軽自動車の車検証|「初度登録年月」の欄はなぜない?

道路運送車両法施行規則 第三十五条の三第一項第十九号の条文を上に置き、車検証の同じ欄の名前が、登録車(普通自動車や、二輪を除く小型自動車など)では「初度登録年月」(初めて登録を受けた年月)、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車では「初度検査年月」(初めて検査を受けた年月)になることを左右に分けて示した図
写真: 型式ラボ編集部 (自作図版・道路運送車両法施行規則 第三十五条の三第一項第十九号および道路運送車両法 第四条・第五十九条第二項・第六十条第一項・第二項をもとに編集部で作成)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラが無地のカードを両手で持って困った顔をし、シキが書類を持って隣に立っている 初度登録年月が無い
シキが人差し指を立てて説明し、クラが腕を組んで聞いている 欄の名前が違う。初度検査年月
クラが口を開けて驚き、シキが書類を持って落ち着いて立っている 軽には登録の手続きがない名前ごと変わるんだ
シキが手のひらを上に向けて話し、クラが大きくうなずいている 先に見るのは自動車の種別の欄日付から探すと、目当ての欄が見つからない

書類に「初度登録年月」を書き写そうとして、軽自動車の車検証を手に取ったとします。

クラ

交付年月日はあるのに、初度登録年月が無い。印字が抜けてる?

シキ

欄の名前が違う。軽自動車の券面にあるのは『初度検査年月』だ。印字は抜けていない

軽自動車には登録という手続きがなく、登録した年月というものがありません。登録車(登録を受けて走る車。普通自動車や、二輪を除く小型自動車など)なら初度登録年月が入る欄に、軽自動車では初めて検査を受けた年月が「初度検査年月」の名前で入ります。根拠になるのは、券面(車検証のカードに印字されている面)の記載事項を並べた施行規則の号と、登録の対象から軽自動車を外している道路運送車両法の条文の2つです。

初度登録年月と初度検査年月は、同じ第十九号にある

券面に何を記載するかを決めているのは、道路運送車両法の施行規則(国土交通省令)です。第三十五条の三が「自動車検査証の記載事項」を第一号から第二十九号まで並べていて、その十九番目がこの欄です。

十九 初度登録年月(検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車にあつては、初度検査年月)

(道路運送車両法施行規則 第三十五条の三第一項第十九号)

検査対象軽自動車は、軽自動車のうち車検の対象になるものを指す言葉です。二輪の軽自動車などを除いた軽自動車が、これにあたります。二輪の小型自動車は、排気量か寸法が軽自動車の上限を超える二輪車です。

号は1つで、欄も1つです。カッコ書きが、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車では欄の名前を初度検査年月にすると定めています。

国土交通省が電子車検証特設サイトに載せている券面記載事項の一覧でも、この欄は「初度登録年月/初度検査年月」とスラッシュでつないだ1行になっています。普通自動車の車検証を見ている人は初度登録年月を、軽自動車の車検証を見ている人は初度検査年月を、同じ欄で読んでいることになります。1台の車検証に入るのはどちらか一方で、どちらになるかは車の種類で決まります。

軽自動車には、登録という手続きがそもそもない

軽自動車に登録が無いことは、道路運送車両法の第四条で分かります。登録を受けていない自動車を運行の用に供してはならない(道路で走らせてはならない)と定めた条文で、ここでいう「自動車」から軽自動車が外されています。

自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第二十九条から第三十二条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

(道路運送車両法 第四条)

カッコの中に、軽自動車と小型特殊自動車、二輪の小型自動車が並んでいます。見落とされやすいのは、その後ろに続く「本章において同じ」のほうです。本章とは第二章「自動車の登録等」のことで、登録の手続きはこの章にまとまっています。車台番号などの打刻を扱う第二十九条から第三十二条までを除いて、この章の「自動車」に軽自動車は入りません。

登録がないので、登録した年月も存在しません。

軽自動車が受けるのは新規検査です。第五十九条第一項により、登録を受けていない自動車と、車両番号の指定を受けていない検査対象軽自動車・二輪の小型自動車は、運行の用に供しようとするときに新規検査を受けなければなりません。検査に通れば自動車検査証が交付され、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車には車両番号が指定されます(第六十条第一項)。

軽自動車検査協会のサイトにある手続きの一覧にも、新車と中古車のそれぞれに「新規検査」という名前の手続きが並んでいて、登録という名前の手続きはありません。

クラ

軽に乗ってる人が『登録した月』って言うのは、じゃあ何のこと?

シキ

会話としては通じる。ただ、券面でその名前の欄を探しても見つからない。あるのは検査を受けた年月の欄だ

クラ

名前ごと変わるんだ。じゃあ探す言葉を『検査』に替えればいいのか

登録車では、新規登録と新規検査を別々に申請できない

では、登録を受ける車のほうは、登録と検査がどういう関係にあるのでしょうか。登録車も新規検査を受けます。軽自動車と違うのは、新規登録と新規検査を同時に申請し、登録が済んでから自動車検査証を受け取る決まりになっている点です。

条文定めていること
法 第七条第六項新規登録の申請は、新規検査の申請(又は自動車予備検査証による自動車検査証の交付の申請)と同時にしなければならない
法 第五十九条第二項新規検査(検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車に係るものを除く)の申請は、新規登録の申請と同時にしなければならない
法 第六十条第二項検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車以外の自動車への自動車検査証の交付は、新規登録をした後にしなければならない

普通自動車を新しく登録するとき、新規登録だけを先に申請することも、自動車検査証だけを先に受け取ることもできません。表の2行めと3行めは、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車を対象から外しています。この2種類の車は登録を伴わず、新規検査を受けて自動車検査証の交付に進みます。

クラ

そこまで同時にやるなら、登録車の欄の名前は登録でも検査でもよさそうだけど

シキ

条文に書いてあるのは、どの車にどちらの名前が入るかまでだ。登録を受ける車は初度登録年月、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車は初度検査年月になる。なぜ登録のほうの名前にしたかは、条文には書かれていない

券面の日付は2つ、期限はICタグに記録される

第三十五条の三第一項の記載事項を1つずつ見ていくと、日付を入れる欄は交付年月日と初度登録年月(初度検査年月)の2つです。次の車検の期限にあたる「有効期間の満了する日」はこの列挙には無く、次の第三十五条の四が定める記録事項にあります。

欄根拠どこにあるか何の日付か
自動車検査証の交付年月日施行規則 第三十五条の三第一項第三号券面その自動車検査証を交付した年月日
初度登録年月(検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車は初度検査年月)同 第十九号券面初めて登録/検査を受けた年月
自動車検査証の有効期間の満了する日施行規則 第三十五条の四第一項第一号ICタグ次の車検の期限

第三十五条の三は「法第五十八条第二項前段に規定する国土交通省令で定める事項」と書き出されていて、第三十五条の四では、この「前段」が「後段」になります。前段が券面に記載される事項、後段がICタグ(電子車検証に貼り付けられた記録部分)に記録される事項です。初度登録年月と初度検査年月は前段にあるので、券面を見れば読めます。有効期間は後段にあり、券面には出てきません(電子車検証|有効期間が券面にないのはなぜ?)。

国土交通省は、券面に記載するものを「変更登録等による記載事項の変更を伴わない基礎的情報」と説明しています。同じ券面にある型式の欄については、先頭に付く記号の読み方を型式の頭の記号 E-・DBA-・6AA-|何が読み取れる?にまとめています。

クラ

じゃあ、車を買った月はどこ?

シキ

券面には無い。製造年月という語も納車という語も、道路運送車両法と施行規則の条文には出てこない

クラ

中古車情報に出てくる『年式』は、この欄と同じ数字なの?

シキ

年式も同じで、この2つの法令の条文には語として出てこない。どの欄から取った数字かは、売り手に聞くことになる

クラ

『年式は』と聞くより、車検証のこの欄の年月を聞いたほうが確かだね

年数を数える場面の1つが自動車重量税で、経過年数によって税額の区分が変わります。区分が変わる年数と区分の数え方は、自動車重量税|車検証のどちらの重さで決まる?にあります。

中古車の個体がどのグレードかは、初度登録年月や初度検査年月の欄からは分かりません。グレードをどこまで絞り込めるかは、車検証の型式指定番号と類別区分番号|どこに書いてある?で扱っています。

二輪の軽自動車は、届出済証の「初度届出年月」を見る

道路運送車両法の第五十八条第一項は、検査対象外軽自動車と小型特殊自動車を検査の対象から外しています。何が検査対象外軽自動車にあたるかは施行規則第三十五条の二が定めていて、その第一号が「二輪の軽自動車」です。

二輪自動車が軽自動車になるか小型自動車になるかは、施行規則の別表第一(第二条関係)で決まります。内燃機関を原動機とするものは、総排気量250cc以下で、長さ2.50m・幅1.30m・高さ2.00m以下に収まれば軽自動車です。排気量と寸法のどれか1つでも上回れば、小型自動車になります。総排気量125cc以下の二輪車は原動機付自転車で、自動車に入らないので、この区分の対象外です(法第二条第二項・第三項、施行規則第一条)。

この上限に収まる二輪自動車が、検査対象外軽自動車の第一号にあたります。自動車検査証は交付されないので、初度検査年月の欄もありません。運行するには、使用者が使用の本拠の位置(車を使う拠点の場所)を管轄する地方運輸局長に届け出て、車両番号の指定を受けることになります(法第九十七条の三第一項)。

このとき交付されるのが軽自動車届出済証です(施行規則第六十三条の二第三項)。いまの施行規則が定める様式(軽二輪第八号様式)には、「届出年月日/交付年月日」の隣に「初度届出年月」という欄があります。この様式が使われているのは2019年7月1日からです。それより前に交付された届出済証は前の様式のまま通用するので、欄の名前は手元の届出済証で確かめてください。

クラ

250ccのバイクを中古で買うなら、売り手に見せてもらうのは車検証じゃなくて届出済証か

シキ

ナンバーが付いている車なら、そうなる。250ccを超えると二輪の小型自動車になって、車検証が交付される。そちらの欄の名前は初度検査年月だ

クラ

登録、検査、届出。初めて手続きをした年月の欄でも、車の種類で名前が3つあるんだ

先に見るのは、日付ではなく「自動車の種別」の欄

手元の車検証を確かめるときは、次の順で見ると、券面に無い名前の欄を探さずに済みます。

  1. 「自動車の種別」の欄を見る(施行規則 第三十五条の三第一項第五号。普通自動車、小型自動車、検査対象軽自動車、大型特殊自動車の別)
  2. 種別が決まると、日付欄の名前が決まる(登録車は初度登録年月、検査対象軽自動車と二輪の小型自動車は初度検査年月)
  3. 欄の名前が初度登録年月なら登録を受けている車、初度検査年月なら登録という手続きが無い車だと分かる
クラ

なんで種別が先なの。日付の欄を探せばいいんじゃないの?

シキ

名前から探すと、無い名前を探すことになる。軽自動車の券面で初度登録年月を探しても、何度見ても出てこない

クラ

見つからないまま印字漏れだと思い込んだら、どうなるの

シキ

車検証閲覧アプリでICタグを読み取ることになる。有効期間はそちらにあるけれど、初度登録年月も初度検査年月も、券面に記載される欄だ。読み取っても、この欄について新しいことは分からない

種別の欄で普通自動車と小型自動車のどちらになるかは、3ナンバーと5ナンバー|車検証のどの欄で見分ける?で扱った4項目で決まります。

※本記事は2026年10月12日時点の道路運送車両法・同施行規則と、国土交通省・軽自動車検査協会の公表資料によります。制度と運用は変わることがあるため、手続きの際は各サイトで最新の案内をご確認ください。