VW ID. Buzzの標準とロング|ロングの7人目はどこに座る?

フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro Long Wheelbase(ZAA-EB01L)を真横から見た外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC0 1.0 )
── この記事の結論を先に4コマで ──
右のクラが小さな白いカードを顔の前に掲げ、もう片方の手でマグカップを持って、眉を寄せてカードを見つめている。左のシキは白紙の書類を両手で持ち、落ち着いた表情でクラを見ている ロングは7人乗り。7人目は、いちばん後ろに座るの?
左のシキが白紙の紙を片手に持ち、もう片方の人差し指で紙の面を指しながら真顔で説明している。右のクラはマグカップを持ったまま身を乗り出し、目を丸くして聞いている 3列目はProもロングも2席。増えるのは2列目の1席です
右のクラが片手で後頭部をかき、もう片方の手にマグカップを持って、汗をかきながら困った顔をしている。左のシキは書類の束を片腕に抱え、もう片方の手の人差し指を立てて答えている 長くなるぶん、小回りはどうなるの?最小回転半径は5.9mから6.3mへ。0.4m大きくなります
右のクラがマグカップを両手で持ち、少し口を開けて驚いている。左のシキは書類を胸の前に抱え、落ち着いた真顔でクラを見て答えている 先に決めるのは、2列目に3人座らせるかですえ、装備より先に席の数なんだ

「7人乗りのロングなら、3列目に3人座れるはず」と考えるところですが、フォルクスワーゲン ID. Buzz の Pro Long Wheelbase で7人目が座るのは、3列目ではなく2列目です。3列目は6人乗りの Pro と同じ2席で、どちらも1席ずつ取り外せます。

増えるのは、2列目の3人目の1席です。

日本仕様には、Pro と、ホイールベースの長い Pro Long Wheelbase があります。ホイールベースは2,990mmと3,240mm、全長は4,715mmと4,965mmで、差はどちらも250mmです。全長とホイールベースが同じ長さだけ伸びているので、前後のオーバーハング(車軸より外に張り出した部分)の合計は変わっていません。伸びた250mmは、すべて前後の車軸のあいだの長さです。

その1席が増える代わりに、最小回転半径は5.9mから6.3mになります。半径で0.4m、直径にすると0.8mぶん、Uターンに要る道幅が広くなります。

小回り・定員・航続を、Pro と Long Wheelbase で比べる

ProPro Long Wheelbase
車両型式ZAA-EB01ZAA-EB01L
ホイールベース2,990mm3,240mm
全長4,715mm4,965mm
全幅×全高1,985×1,925mm1,985×1,925mm
乗車定員6名7名
最小回転半径5.9m6.3m
一充電走行距離(WLTCモード)524km554km
交流電力量消費率(WLTCモード)168Wh/km173Wh/km
駆動用バッテリー総電力量84kWh91kWh
車両重量2,550kg2,720kg
ラゲージ容量(VDA方式・2列目を倒し3列目を外した値)2,123ℓ2,469ℓ
タイヤ(前/後)235/55 R19・255/50 R19235/50 R20・265/45 R20

Uターンに要る道幅が、0.8m広くなる

全幅1,985mmと全高1,925mmは共通です。幅や高さの制限で入れない場所は、Pro でも Long Wheelbase でも同じように入れません。全長と、曲がるときに要る広さは違います。

半径で0.4mの差は、Uターンでは道幅0.8mの差になります。

クラ

0.8mって言われても、広いのか狭いのかピンとこないな

シキ

ID. Buzz の全幅は1,985mmです。車体の幅の4割ぶん、余分に道幅が要ります

クラ

けっこうあるね。いつもUターンしている道に、そのぶんの余裕があるかを先に見てくるよ

同じフォルクスワーゲンでは、ID.4 と ティグアン の最小回転半径がどちらも5.4mです。Pro の5.9mはこの2台より0.5m大きく、Long Wheelbase の6.3mは0.9m大きくなります。立体駐車場のスロープや住宅街の丁字路は、この0.9mの差が切り返しの回数の差になって表れる場所です。

7人目の席は2列目にある

フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro Long Wheelbaseの正面
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC0)

3列目は、Pro も Long Wheelbase も同じ「分割可倒式シート(3列目、2席独立取外し)」です。前席の2席と合わせて、ここまでの4席は2台で変わりません。定員6名と7名の差は、残る2列目にあります。

装備表では、分割可倒式の2列目シートは Pro Long Wheelbase とその 1st Anniversary Edition に設定され、Pro の2列目にこの設定はありません。チャイルドシート固定装置は、Pro が「助手席/2列目/3列目」、Long Wheelbase が「助手席/2列目左右/3列目」で、Long Wheelbase は2列目の席の位置まで書かれています。

Pro の2列目は2席、Long Wheelbase の2列目は、左右に分けて倒せる3人掛けです。

クラ

3人掛けなら、2人で乗る日は真ん中を空けて使えるよね。それならロングにしておけば困らない?

シキ

アームレストの記載が違います。Pro は『前席内側/2列目内側』、Long Wheelbase は『前席両側』です

クラ

2列目の肘掛けは Pro に付くのか。2人で乗る日と3人並ぶ日、どっちに合わせて選ぶかだね

シキ

どちらの日が多いかは、諸元表には載っていません。そこは家ごとに決めるところです

2列目に3人並んで座る予定がないなら、Long Wheelbase を選ぶ理由は、席の数以外で探すことになります。

Long Wheelbase の荷室は、2列目を倒して3列目を外した状態で Pro より346ℓ大きくなります。ほかに航続、タイヤ、標準装備が Pro と違います。

航続が30km長いのは、電池が7kWh大きいぶん

一充電走行距離は Pro が524km、Long Wheelbase が554kmで、差は30kmです。ところが、交流電力量消費率を隣に並べてみると、距離の長い Long Wheelbase のほうが、1kmあたりの電気を多く使っていることに気づきます。Pro が168Wh/km、Long Wheelbase が173Wh/kmです。

Long Wheelbase は電池が大きく、駆動用バッテリーの総電力量は Pro の84kWhに対して91kWh、総電圧は353Vに対して383Vです。電池が7kWh大きいぶん伸びる距離のほうが、消費率が5Wh/km多いぶん縮む距離より長く、その差し引きが30kmです。

年1万km走るとして、満充電ぶんを走り切る回数に直すと、Pro が約19回、Long Wheelbase が約18回になります。

違いは、年に1回です。

交流電力量消費率は、モード別にも公表されています。

交流電力量消費率ProPro Long Wheelbase
WLTCモード168Wh/km173Wh/km
市街地モード139Wh/km148Wh/km
郊外モード158Wh/km163Wh/km
高速道路モード189Wh/km193Wh/km

高速道路モードだけで見ると、Pro が465km前後、Long Wheelbase が495km前後という見当で、差は30kmのままです。市街地モードでは630km前後と650km前後になり、差は15kmほどに縮みます。街乗りが中心の使い方だと、航続の差は Long Wheelbase を選ぶ理由にほとんどなりません。

荷室の2,123ℓと2,469ℓは、2列目を倒して3列目を外した値

テールゲートを開けたフォルクスワーゲン ID. Buzz Pro Long Wheelbaseの荷室
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC0)

三面図に載っているラゲージスペースは、Pro が2,123ℓ、Long Wheelbase が2,469ℓで、差は346ℓです。どちらもVDA方式で、後席2列目を倒し、3列目を取り外した場合の値だと明記されています。

クラ

7人で出かける日は3列目に人が座ってるから、この2,469ℓは使えないよね

シキ

使えません。3列目を立てたままの容量は、三面図には出ていません

3列目は2席を別々に外せるので、片方だけ残して、人を乗せながら荷物も積む使い方もできます。荷室の装備では、ラゲージネットパーティションとマルチフレックスボードが Long Wheelbase では標準で、Pro ではアップグレードパッケージに含まれます。スライディングカバーと12V電源ソケット(ラゲージルーム)、パワーテールゲートは、どちらにも標準で付きます。

タイヤは Pro が19インチ、Long Wheelbase が20インチ。横の厚みは Pro が1cmほど厚い

タイヤは Pro が前235/55 R19・後255/50 R19、Long Wheelbase が前235/50 R20・後265/45 R20です。ホイールは Pro が8Jx19・9Jx19、Long Wheelbase が8Jx20・10Jx20で、後ろは径が1インチ大きく、リム幅も1J広くなります。

タイヤの横の厚み(サイドウォールの高さ)は、Pro が前約129mm・後約128mm、Long Wheelbase が前約118mm・後約119mmです。Pro のほうが1cmほど厚くなります。

サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろが4リンクで、どちらもスタビライザー付きです。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後ろがドラムです。ここまでは、1st Anniversary Edition を含む4タイプとも共通で、足まわりの違いはタイヤとホイールです。サイドウォールの厚い Pro のほうが、タイヤのたわむ量が大きく、路面の細かい凹凸を吸収しやすくなります。

車両重量は Pro が2,550kg、Long Wheelbase が2,720kgで、差は170kgです。Pro はマルチフレックスボードを付けると2,560kg、Long Wheelbase はパノラマガラスルーフを付けると2,730kgになります。

モーターは共通で、560N·mが0回転から出る

原動機は4タイプとも同じ交流同期電動機(ECN)で、最高出力は210kW(286PS)/3,581-6,500rpm、最大トルクは560N·m(57.1kgm)/0-3,581rpmです。定格出力は89kW、トランスミッションは1段固定式です。

最大トルクは0回転、つまりモーターが回り始める時点から出ます。モーターが同じなので、車両重量あたりのトルクは、2,720kgの Long Wheelbase のほうが2,550kgの Pro より6%ほど小さくなります。ID.4 Pro の545N·m/0-3,675rpm と比べると、ID. Buzz の最大トルクは15N·m大きい数字です。

主要装備一覧の電源ソケットはラゲージルームの12Vで、AC100Vの記載はない

主要装備一覧に載っている電源ソケットは、ラゲージルームの12Vです。AC100Vのコンセントの記載はありません。車中泊で家電を動かすところまで考えるなら、電源は別に用意することになります。

充電に使う装備は、普通充電ポート、急速充電ポート、200V・7.5mの普通充電ケーブルが4タイプとも標準です。スマートフォンのワイヤレスチャージング、パワースライドドア(リヤ左右)、Keyless Access、エレクトロニックパーキングブレーキ、チルト&テレスコピックステアリング、ステアリングヒーターも、4タイプとも標準で付きます。

同一車線内全車速運転支援システム “Travel Assist” も、4タイプとも標準です。ID.4 では Pro だけの装備で、Lite には付きません。

アップグレードパッケージの15項目のうち、14項目は Long Wheelbase で標準

アップグレードパッケージは Pro にだけ設定があり、中身は次の15項目です。

  • ダイナミックコーナリングライト
  • ダイナミックライトアシスト
  • スタティックコーナリングライト
  • LEDマトリックスヘッドライト “IQ.LIGHT”
  • オールウェザーライト
  • 3ゾーンフルオートエアコンディショナー(運転席/助手席/後席独立調整)
  • ラゲージネットパーティション
  • マルチフレックスボード
  • アームレスト(前席両側/2列目内側)
  • LEDテールランプ(ダイナミックターンインジケーター付)
  • パワーシート(運転席/助手席、メモリー付)
  • パワーランバーサポート(運転席/助手席)
  • リラクゼーション機能付シート(運転席/助手席)
  • シートヒーター(運転席/助手席/2列目左右)
  • ステンレスペダルクラスター(アクセル/ブレーキ)

このうち14項目は、Long Wheelbase では標準装備です。パッケージを付けない Pro は、ヘッドライトがLED、エアコンが運転席と助手席の2ゾーン、シートヒーターが前席のみで、前席は高さ調整式で電動ではありません。Long Wheelbase では、それぞれ IQ.LIGHT、3ゾーン、2列目左右にも付くシートヒーター、メモリー付パワーシートになります。

見落とされやすいのは、残る1項目の、2列目のアームレストです。「アームレスト(前席両側/2列目内側)」は、Pro Long Wheelbase にも、その 1st Anniversary Edition にも設定がありません。Long Wheelbase のアームレストは「アームレスト(前席両側)」で、2列目の内側には付きません。

ラグジュアリーパッケージは Long Wheelbase にだけ設定があり、中身はパノラマガラスルーフと、総出力700W・16チャンネル13スピーカーのプレミアムサウンドシステム “Harman Kardon” の2つです。Pro では、この2つは選べません。

1st Anniversary Edition は、パッケージの中身が標準で付く

主要装備表には、Pro と Pro Long Wheelbase のそれぞれに 1st Anniversary Edition が載っていて、合わせて4タイプです。

Pro 1st Anniversary Edition は、上に並べた15項目がすべて標準です。Pro Long Wheelbase 1st Anniversary Edition は、シート表皮がファブリックからマイクロフリースに変わり、パノラマガラスルーフと Harman Kardon が標準で付きます。

先に決めるのは2列目の人数、装備はそのあと

最初に決めるのは、2列目に3人並んで座る日があるかどうかです。これで Pro か Long Wheelbase かが決まり、全長も最小回転半径もタイヤのインチも同時に決まります。どれも納車後には変えられません。

Long Wheelbase にするなら、自宅の駐車場の奥行きと、いつも曲がる道の幅を次に確かめます。全長は Pro より250mm長く、最小回転半径は0.4m大きくなります。

装備は、そのあとで考えても間に合います。Pro にアップグレードパッケージを足せば、上の15項目のうち14項目は Long Wheelbase と同じ内容になります。ヘッドライトも、エアコンのゾーン数も、シートヒーターの範囲も、Long Wheelbase と同じです。

最後に残るのが、2列目の内側のアームレストです。Long Wheelbase には、どのパッケージを足しても付きません。2列目を2人でゆったり使うつもりなら、これが Pro を選ぶ理由になります。

実際に乗っている人の評価は、みんカラのID. Buzzのレビューで読めます。

※諸元・装備は、2026年11週以降生産車両の主要装備表・主要諸元表(Issue:June, 2026)にもとづく執筆時点の情報です。