VW ID.4の航続距離|年1万km走ると充電は何回違う?

フォルクスワーゲン ID.4 Pro(グレイシアホワイトメタリック)を前方斜めから見た外観
写真: Ethan Llamas / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・縮小)

フォルクスワーゲン ID.4の日本仕様は、Liteが514万2,000円、Proが648万8,000円です。一充電走行距離は409kmと587kmで、178km違います。

この178kmを充電の回数に直すと、年1万km走る人でLiteが約24回、Proが約17回になります。年に7回ぶんの差です。年5,000kmしか走らないなら、差は年3回まで縮みます。

充電のための装備そのものは、どちらも同じです。急速充電ポートも、200Vの普通充電ケーブル(7.5m)も、Liteに標準で付いています。

年1万kmなら、Liteは約24回・Proは約17回

満充電から一充電走行距離ぶんを走り切るまでを1回と数えると、年間の回数はこうなります。

年間走行距離Lite(409km)Pro(587km)差
5,000km約12回約9回3回
10,000km約24回約17回7回
15,000km約37回約26回11回
20,000km約49回約34回15回

実際の充電は、残量ゼロから満充電までを一気に入れるものではありません。継ぎ足しで少しずつ入れる人のほうが多いはずです。それでも、上の表の比は動きません。同じ距離を走るのにProが必要とする充電は、Liteの7割ほどという関係が、走行距離を変えても残ります。

年5,000kmの人にとっての年3回は、ほとんど生活を変えない差です。年2万kmの人にとっての年15回は、月に1回強、充電のために時間を取る回数が増えるかどうかの差になります。同じ178kmでも、年に何回ぶんの差になるかは走る距離でまったく変わります。

高速中心ならLiteは370km前後、街乗り中心なら470km前後

409kmと587kmは、市街地・郊外・高速道路を平均したWLTCモードの値です。モードごとに分けると、消費する電力量はかなり違います。

交流電力量消費率LitePro
WLTCモード(全体)144Wh/km143Wh/km
市街地モード124Wh/km123Wh/km
郊外モード136Wh/km136Wh/km
高速道路モード160Wh/km158Wh/km

高速道路モードは、全体の平均より1割ほど多く使います。高速中心の使い方ならLiteは370km前後、Proは530km前後という見当になります。市街地モードは逆に1割ほど少ないので、街乗り中心ならLiteで470km前後、Proで680km前後まで伸びる見当です。

高速の比率が高い使い方では、LiteもProも同じ割合で航続距離が縮みます。走る距離が同じなら回数はその割合ぶん増えるので、両者の回数の差は、高速を多く走る人ほど広がります。

片道500kmの移動で考えると、Liteは途中で1回挿すことになります。Proは530km前後という見当なので、計算のうえでは届きますが余裕はありません。エアコンを使う季節や渋滞を織り込むなら、どちらも1回は止まる前提で組むほうが安全だと考えられます。

高速を長く走るつもりなら、同一車線内全車速運転支援システム “Travel Assist” がProだけという点も合わせて見ておきたいところです。Liteにもレーンキープアシストと全車速追従付きのアダプティブクルーズコントロールは標準で付きますが、Travel AssistはProに限られます。

急速充電ポートも200Vケーブルも、Liteに標準で付く

充電ケーブルをつないで駐車しているフォルクスワーゲン ID.4
写真: Mariordo (Mario Roberto Durán Ortiz) — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

急速充電ポート、普通充電ポート、200V・7.5mの普通充電ケーブルは、LiteにもProにも標準で付きます。減速時に電力を戻すブレーキエネルギー回生システムと、走行モードを切り替えるドライビングプロファイル機能も同じです。安いほうを選んでも、急速充電器も自宅の200Vも、同じように使えます。

電池の総電力量は、Liteが55.0kWh、Proが82.0kWh(いずれもグロス値)です。Proは電池が27kWhぶん大きく、一充電走行距離は178km長い数字になっています。

主要装備一覧に載っている電源はラゲージルームの12Vソケットだけで、AC100Vのコンセントの記載はありません。車中泊や停電時の給電まで見込んで選ぶクルマには見えない構成です。

Liteは310N·mを0〜3,850rpmで、Proは545N·mを0〜3,675rpmで出します。どちらも0回転から最大トルクが出るので、発進や合流で回転を上げる必要がありません。Proのトルクは数字の上でLiteの1.7倍ほどで、220kg重いぶんを割り引いて車重あたりで見ても約1.6倍あります。最高出力は125kW(170PS)と210kW(286PS)です。

2,140kgのProと1,920kgのLite。消費率はほぼ同じ

車両重量はLiteが1,920kg、Proが2,140kgで、220kg違います。タイヤも、Liteが235/60 R18のスチールホイール(フルホイールキャップ付)、Proが前235/50 R20・後255/45 R20のアルミホイールと、別のサイズです。

それでいて交流電力量消費率は144Wh/kmと143Wh/kmで、1Wh/kmしか違いません。重くて太いタイヤを履いたProのほうが、わずかに低い数字になっています。

サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろがマルチリンクで、どちらもスタビライザー付き。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後ろがドラムです。この構成はLiteとProで共通です。

最小回転半径5.4mは、T-Crossより0.3m大きい

最小回転半径は5.4mで、LiteもProも同じです。同じフォルクスワーゲンでもT-Crossとゴルフ ヴァリアントは5.1m、T-Rocは5.0mですから、0.3〜0.4mぶん大回りになります。

立体駐車場のスロープを曲がるときや、住宅街の丁字路でUターンするとき、この0.3mは切り返しが1回増える場面として出てくると考えられます。全幅は1,850mmあるので、機械式駐車場を使うなら、幅の制限を先に確かめておきたい数字です。

ラゲージスペースは543ℓ、後席を倒すと1,575ℓ(VDA方式)で、こちらも両グレード共通です。荷室まわりで違うのは、パワーテールゲートとラゲージネット、ネットパーティションがProだけという点になります。

前席が電動になるのはProから。シートヒーターは両方に付く

フォルクスワーゲン ID.4の運転席まわり
写真: Ssu — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

シート表皮はマイクロフリースで、LiteもProも同じものです。違うのは合わせ方で、Liteの前席は手動の高さ調整。Proは前後・高さ・角度・リクライニングが電動になり、メモリー、パワーランバーサポート、座面長の調整、リラクゼーション機能が加わります。長い時間座って姿勢を細かく調整できるのはProのほうです。

前席のシートヒーターとステアリングヒーター、ヒーター付きドアミラー、ヒーテッドウォッシャーノズルはLiteにも標準です。エアコンはLiteが運転席・助手席の2ゾーン、Proが後席も独立して選べる3ゾーンになります。

パノラマガラスルーフ(電動サンシェード付)はProだけの装備です。ヘッドライトも、LiteがLED、Proがマトリックス式の “IQ.LIGHT” と分かれます。

価格と、いまの買取相場

LitePro
車体価格5,142,000円6,488,000円
無償カラームーンストーングレー/グラナディラブラックメタリック/ブルーダスクメタリック/グレイシアホワイトメタリック同左
有償カラー設定なしキングズレッドメタリック 33,000円
車両型式ZAA-E2EBJZAA-E2EDF
車両重量1,920kg2,140kg
総電力量55.0kWh(グロス値)82.0kWh(グロス値)
一充電走行距離409km587km
交流電力量消費率144Wh/km143Wh/km
最高出力125kW(170PS)/3,850-8,300rpm210kW(286PS)/3,675-6,500rpm
最大トルク310N·m/0-3,850rpm545N·m/0-3,675rpm
タイヤ235/60 R18前235/50 R20・後255/45 R20
全長×全幅×全高×ホイールベース4,585×1,850×1,640×2,770mm同左
最小回転半径5.4m5.4m
乗車定員5名5名
ラゲージ容量543ℓ(後席を倒して1,575ℓ・VDA方式)同左

差額は約135万円です。Proを選ぶと車体色にキングズレッドメタリックが加わり、こちらは3万3,000円の有償になります。

中古の相場は、カーセンサーの集計で187.9万円〜243.8万円(2026年7月更新)。年式別では1年落ちが214.6万円〜278.3万円、4年落ちが185.1万円〜276.5万円です。1年落ちと4年落ちで下限の差は約30万円で、この2つを比べるかぎり下がり方は小さく見えます。ただし、ここで引いた平均と年式別の相場はグレードを分けずに集計されているので、LiteとProの内訳までは分かりません。

見積もりに使うのは、年間走行距離と高速の比率

自分の数字を当てはめるなら、年に何km走るかと、そのうち高速道路がどれくらいかを出せば足ります。年5,000kmで街乗り中心なら、Liteでも満充電ぶんの充電は年10回ほど。年1万kmで高速の比率が高いなら、Liteは年27回ほどになります。

この回数が負担になるかどうかは、家で挿せるかで決まります。自宅に200Vのコンセントがあるなら、帰宅して挿すだけなので、年24回でも年17回でも手間はほとんど変わりません。外の充電に頼る前提だと、回数はそのまま出かける手間として積み上がります。ID.4は7.5mの200VケーブルをLiteの時点で積んでいるので、自宅の工事さえ済んでいれば、追加で買うものはありません。

Liteの409kmを短いと感じるかどうかは、走る距離そのものより、家で充電できるかどうかで大きく変わります。家で挿せる人がProを選ぶ理由は、航続距離ではなく、パワーシートや3ゾーンエアコン、Travel Assistのほうになります。

※価格・相場は執筆時点の情報です。買取相場は掲載物件からの集計値で、実際の査定額は状態や装備で変わります。