サクラとeKクロスEV|電池も航続も同じ2台は何が違う?

日産サクラ G(ZAA-B6AW)の前方斜めから。15インチアルミホイールを履く
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
シキが白紙を両手で胸の前に持って立ち、クラがマグカップを持って口を開けて話しかけている モーターも航続距離も同じなら、いちばん安いサクラSでいいのかな
シキが白紙を片手に持ち、もう片方の手のひらを上に向けて説明し、クラがマグカップを持って真顔で聞いている サクラSはステアリングヒーターが標準で付かない。フォグランプなどとのセットになる
シキが白紙を両手で体の前に持って立ち、クラがマグカップを持ったまま手を口元に添えて目を丸くしている え、ヒーターだけは付けられないの?サクラのXとG、eKクロスEVのGとPなら最初から付く
シキが白紙を持って手のひらを上に向けて告げ、クラがマグカップを持って笑っている 高速道路の運転支援も、注文のあとでは足せない。先にこの2つを決めるタイヤを選ぶのは、その2つを決めてからだね

日産サクラと三菱eKクロスEVは、モーターも電池も一充電走行距離も同じ数字の軽EVです。どちらも三菱自動車の水島製作所で生産されていて、日産と三菱の合弁会社NMKVが企画・開発をまとめたと、三菱のニュースリリースに書かれています。

違いが出るのはグレードの分け方です。サクラはS・X・Gの3グレードで約245万〜300万円、eKクロスEVはG・Pの2グレードで約266万〜321万円。サクラには真ん中のグレードがあり、eKクロスEVにはありません。

「中身が同じなら、いちばん安いサクラのSで十分では」。2台の見積もりを並べる前に考えるのは、たとえばこうしたことです。ただ、冬にハンドルと座面を温めるヒーターと、高速道路の運転支援がどのグレードから標準になるかは、2台で揃っていません。

モーターも電池も航続距離も、2台で同じ数字

両社の諸元表を並べてみると、寸法からモーター、電池、航続距離まで、ほとんどの行に同じ数字が入っていることに気づきます。

項目日産サクラ S/X/G三菱eKクロスEV P/G
全長・全幅・全高3,395/1,475/1,655mm3,395/1,475/1,655mm
ホイールベース2,495mm2,495mm
最低地上高145mm145mm
最小回転半径4.8m4.8m
乗車定員4名4名
原動機型式MM48(交流同期電動機)MM48(交流同期電動機)
最高出力47kW(64PS)/2,302-10,455rpm47kW/2,302-10,455rpm
最大トルク195N・m/0-2,302rpm195N・m/0-2,302rpm
駆動用バッテリーリチウムイオン 350V・20kWhリチウムイオン 350V・20kWh
交流電力量消費率(WLTC)124Wh/km124Wh/km
一充電走行距離(WLTC)180km180km
リヤサスペンショントルクアーム式3リンクトルクアーム式3リンク
駆動方式前輪駆動2WD

最大トルク195N・mは、0rpmから2,302rpmまで出ます。回転を上げてから出るのではなく、動き出す瞬間にもう最大値に達しています。立体駐車場のスロープを上るときや、4人乗って坂道で止まったあとに発進するときのように、低い速度で力が要る場面が、ちょうどこの回転域に当たります。

そろわないのは、次の5項目です。

項目日産サクラ三菱eKクロスEV
室内長(両社とも社内測定値)2,115mm2,065mm
車両重量S・X 1,070kg/G 1,090kgP 1,070kg/G 1,060kg
フロントサスペンションの表記マクファーソン式ストラット式
タイヤS・X 155/65R14/G 165/55R15P・G とも 155/65R14
型式ZAA-B6AWZAA-B5AW

室内長は50mm違いますが、両社とも社内測定値と注記されていて、室内幅1,340mmと室内高1,270mmは一致しています。

車両重量は、いちばん軽いeKクロスEVのGが1,060kg、いちばん重いサクラのGが1,090kgです。

静かさについては、2台とも主要装備の一覧に遮音材や吸音材が挙がっていないので、装備の違いからは比べられません。

クラ

ここまで数字が同じなら、家から近いのが日産のお店か三菱のお店かで決めてもよさそう

シキ

走りに関わる数字で違うのは、30kgの車重の幅と、サクラGのタイヤくらい。分かれるのは価格と、グレードごとに何が標準で付くか

グレードは3つと2つ。価格が上がった分で何が標準になるかが違う

価格は消費税込み、いずれも2WDです。

グレード車両価格同じ車種で1つ下のグレードとの差タイヤ・ホイール
日産サクラ S2,448,600円—155/65R14+14インチフルホイールカバー
日産サクラ X2,599,300円150,700円155/65R14+14インチアルミ
三菱eKクロスEV G2,662,000円—155/65R14+14インチスチール(フルホイールカバー付)
日産サクラ G2,998,600円399,300円165/55R15+15インチアルミ
三菱eKクロスEV P3,214,200円552,200円155/65R14+14インチアルミ

eKクロスEVのほうが、いちばん安い2台で約21万円、いちばん高い2台で約22万円高く、同じ車種の中での価格の幅はどちらも約55万円です。

グレード間の価格差は2台で違い、サクラは約15万円と約40万円の2つ、eKクロスEVは約55万円の1つです。予算の上限を先に決めてからグレードを探す家にとっては、サクラには中間の価格のグレード(X)があり、eKクロスEVにはない、という違いになります。

eKクロスEVには、GとPのほかに「Gビジネスパッケージ」という3つ目の類別があります。価格が公表されているのはGとPの2つで、この記事もその2つを扱います。

両社が価格ページに併記している国の補助金は、サクラが58万円、eKクロスEVが57万4,000円で、サクラのほうが6,000円多くなっています。補助金を引いた額で見積もりを並べると、いちばん安い2台どうし、いちばん高い2台どうしの差は、車両価格の差より6,000円広がります。

いちばん安いサクラSには、ステアリングヒーターが標準で付かない

見落とされやすいのは、5台のなかで最も安いサクラS(約245万円)に、ステアリングヒーターと前席のヒーター付シートが標準で付かないことです。Sではこの2つがメーカーオプションの「◇6」に入っています。◇6はセットで、LEDフォグランプ、本革巻ステアリング、ヒーター付ドアミラー、リヤヒーターダクト、高濃度不凍液、ワイパーデアイサーとリヤフォグランプまで一緒に付いてきます。ヒーターだけを単体で選ぶことはできません。

冬の朝、冷えたハンドルを握って出かける家なら、Sのままでは足りず、◇6をセットごと付けるか、グレードを上げるかを選ぶことになります。

クラ

ハンドルを温めたいだけなのに、フォグランプまで一緒に買うことになるんだ。それならXに上げたほうが早い?

シキ

XはSより約15万円高くて、ヒーターは最初から付く。◇6の価格は日産の主要装備一覧に載っていないから、どちらが安く済むかは見積もりで比べることになる

eKクロスEVのGは約266万円で、ステアリングヒーターと運転席・助手席のシートヒーター(座面)が標準です。サクラSより約21万円高い代わりに、冬の装備で迷う場面がありません。

三菱eKクロスEV G(ZAA-B5AW-LDCB)の前方斜め。14インチスチールホイールにフルホイールカバー
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

Gで冬向けのメーカーオプションとして選べるのは、ヒーテッドドアミラーとリヤヒーターダクトをまとめた寒冷地パッケージ(PKG6)の2万2,000円です。

サクラのXは約260万円で、ステアリングヒーターと前席ヒーター付シートが標準です。ヒーター付ドアミラーとリヤヒーターダクトと高濃度不凍液は「◇9」のメーカーオプションに残ります。温める装備が標準で、ドアミラーとダクトがオプションという切り分け方は、eKクロスEVのGとPKG6の関係とほぼ同じです。

真ん中の2台は約6万円しか違わない

サクラXとeKクロスEV Gの価格差は約6万円で、ステアリングヒーターと前席シートヒーターはどちらも標準、タイヤも両方とも155/65R14です。

サクラXは14インチのアルミホイールが標準で、eKクロスEV Gはスチールホイールにフルホイールカバーです。Gをメーカーオプションでアルミにするには、LEDフロントフォグランプとルーフスポイラーが同梱されるアクティブパッケージ(PKG5)の11万円になります。

日産サクラ X(ZAA-B6AW)の前方斜め。14インチアルミホイールを履く
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

eKクロスEV Gにスマートフォン連携ナビゲーション(9インチ)を入れると、ETC2.0とSOSコールと6スピーカーとMITSUBISHI CONNECTがセットになったコネクトナビパッケージ(PKG2)で約32万円かかります。サクラXでも、EV専用NissanConnectナビゲーションシステムは「◇2」か「◇3」のメーカーオプション扱いです。ナビが最初から付くのは、どちらも一番上のグレードだけです。

狭い駐車場で車の周りを画面で確かめたい家なら、サクラはXかGを選べば、インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)が標準で入ります。Sではメーカーオプションです。

上のグレードは、高速道路の運転支援の扱いで分かれる

「帰省で高速道路を走るから、車間を保ってくれる機能は付けておきたい」。この条件で並べると、サクラはGに標準で付き、eKクロスEVはPでもメーカーオプションです。

サクラのGは約300万円で、プロパイロットとプロパイロット緊急停止支援システムが標準です。Xではメーカーオプション「◇3」、Sには設定がありません。

eKクロスEVのPは約321万円で、マイパイロットは、全車速追従のレーダークルーズコントロールと車線維持支援をまとめた先進安全快適パッケージ(PKG3)11万円のメーカーオプションです。Gには設定そのものがありません。

三菱eKクロスEV P(ZAA-B5AW-LDEB)の前方斜め。14インチアルミホイールを履く
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

車間と車線を保つ機能を付けた状態で並べると、サクラGが約300万円、eKクロスEV Pが約332万円です。価格表の上では約22万円だった差が、約33万円に開きます。

シート地は、どちらの上級グレードもファブリック系が標準です。サクラGはジャージとトリコットの組み合わせで、eKクロスEV Pはファブリックです。革調に替えたい場合、サクラは合皮とジャージのシート地が後席ドアトリムクロスとセットになった「◇8」、eKクロスEVは合成皮革とファブリックのコンビが内装色ライトグレーなどとセットになった5万5,000円のオプションです。どちらも名前は「プレミアムインテリアパッケージ」で、シート地だけを単体では選べません。

AC100V・1,500Wの電源は、サクラの3グレードもeKクロスEVの2グレードも、5つ全部がメーカーオプションで、標準で付くグレードはありません。三菱側には6万6,000円と価格が併記されています。普通充電と急速充電の両方に対応する充電機能は、5つとも標準です。

15インチが標準なのはサクラGだけ

タイヤは、5台のうち4台が155/65R14で共通です。165/55R15を履くのはサクラのGだけで、Xではメーカーオプション、Sにはメーカーの設定がありません。eKクロスEVは、Pも含めてメーカーの設定に15インチがありません。

「せっかくなら、15インチを履いているGにしたい」と考えたときは、サイドウォールの厚みも一緒に変わります。サクラGが履く165/55R15は、ほかの4台の155/65R14よりサイドウォールが約10mm薄くなります。

タイヤ履くグレードサイドウォール高さ
155/65R14サクラS・X、eKクロスEV G・P約101mm
165/55R15サクラG(Xはメーカーオプション)約91mm

10mmはサイドウォール高の約1割にあたります。155/65R14と165/55R15は、ガソリンの軽でもN-BOXとスペーシアやタントとN-WGNで同じように並んでいます。

買取相場は、2022〜2024年式ともeKクロスEVの上限が高い

数年乗って手放すときの目安になるのが、カーセンサーの買取相場(2026年7月更新)です。

車種平均買取相場額2024年式2023年式2022年式
日産サクラ58.4万〜110.5万円75.7万〜106.4万円68.5万〜103.3万円59.8万〜93.6万円
三菱eKクロスEV70.8万〜153.9万円79.3万〜117.7万円70.7万〜137.6万円71.5万〜154.4万円

2022年式から2024年式までは、3つの年式ともeKクロスEVのほうが上限が高く出ています。

買取相場はカーセンサーネットの掲載物件から集計された参考値で、実際の査定額は車の状態と装備で変わります。

クラ

売るのはまだ先の話だし、数年後にも同じ差が残っているかは分からないよね

シキ

この表は2026年7月の更新分。それに新車の価格も、eKクロスEVのほうが約21万〜22万円高い。上限が高いことを、値落ちしにくいことと同じには読めない

先に決めるのは、冬のヒーターと高速道路の運転支援

最初に決めるのは、価格でも車種でもなく、冬にステアリングと座面を温めるかどうかです。

温めると決めたなら、ステアリングヒーターと前席シートヒーターが標準で付くのは、サクラのXとG、eKクロスEVのGとPの4つです。サクラのSに付けるには、LEDフォグランプや本革巻ステアリングまで抱き合わせになる◇6を足すことになります。温めなくてよいなら、約245万円のサクラSが5つのなかで最も安い1台になります。

次が高速道路の運転支援です。サクラならG(約300万円)で標準、Xではメーカーオプションの◇3です。eKクロスEVならP(約321万円)にPKG3の11万円を足すことになり、Gには設定がありません。この条件を入れた時点で、設定の無いサクラSとeKクロスEV Gは候補から抜けます。サクラGの約300万円は、eKクロスEV PにPKG3を足した約332万円より安く収まります。サクラXに◇3を足す選び方も残りますが、◇3の価格は日産の主要装備一覧に載っていないので、サクラGと比べるには見積もりで確かめることになります。

タイヤとホイールは最後でかまいません。サクラなら、15インチのアルミホイールがS・X・Gの3グレードともディーラーオプションにもあります。ヒーターと運転支援のメーカーオプションはメーカーの工場で付けるため、注文のあとでは受け付けてもらえません。

※価格・装備・相場は2026年8月31日時点で、各社の公式ページ・公式PDFとカーセンサーの掲載値にもとづきます。国の補助金の額と適用条件は年度と申請時期で変わります。