車中泊のAC100V電源|シエンタ・セレナ・フリードで選べるのはどれ?

トヨタ シエンタ Z(5BA-MXPC10G・白)の前方からの外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・トリミングして縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をパーカーのポケットに入れて、口を開けてシキに問いかけている。シキは白紙の書類の束を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔でクラを見ている 車中泊で、電気毛布やドライヤーを使いたいんだ
シキが白紙を1枚、胸の前で持って指で示しながら、口元をゆるめて説明している。クラは白いマグカップを両手で持ち、目を丸くして口を開けている AC100V・1500Wの設定があるのはシエンタとセレナ。フリードにはない
クラが白いマグカップを両手で持ち、眉を下げて不安そうな顔でシキに問いかけている。シキは白紙の書類の束を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔で答えている どのグレードでも付くの?どちらもオプション。シエンタはHV、セレナはe-POWER・e-4ORCE車
シキが白紙を片手で持ち、目を細めて微笑んでいる。クラは白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をポケットに入れて、口を開けて明るく笑っている 車種より先に、使いたい家電のワット数を書き出す合計が1500Wに収まるか、リストで見てみるね

車中泊で家電を使うつもりなら、シエンタ・セレナ・フリードの装備一覧で確かめる行は、実質AC100V電源の1つです。家庭用と同じ100Vのコンセントのことで、USB端子やDC12Vのシガーソケットなら多くの車に付いていますが、そちらではドライヤーや電気ポットのような家電は動きません。

3車種の装備一覧を並べると、シエンタとセレナには上限1500Wの設定があり、フリードにはありません。しかも設定はパワートレインと結びついていて、シエンタはハイブリッド車、セレナはe-POWER車とe-4ORCE車だけが対象です。どちらも標準装備ではなく、注文時に加えるメーカーオプションです。

「電気ケトルでお湯を沸かしたい」「ドライヤーをかけたい」「冬は電気毛布で寝たい」。どの家電を使うかで、1500Wの上限は余裕にもなれば、1つ動かすのがやっとにもなります。AC100V電源はシエンタもセレナも注文時に申し込むメーカーオプションなので、車種を比べる前に、車中泊で使いたい家電を紙に書き出しておくのが先です。

1500Wに収まるかどうかは、家電のワット数を足して決まる

書き出した家電には、ワット数を添えていきます。目安になるのは、日産が公式に挙げている「使用可能な家電製品の例」です。

1500Wで使える家電の目安。電気ポット1250W、ホットプレート1300W、ドライヤー600〜1200Wなど
家電消費電力
ホットプレート1300W
電気ポット1250W
ドライヤー600〜1200W
電子レンジ600〜1200W
トースター600W
電気ストーブ500W
電気オーブン500W
コーヒーメーカー400W
電気毛布75W
ノートパソコン50W
携帯電話充電器15W

車のAC100V電源から取れるのは、合計1500Wまでです。トヨタも日産も、これを超えると保護機能が働いて給電が止まると案内していて、トヨタの諸元表にはこう注記されています。

合計消費電力は1500W以下でご使用ください。1500Wを超えると保護機能が作動し、給電機能が停止します。

家でドライヤーと電子レンジを同時に使って、ブレーカーが落ちた経験はないでしょうか。車の1500Wも、あれと同じ種類の上限です。

電気毛布(75W)までなら、余裕があります。ノートパソコン(50W)やスマートフォンの充電(15W)を足しても、上限には遠く及びません。冬場の車中泊では、これがいちばん現実的な使い方です。

リストにホットプレート(1300W)や電気ポット(1250W)が入っているなら、1つずつ使う前提になります。動かしている間はほかの機器をほとんど併用できないので、調理家電を同時に何台も使う想定だと、AC100V電源だけでは足りません。

クラ

朝、電気ポットでお湯を沸かしながら、ドライヤーもかけたいんだけど

シキ

1250Wと600〜1200W。足すと1850Wからで、1500Wを超える。途中で給電が止まる

クラ

お湯が沸くまで待つしかないか。電気毛布をつけたままなら?

シキ

1250Wに75Wを足して1325W。それなら1500Wを超えない

ただ日産は、合計が1500W以下でも、起動時に大きな電力を使う家電では給電が止まることがあり、単独で使う必要がある家電もあると注意しています。

AC100V電源を選べるのは、シエンタのハイブリッド車とセレナのe-POWER車・e-4ORCE車

車種AC100V内容条件
シエンタあり1500W/インパネ1・荷室1メーカーオプション(45,100円)。ハイブリッド車に設定
セレナあり1500W/室内1・ラゲッジ1オプション。e-POWER・e-4ORCE車に設定
フリードなしDC12Vアクセサリーソケットのみ—

シエンタは、ハイブリッド車を選び、注文時にオプションで加える

トヨタの主要諸元表・装備一覧には、次の記載があります。

アクセサリーコンセント(AC100V・1500W/インパネ1・荷室1/非常時給電システム/外部給電アタッチメント付)

設定があるのはハイブリッド車で、標準装備ではなく45,100円(消費税抜き41,000円)のメーカーオプションです。コンセントはインパネと荷室の2カ所にあり、就寝スペースを荷室側に作るなら、寝床のそばで電源が取れます。

「非常時給電システム」と「外部給電アタッチメント」も一緒に付いてきます。非常時給電システムは、災害などの非常時に、走行できない状態のままこのコンセントから電気製品を使うための機能です。外部給電アタッチメントは、コードを車外に引き出すときに前席のドアガラスに取り付ける部品です。取扱説明書には、家屋などへ電気を供給する発電機として使わないよう書かれています。

セレナは、e-POWER車かe-4ORCE車を選び、注文時にオプションで加える

日産の公式ページでは「100V AC電源(1500W)」として案内されています。標準装備ではなくオプションで、対象はこう注記されています。

※e-POWER車、e-4ORCE車に設定。

ガソリン車には設定がありません。

クラ

じゃあ、e-POWERを選んでおけばコンセントも付いてくるんだね

シキ

オプションだから、e-POWERを選んだだけでは付かない。注文のときに加える

コンセントは室内とラゲッジルームに1カ所ずつです。室内側の位置は、フロントセンタートレイ/センターコンソールボックスと案内されています。

フリードの電源は、DC12VソケットとUSBチャージャーまで

Hondaの主要装備一覧に、AC100Vコンセントの記載はありません。電源まわりで載っているのは、次の3項目です。

装備設定
アクセサリーソケット(DC12V)全タイプ標準
USBチャージャー(Type-C/急速充電対応・2個)AIR EX全車、CROSSTAR 6人乗り
ラゲッジルーム内アクセサリーソケット(DC12V)CROSSTARの5人乗り(FF・4WD)とCROSSTAR スロープのみ

「インバーターを挿せば、フリードでも家電を動かせるのでは」と考えたくなるところです。ただ、フリードの取扱説明書では、アクセサリーソケットは消費電力180W(15A)以下のアクセサリー向けとされています。ドライヤー(600〜1200W)や電気ポット(1250W)はこの上限を超えるので、インバーターを挟んでもAC100V電源の代わりにはなりません。

見落とされやすいのは、荷室のソケットのほうです。ラゲッジルーム内のソケットは、AIR、AIR EX、CROSSTARの6人乗りには付きません。荷物の近くで電源を取りたいなら、選べるのはCROSSTARの5人乗りとCROSSTAR スロープだけです。

フリードを候補に残すかどうかは、AC100Vなしの車中泊で足りるかどうかで決まります。足りないなら、グレードを選び直すのではなく、車種から考え直すことになります。

8ナンバー登録の要件に、電源設備は入っていない

AC100V電源は、8ナンバー(キャンピング車)登録の構造要件に入っていません。キャンピング車の要件は就寝設備・水道設備・炊事設備・面積で構成されていて、電源設備の規定はありません。数値の詳細は8ナンバー(キャンピング車)の構造要件を数値で全整理にまとめています。

「キャンピング仕様にするなら、コンセントも付けておかないといけないのでは」と考えていたなら、その必要はありません。要るかどうかは、最初に書き出した家電のリストで決まります。

周波数と、泊まる場所でエンジンがかかることを、使う前に確かめる

装備表を読んでも答えが出ないことが、契約の前に2つ残ります。

1つ目は周波数です。トヨタの諸元表には、こんな注記があります。

車両の取扱説明書を確認し、電気製品の使用可能な周波数と車両の電源周波数が異なる場合は、販売店にご相談ください(工場出荷時は、50Hzに設定されています)。

工場出荷時は50Hzです。西日本(60Hz地域)で周波数に依存する家電を使うつもりなら、車両側の設定を変えられるかどうかを販売店で確かめてください。

2つ目は、システムを起動したまま使う装備だという点です。

クラ

冬は、電気毛布をつけたまま朝まで寝たいんだけど

シキ

システムを起動したまま使う装備。使っている間に、エンジンがかかることがある

トヨタも日産も、駐車中や停車中にエンジンがかかると、自治体によってはアイドリングストップの条例にふれるおそれがあると注意しています。泊まる場所の条例は、使う前に確かめてください。

家電のリスト、パワートレイン、販売店での確認の順に決める

最初に手を付けるのは、家電のリストです。ここでAC100V電源が要るかどうかが決まり、要らないならフリードも候補に残ります。

次がパワートレインです。AC100V電源が要るなら、シエンタはハイブリッド車、セレナはe-POWER車かe-4ORCE車の中からしか選べず、グレードの比較はそのあとになります。どちらも、注文のときにオプションとして加えます。

最後に、周波数を販売店で聞き、泊まる場所のアイドリングストップ条例を確かめます。AC100V電源は注文時に申し込むメーカーオプションなので、この確認も契約の前に済ませておきます。

本記事の内容は、トヨタ自動車・日産自動車・本田技研工業の公式サイトに掲載されている装備情報(執筆時点)に基づいています。装備の設定はグレードや年次改良で変わりますので、購入前には公式サイトと販売店でご確認ください。