フィットのマイナーモデルチェンジ|約181万円の一番安いタイプに何が付かない?

ホンダ フィット e:HEV HOME(6AA-GR3)を左前方から見た外観。赤い車体に、銀色のフルホイールキャップが付いている。2026年7月のマイナーモデルチェンジより前の個体で、HOME はこの改良で名前が Z に変わり、前後のバンパーも RS と同じデザインになった
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・縮小。2026年7月のマイナーモデルチェンジより前の e:HEV HOME で、いまの Z とは前後のバンパーのデザインが違う)
── この記事の結論を先に4コマで ──
白衣のシキが左に半眼の真顔で立ち、右のクラがマグカップを片手に笑いながら話しかけている。2人は画面の下半分に小さく描かれている 妻の通勤用に、ガソリン車の X を考えてるんだ
シキが両手で持った白紙に目を落として読み上げ、右のクラはマグカップを持って笑顔で聞いている Z との差は約34万円。シートヒーターは Z に付いて、X には付きません
クラが目を丸くして口を開け、片手を上げて驚いている。左のシキは表情を変えずに白紙の束を持って立っている ガソリン車の X だけ、ヘッドライトがハロゲンなの?
シキが1枚の白紙を胸の高さに持って指で示し、右のクラはマグカップを両手で持ち、目を閉じて微笑んでいる マルチビューカメラシステムを選べるのも Z です会社の駐車場には、バックで止めるって言ってたな

ホンダは2026年7月10日、マイナーモデルチェンジしたフィットを発売しました。タイプの名前も変わり、BASIC は X に、HOME は Z になっています。いちばん安いのは X です。

X と Z の差額は、ガソリン車で338,800円、e:HEV で260,700円です。FF どうしでも 4WD どうしでも、同じ額になります。

Z を選ぶと、冬の朝に座面を温めるシートヒーターと、赤外線をカットするフロントのガラスが付きます。どちらも X では、メーカーオプションでも選べません。 駐車のときに車のまわりを映すマルチビューカメラシステムも、メーカーオプションで選べるのは Z のほうです。ガソリン車の X はさらに、ヘッドライトがハロゲンで、エアコンもフルオートではありません。

シートヒーター、マルチビューカメラシステム、白・黒・銀のほかのボディーカラーのどれかが欲しいなら、見積もりは Z で取ります。

クラ

妻の通勤用に、初めて新車を買うんだ。予算は200万円くらいで、ガソリン車の X を考えてる

シキ

ガソリン車の X は、FF で約181万円です。Z の FF は約215万円になります

クラ

Z だと予算を15万円くらい超えるのか。その分で何が付くか次第だな

価格の差は、ガソリン車で約34万円、e:HEV で約26万円

2026年10月時点のメーカー希望小売価格(消費税込み)です。

タイプFF4WD
X1,806,200円2,026,200円
Z2,145,000円2,365,000円
e:HEV X2,238,500円2,458,500円
e:HEV Z2,499,200円2,719,200円
e:HEV CROSSTAR2,735,700円2,955,700円
e:HEV RS2,899,600円設定なし
Z 助手席回転シート車2,239,600円2,459,600円
e:HEV Z 助手席回転シート車2,593,800円2,813,800円

4WD のあるタイプは、どれも FF より220,000円高くなります。e:HEV RS には 4WD がありません。RS と CROSSTAR は、この改良から e:HEV だけのタイプになりました。

助手席回転シート車は、Z をもとに、助手席が回転して乗り降りを助ける福祉車両です。Z とは装備が少し違い、シートヒーターとアームレスト付センターコンソールボックスは付きません。

X で選べるボディーカラーは、ガソリン車も e:HEV も、プラチナホワイト・パール、クリスタルブラック・パール、ルナシルバー・メタリックの3色です。プラチナホワイト・パールは33,000円高くなります。Z は7色から選べて、スレートグレー・パール、フィヨルドミスト・パール、シーベッドブルー・パール、プレミアムクリスタルレッド・メタリックなどがあります。ルナシルバー・メタリックは、Z では選べません。

白、黒、銀のほかの色にしたいなら、それだけで Z を選ぶ理由になります。

先に決めるのは、ガソリン車か e:HEV か

e:HEV は、X どうしでガソリン車より約43万円、Z どうしで約35万円高くなります。e:HEV の X は約224万円で、ガソリン車の Z より約9万円高い価格です。

WLTCモードの燃費は、FF のガソリン車の X が18.3km/L、e:HEV の X が29.1km/L です。この値で1万km走ると、使う燃料はガソリン車の X が約546L、e:HEV の X が約344L で、差は約200Lです。Z どうしで比べても、差は約200Lで変わりません。

1年に走る距離が分かれば、この差がいくらになるかは、いま払っているガソリン代で計算できます。

エンジンの最大トルクは、ガソリン車が142N·mで、出るのは4,300rpmです。e:HEV のエンジンはガソリン車とは型式が違う LEB で、最大トルクは127N·m、出るのは4,500〜5,000rpmです。e:HEV にはこのほかにモーターがあり、モーターの最大トルク253N·mは0〜3,000rpmで出ます。e:HEV の X をノートと比べた燃費と価格は、フィットとノートの比較に書いています。

クラ

妻が1年にどれくらい走るのか、まだ数えたことがないな

シキ

e:HEV の X にはシートヒーターが付きません。約9万円安いガソリン車の Z には付きます

クラ

じゃあ、Z に付いて X に付かないものは、ほかに何があるの?

X と Z で違う装備

ガソリン車でも e:HEV でも、X と Z では次の装備が違います。表の「メーカーオプション」は注文のときに選ぶ装備で、工場で付けるため、注文のあとからは付けられません。

装備XZ
運転席&助手席シートヒーターなし標準
フロントウインドウガラス遮音/UVカット機能付遮音/IRカット〈遮熱〉/UVカット機能付
フロントドアガラス高熱線吸収/UVカット機能付IRカット〈遮熱〉/スーパーUVカット
マルチビューカメラシステムなしメーカーオプション
ブラインドスポットインフォメーションなしメーカーオプション
後退出庫サポートなしメーカーオプション
シートファブリックシートコンビシート(プライムスムース×エンボスファブリック)
前席の間テーブルコンソールアームレスト付センターコンソールボックス(ドリンクホルダー付)
リアセンターアームレストなし標準
ソフトパッド(助手席インストルメントパネル、コンソールニーパッド、フロントドアライニング、フロントドアアームレスト)なし標準
本革巻ステアリングホイール(3スポーク)、本革巻セレクトレバーなし標準
プラチナクロームメッキ・インテリア(インナードアハンドル、エアコンアウトレットノブ)なし標準
バニティーミラー付サンバイザー運転席だけ運転席と助手席。照明付
Honda CONNECT for Gathers+ナビ装着用スペシャルパッケージメーカーオプション標準
Honda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載器なしメーカーオプション
スピーカー2個(Gathers のパッケージを付けると4個)4個
USBジャック(Type-A)、セキュリティーアラーム、LEDのフロントマップランプ・ルームランプ、シャークフィンアンテナ、リアワイドカメラGathers のパッケージを付けると付く標準
急速充電対応のUSBチャージャー(Type-A)なしHonda CONNECTディスプレーを付けると付く
スポーティーフロントグリル&スポーティーバンパー(前後)なし標準(ブラック)
フルホイールキャップ(15インチスチールホイール)シルバーシャークグレー・メタリック。15インチアルミホイールをメーカーオプションで選べる
全長3,995mm4,080mm
選べるボディーカラー3色7色

冬の朝:シートヒーターは Z に付く

運転席&助手席シートヒーターは、冷えた車内でシートの座面を温める装備で、温度を3段階で調節できます。X には付かず、ガソリン車か e:HEV かでも変わりません。ステアリングヒーターが付くのは CROSSTAR と RS です。

4WD を選ぶと、X でも Z でも、コンフォートビューパッケージ(親水/ヒーテッドドアミラー、熱線入りフロントウインドウ)が標準で付きます。FF には、どのタイプにも付きません。雪の降る地域で 4WD にするなら、ドアミラーとフロントウインドウの熱線は X にも付きます。シートやハンドル、ドアミラー、窓を温める装備で X と Z が違うのは、シートヒーターだけです。

クラ

妻は、冬の朝はハンドルも冷たいって言ってた

シキ

ステアリングヒーターは、Z を選んでも付きません。Z で温まるのは、運転席と助手席の座面です

クラ

ハンドルまで温めるなら CROSSTAR か RS か。どっちも予算に入らないなあ

夏の日差し:フロントのガラスが赤外線をカットする

Z のフロントウインドウガラスは「遮音/IRカット〈遮熱〉/UVカット機能付」、フロントドアガラスは「IRカット〈遮熱〉/スーパーUVカット」です。Honda はこのフロントウインドウガラスを、外の音をカットして静粛性を高め、日焼けの原因になる紫外線と、暑さの原因になる赤外線をカットするガラスだと説明しています。

X のフロントウインドウガラスは「遮音/UVカット機能付」で、遮音の機能は X にも付きます。X と Z で違うのは赤外線のカットで、フロントドアガラスも X は「高熱線吸収/UVカット機能付」です。リアドアから後ろの窓は、どのタイプもプライバシーガラスです。

通勤の時間に、運転席の横の窓から日が入る道を走るなら、Z を選ぶ理由になります。

駐車場:マルチビューカメラシステムを選べるのは Z

マルチビューカメラシステムは、前と後ろ、左右のドアミラーの下にあるカメラの映像から、車を上から見下ろしたような「グラウンドビュー」などをナビの画面に映します。Z ではメーカーオプションで選べて、X では選べません。走行中に斜め後ろの車を検知するブラインドスポットインフォメーションと、見通しの悪い場所からバックで出るときを支援する後退出庫サポートも、X では選べず、Z ではメーカーオプションです。

X にも、Honda SENSING に含まれるパーキングセンサーシステムは付きます。駐車のときなどに、車の前と後ろの障害物を検知する装備です。

最小回転半径は、X も Z も4.9mです。全長は Z が85mm長く、4,080mmです。全高は、FF の Z が1,540mm、4WD の Z が1,565mmです。X の FF は1,515mmで、Gathers のパッケージを付けると1,540mmになります。

クラ

妻の会社の駐車場は、バックで止めるんだって

シキ

X でも、前と後ろの障害物はパーキングセンサーシステムが検知します。後ろの映像は、Gathers のパッケージに入っているリアワイドカメラで、販売店で付ける純正ナビの画面に映せます。パッケージは X ではメーカーオプションです。Z にマルチビューカメラシステムを付けると、前と左右のカメラの映像も合わせて、車を上から見下ろしたような映像で見られます

クラ

Z にするなら、カメラを付けた金額まで出してもらわないと比べられないね

車内:前と後ろのひじ掛けと、手に触れる素材

Z は前席の間がアームレスト付センターコンソールボックス(ドリンクホルダー付)で、X はテーブルコンソールです。後席のリアセンターアームレストも、Z には付いて、X には付きません。Honda はリアセンターアームレストを、遠出のときも後席でくつろげるように付けた装備だと説明しています。

シートは、X がファブリック、Z はプライムスムースとエンボスファブリックを組み合わせたコンビシートです。Z には、助手席の前のインストルメントパネル、コンソールのひざが当たる部分、フロントドアの内張りとひじ掛けに、プライムスムースのソフトパッドも付きます。ステアリングホイールとセレクトレバーが本革巻になるのも Z です。

後席の広さについて、Honda の製品サイトは、前席の背もたれの裏をカーブ状にへこませたことを理由の1つに挙げています。その注記に挙がっているタイプは e:HEV Z、e:HEV CROSSTAR、e:HEV RS、Z で、X は入っていません。

サンバイザーの鏡は、X は運転席だけに付きます。Z は運転席と助手席の両方に付き、照明も付きます。

ホンダ フィット BASIC 4WD(6BA-GR2)の運転席まわりを、後席のあたりから見た写真。2026年7月のマイナーモデルチェンジより前の個体で、BASIC はこの改良で名前が X に変わった。前席の間はひじ掛けのない低いトレーで、エアコンの操作部は3つのダイヤル。ステアリングホイールは2本スポークで、シートは灰色の布張り。中央にナビの画面が付いている
写真: TTTNIS — Wikimedia Commons(CC0)。2026年7月のマイナーモデルチェンジより前の BASIC(いまの X)

ナビは、X だと注文のときに決める

Honda の純正ナビ「Gathers」(ディーラーオプション)を X に付けるには、メーカーオプションの「Honda CONNECT for Gathers+ナビ装着用スペシャルパッケージ」が要ります。Z では、このパッケージが標準です。

X にこのパッケージを付けると、スピーカーが2個から4個になり、USBジャック(Type-A)、セキュリティーアラーム、LEDのフロントマップランプとルームランプ、シャークフィンアンテナ、リアワイドカメラなども付きます。このパッケージには、Honda CONNECT 用の緊急通報ボタンと車載通信機も入っています。ボタンで緊急サポートセンターにつながるのは、Honda CONNECT に対応したナビかディスプレイオーディオを付けて、Honda Total Care プレミアムに申し込んだときです。

Z では、さらにメーカーオプションで「Honda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載器」を選べます。付けると標準の Gathers のパッケージと入れ替わり、急速充電に対応した USBチャージャー(Type-A)も付きます。X では、このディスプレーは選べません。

X でナビを使うつもりなら、このパッケージを付けるかどうかは、注文のときに決めます。

ガソリン車の X はヘッドライトとエアコンも、e:HEV の X は後席で使う装備も違う

ガソリン車の X は、ヘッドライトがマルチリフレクターハロゲンヘッドライトで、エアコンはマニュアル・エアコンディショナーです。LEDポジションランプ&LEDフロントターンランプも付きません。

ほかのタイプは、e:HEV の X や助手席回転シート車も含めて、すべてフルLEDヘッドライト〈デイタイムランニングランプ付〉とフルオート・エアコンディショナーで、LEDポジションランプ&LEDフロントターンランプも付きます。

e:HEV どうしで比べると、表の装備のほかに、後席用USBチャージャー(Type-C、2個)、運転席のシートバックポケット、シートバックスマートフォンポケットも、e:HEV の Z には付き、e:HEV の X には付きません。ガソリン車には、X にも Z にも付きません。後席用USBチャージャーはセンターコンソールの後ろの端にあり、後席でスマートフォンなどを充電できます。

タイヤのサイズと足まわりの形式は、X と Z で同じ

タイヤは X も Z も185/60R15です。サスペンションは、FF がマクファーソン式と車軸式、4WD がマクファーソン式とド・ディオン式で、X と Z の違いはありません。

車両重量の差は、FF のガソリン車で20kg(X が1,080kg、Z が1,100kg)、FF の e:HEV で10kg(X が1,190kg、Z が1,200kg)です。WLTCモードの燃費は、FF のガソリン車で X が18.3km/L、Z が18.1km/L です。4WD のガソリン車は、X も Z も16.0km/L です。

X と Z で大きく違うのは、タイヤ、サスペンション、車両重量、燃費ではなく、装備です。

見積もりの前に決める順番

最初に決めるのは、ガソリン車か e:HEV かです。1年に走る距離を出しておけば、燃料の差をお金に直して、約35万〜43万円の価格差と並べられます。

次が X か Z かです。冬の朝のシート、日の当たる窓、バックで止める駐車場のように、毎日の通勤で出会う場面から考えると決めやすくなります。シートヒーターも、赤外線をカットするガラスも、マルチビューカメラシステムも、X では注文のときにも選べません。

X にするなら、3つ目に Gathers のパッケージを付けるかを決めます。Honda の純正ナビ「Gathers」を付けるならこのパッケージが要り、メーカーオプションなので、注文のあとからは付けられません。パッケージの価格は、見積書で確かめます。

見積もりは、X はナビを付けるなら Gathers のパッケージを付けた額で、Z はマルチビューカメラシステムを付けた額と付けない額の2通りで出してもらいます。並べると、X と Z の差が自分の注文でいくらになるかが分かります。Honda はメーカーオプションについて、ほかのメーカーオプションとセットで付く場合があると書いているので、カメラを付けた見積もりでは、ほかに足されたオプションがないかも見ておきます。

実際に乗っている人の評価は、みんカラのフィットのレビューで読めます。