一文には動詞が2つあります。前半は「記載され」、後半は「記録された」です。記載されるのは、車台番号、使用者の氏名又は名称と、国土交通省令で定める事項です。記録されるのは、その記載事項に、有効期間と省令で定める事項を加えたもので、条文はこれをまとめて「自動車検査証記録事項」と呼んでいます。この条文で有効期間の名前が出てくるのは、記録されるほうだけです。
『人の知覚によつては認識することができない方法』って、ずいぶん遠回しな言い方だね
目で読めない形で、という意味だ。ICタグという語も、車検証閲覧アプリという語も、道路運送車両法には出てこない。法律が決めているのは、有効期間を目で読めない方法で記録するところまでになる
じゃあ、ICタグをどうやって読むかは条文には書いてなくて、国土交通省の案内を見ることになるんだね
国土交通省の電子車検証特設サイトにある一覧も、同じ分け方です。券面記載事項として自動車登録番号、車台番号、交付年月日、使用者の氏名又は名称、車名・型式、自動車の種別、長さ/幅/高さ、燃料の種類、総排気量又は定格出力、用途、乗車定員/最大積載量、車両重量/車両総重量、初度登録年月などが並び、券面非表示事項(ICタグのみ)として自動車検査証の有効期間、所有者の氏名・住所、使用者の住所、使用の本拠の位置、帳票タイプが挙がっています。
券面に載るのは「変更登録等による記載事項の変更を伴わない基礎的情報」だと国土交通省は説明しています。車検のたびに書き替わる有効期間は、券面記載事項に入っていません。車検を通したあとも扱いは同じで、第六十二条第二項は「当該自動車検査証に有効期間を記録して、これを当該自動車の使用者に返付し」と定めています。新しい有効期間も、記録されるほうに入ります。
長さ・幅・高さと総排気量は券面に記載されるので、5ナンバーと3ナンバーを分ける4項目は、カードの表面を見るだけで確かめられます。車両重量と車両総重量も記載されるので、自動車重量税の計算に使う重さも券面で分かります。券面の「型式」の先頭に付く記号は、E-・GF-・DBA-・6AA- の読み方のとおりです。
中古車の仕様を確かめるときに使う型式指定番号と類別区分番号にも、券面に欄があります。省令が定める自動車検査証の様式でも、電子車検証特設サイトに載っている見本でも、いちばん上の段の右端にこの2つの欄が並んでいます。2つの番号で何が分かるかは、車検証の型式指定番号と類別区分番号|どこに書いてある?にまとめています。
では、券面に載らない満了日は、どこで確かめればよいのでしょうか。
満了日を確かめる方法は3つあり、要るものが違う
何も用意せずに見られるのは検査標章、ICタグに記録された内容まで紙で読めるのは「自動車検査証記録事項」の書面、その書面と同じ内容をPDFで出力できるのが車検証閲覧アプリです。3つは、使うときに手元に要るものが違います。
| 方法 | 要るもの | 分かること |
|---|---|---|
| 検査標章 | 車のそばに行くだけ | 有効期間の満了する時期 |
| 「自動車検査証記録事項」の書面 | 交付・更新のときに受け取った紙 | ICタグの内容を含めた車検証情報 |
| 車検証閲覧アプリ | 電子車検証の原本、NFC対応のスマートフォンかICカードリーダ付きPC、券面のセキュリティコード | 車検証情報、PDFの出力、満了前の通知 |
検査標章
出先で「車検はいつまでだったか」と気になったとき、車検証を出さずに確かめられるのが検査標章です。第六十六条第一項は、自動車検査証を備え付け、かつ国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、自動車を運行の用に供してはならないと定めています。標章を表示していない車は、走らせてはいけない決まりです。
その標章に何を表示するかも、条文にあります。第三項が「その交付の際の当該自動車検査証の有効期間の満了する時期を表示する」とし、第四項は、検査標章の有効期間を車検証の有効期間と同一としています。
標章をどう表示するかは国土交通省令にあり、前面ガラスに貼る標章は、ガラスの内側に、前方から見やすいように貼り付けます(道路運送車両法施行規則 第三十七条の三第一項)。様式では、表に満了する年と月の数字が入り、裏に「自動車検査証の有効期間の満了する日」として年月日が入ります(自動車の登録及び検査に関する申請書等の様式等を定める省令 第十九号様式。軽自動車は軽第九号様式)。国土交通省の案内では、車外の前方から見えるのが年と月の数字、車室内から見えるのが満了する日(年月日)です。日付まで確かめるときは、車内から標章を見ます。
継続検査(有効期間を更新するための検査。いわゆる車検)に通ると、検査標章も新しく交付されます(第六十六条第二項第二号)。反対に、車検証が効力を失ったときや、継続検査で車検証の返付を受けられなかったときは、その標章を車に表示してはいけません(第五項)。
「自動車検査証記録事項」の書面
「自動車検査証記録事項」は、ICタグの内容も含めたすべての車検証情報が載った書面です。国土交通省は、電子車検証の交付時に「補助的にお渡ししているもの」と説明していて、車検証と違って車に備え付ける義務はありません。そのうえで、スマートフォンの操作に不慣れな人などに向けて、電子車検証と一緒に車に載せておくことをすすめています。
その紙、車検のたびに新しいのがもらえるんだよね?
窓口で渡すのは2027年12月末までだ。しかも検査の手続きのうち券面の記載事項に変更のないものは、運輸支局等の検査窓口での受け渡しが2025年12月末で終わっている。手続きの内容によっては、車検を通しても新しい書面は渡されない
じゃあ、車に積んである紙が前の車検のときのもの、ということもあるんだ。紙の満了日がもう過ぎていたら、標章かアプリで見直す
運輸支局長等から委託を受けた記録等事務代行者が、電子車検証の記録更新と検査標章等の印刷を行う制度もあります。車検のときに運輸支局等へ出向かなくて済むようにするための制度です。
紙をなくしたときは、同じ内容のPDFを車検証閲覧アプリから出力できます。運輸支局と自動車検査登録事務所の窓口付近には、この書面を印刷できる端末も置かれています(鳥取運輸支局と厳原(いづはら)自動車検査登録事務所は対象外で、窓口への問い合わせになります)。
車検証閲覧アプリ
車検証閲覧アプリは2023年1月から使えるようになったアプリで、サービス時間は24時間365日です。使い方は3段階で、アプリを入れ、券面に記載のセキュリティコードを入力してICタグを読み取ると、車検証情報が表示されます。券面の二次元コードでは代用できません。国土交通省は「車検証閲覧アプリの読み込みに二次元コードを使うことは出来ません」と注記しています。
3つの方法のうち、要るものがいちばん多いのがこのアプリです。動作環境は、PCがWindows 11 バージョン24H2とICカードリーダの組み合わせ、スマートフォンがiOS 18・26とAndroid 13・14・15・16で、タブレットを含むNFC対応機種に限られます。
タブレットを含む、ってことはiPadでも読める?
iPadは『NFC機能を搭載していないため動作対象外』と明記されている。タブレットで使えるのは、NFC対応のAndroid機になる
じゃあ、離れて暮らす家族の車だったら? 電話でセキュリティコードを読み上げてもらえば、こっちのスマホで見られそうだけど
利用できるのは『車検証原本を所持する者又は提示を受けられる者』とされている。コードを入力したあとにカードのICタグを端末で読み取るので、カードが手元に要る
なら、次に会ったときにカードを見せてもらって、その場で読み取ることになるね
インターネットにつながっていれば、車検証情報のほかに、リコール情報と二次元コードの内容も表示されます。つながっていないときに表示されるのは、ICタグに記録された情報だけです。タグの容量の制約で、備考欄の情報を全部は記録できない車両が一部あることも案内されています。
車検証有効期間お知らせサービスに登録しておくと、満了の前と、満了の1日後に通知が届きます。事前の通知がいつ届くかは、国土交通省の「車検証閲覧アプリについて」のページの中に、「90日前・60日前・30日前」と「60日前・30日前」の2通りの記載があります。メールアドレスを登録すれば、メールでも届きます。満了日を覚えていなくても、期日が近づけば知らせが来ます。
軽自動車検査協会は、令和6年1月から検査対象軽自動車にも電子車検証を交付し、車検証閲覧アプリも軽自動車で利用できると案内しています。
2年か3年かは第六十一条で決まり、再交付では延びない
有効期間の長さを決めているのは第六十一条で、原則は2年です。1年になるのは、旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車、貨物の運送の用に供する自動車、国土交通省令で定める自家用自動車で、いずれも検査対象軽自動車は除かれます。
第二項第二号は、2年とされる自動車のうち自家用乗用自動車(国土交通省令で定めるものを除く)と二輪の小型自動車について、初めて車検証を交付するときの有効期間を3年としています。新車で買った自家用乗用車の最初の車検が3年後になるのは、この号によるものです。用途や車両総重量ごとの年数は、車検の有効期間|毎年か2年ごとかは何で決まる?にまとめています。
カードをなくして再交付を受けても、満了日は変わりません。第四項が、新たに交付する自動車検査証の有効期間を「従前の自動車検査証の有効期間の残存期間とする」としているためです。
第三項には、有効期間を経過しない前に保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、国土交通大臣が有効期間を短縮できる、という定めもあります。
住所も券面に載らないが、変更の手続きは15日以内
使用者の住所と使用の本拠の位置も、有効期間と同じく券面には載らず、ICタグに記録されています。
「券面に住所が書かれていないのだから、引っ越しても車検証はそのままでいいのでは」。そう考えたくなるところですが、手続きは要ります。第六十七条第一項は、自動車検査証記録事項について変更があったとき、自動車の使用者は、その事由があった日から15日以内に変更記録を受けなければならないと定めています。対象は記録事項で、券面に印字されているかどうかは条件に入っていません。
手続きが済んだあと、新しい住所が記録されたかどうかはどこで見るの? 券面には出ないんだよね
使用者の住所は券面に載らず、ICタグに記録されるだけなので、見るのは車検証閲覧アプリか、手続きのあとに出した『自動車検査証記録事項』の書面になる。有効期間を確かめるときにも使う2つだ
住所や所有者の氏名のように券面に欄がない項目は、この2つで確かめます。変更の手続きを所有者と使用者のどちらがするのかは、車検証の所有者と使用者|引越しの手続きは誰がする?で整理しています。
最初に見るのは、手元の端末で閲覧アプリが使えるか
確かめる順番は、次のとおりです。
- 手元の端末が車検証閲覧アプリに対応しているかを見る(NFC対応のスマートフォンかAndroidタブレット、またはICカードリーダを付けたWindows 11のPC)
- 「自動車検査証記録事項」の書面が手元にあるかを確かめ、あれば電子車検証と一緒に車に載せておく
- ふだんの確認は、車に表示されている検査標章で済ませる
なんで端末の確認が先なの?
アプリが使えれば、書面をなくしても同じ内容のPDFを出力できるからだ。アプリが使えず書面もないと、その場で見られるのは車の検査標章になる
端末が対応してなかったら?
対応する端末を用意するか、運輸支局か自動車検査登録事務所の印刷端末で書面を出すことになる。どちらも、車検の前日に気づいてその日のうちに済むとは限らないので、先に見ておく
じゃあ今日やるのは、自分のスマホがNFCに対応してるかを調べるところからだね
※本記事は2026年10月10日時点の道路運送車両法と関係省令、国土交通省・軽自動車検査協会の公表資料によります。制度と運用は変わることがあるため、手続きの際は各サイトで最新の案内をご確認ください。