タント vs N-WGN|ドアの開き方と運転席で何が違う?

左がダイハツ タント カスタムRS(5BA-LA650S-GBVZ)、右がホンダ N-WGN L・Honda SENSING(DBA-JH3)の前方からの外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・2枚を左右に並置し縮小)

軽のスーパーハイトワゴンで乗り降りのしやすさを最優先にすると、タントとN-WGNが並びます。どちらも背が高く、後席の頭上に余裕がある設計です。

ただしドアの開き方が根本から違います。タントには前後のドアの間に柱がありません。 ここは装備を足して埋められる差ではないので、まずここから決まります。

柱を抜いた間口が要るか、運転姿勢が要るか

最初に見るのはBピラー、つまり前席ドアと後席スライドドアの間にある柱です。タントの「ミラクルオープンドア」は、この柱を無くしてドアヒンジをスライドドア側に移した構造で、両方のドアを開けると間口が柱なしで一体になります。N-WGNは通常構造で、前席がヒンジドア、後席が両側スライドドア。柱は残ります。

そのうえで、運転席まわりの3つを見ます。ハンドルの前後調整(テレスコピック)、前席シートヒーター、シートの前後移動量。テレスコピックと前席シートヒーターはN-WGNが全タイプ標準で、シートの前後移動量はタントだけがロングスライドを選べます。

全長3,395mm・全幅1,475mmは軽規格の上限で同じなので、外寸では差が付きません。

柱の強度、70mmの室内差、遮音ガラス、買取上限

Bピラーがないと、車体は弱くならないのですか

Bピラーは車体剛性を支える部材でもあります。タントはスライドドア側のヒンジや床下といった別の場所で強度を確保する設計です。

室内はどちらが広いですか

タントです。室内長は2,125mm対2,055mmで70mm長く、室内高も1,370mm対1,300mmで70mm高い。おもしろいのはホイールベースで、こちらはN-WGNが60mm長い2,520mm。N-WGNは室内長が短いのにホイールベースは長いので、タントはホイールベースの外側(前後オーバーハング)で室内空間を稼いでいる可能性があります。

静かなのはどちらですか

装備表からは差が読み取れません。「遮音ガラス」は、どちらの装備表にも記載がありません。 両車とも前面に遮熱(IRカット)ガラスを採用していて、タントがスーパーUV&IRカットガラス、N-WGNがIRカット(遮熱)/UVカット機能付という表記です。軽自動車では上位クラスのような遮音ガラスは一般的でなく、静粛性は主に車体の吸音材とタイヤに依存すると考えられます。

買取相場に差はありますか

カーセンサーの買取相場(2026年7月更新)は、タントが3.0万円〜142.2万円、N-WGNが11.9万円〜103.7万円です。上限額はタントのほうが高く出ています。ページに並ぶ「4.3点(149件)」「4.5点(32件)」は査定満足度の評価件数で、相場の集計台数ではありません。グレード別の内訳は同ページに掲載がありません。

軽の枠内で、全高だけが違う2台

項目タント(LA650S)N-WGN(JH3)
全長3,395mm3,395mm
全幅1,475mm1,475mm
全高1,755〜1,775mm1,675〜1,725mm
ホイールベース2,460mm2,520mm
室内長2,125mm2,055mm
室内幅1,350mm1,350mm
室内高1,370mm1,300mm
最低地上高150〜165mm140〜145mm
車両重量(NA)880〜930kg850〜920kg
WLTC燃費(NA・2WD最良)26.4km/L(カスタムX)23.0km/L(L)
WLTC燃費(ターボ・2WD)24.3km/L(カスタムRS)21.7km/L(L・ターボ)
項目タント(NA)タント(ターボ)N-WGN(NA)N-WGN(ターボ)
総排気量0.658L0.658L0.658L0.658L
最高出力38kW(52PS)/6,90047kW(64PS)/6,40043kW(58PS)/7,30047kW(64PS)/6,000
最大トルク60N·m(6.1kgf·m)/3,600100N·m(10.2kgf·m)/3,60065N·m(6.6kgf・m)/4,800104N·m(10.6kgf·m)/2,600

数値はダイハツ「タント 主要諸元表」「タント 主要装備一覧表」とホンダ「N-WGN 主要諸元」(いずれも2026年執筆時点)、価格は両社の公式価格ページ、買取相場はカーセンサー(2026年7月更新)によります。価格・仕様は改良で変わるため、購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。買取相場は掲載物件からの集計値で、実際の査定額は状態・走行距離・時期・業者・地域で変わります。

タント|柱がない。代わりになるものがありません

チャイルドシートに子どもを乗せる。助手席側から後席に荷物を置く。ベビーカーを横から積み降ろす。この動作を毎日くり返すなら、柱のないタント以外に選択肢はありません。 前後のドアを両方開けたときの間口が、そのまま作業スペースになります。

その構造と合わせて使えるのが、シートの前後移動量です。助手席は380mmスライドし、全グレード標準。運転席も22,000円のメーカーオプションで540mmのロングスライドが選べます。N-WGNにこの設定はありません。助手席側を大きく空けて、そこから後席にアクセスする使い方が、ドアと座席の両方で用意されています。

室内は70mm長く70mm高い。最低地上高も150mm(ターボ車は165mm)とN-WGNの140mm(ターボ車は145mm)より高く、段差の多い駐車場では10〜20mmの差が擦り傷の有無を分けることがあります。燃費もNA・2WDの最良値で26.4km/L対23.0km/L、ターボ・2WDで24.3km/L対21.7km/Lと上回ります。室内が広いぶん不利になりそうなところで、カタログ値はタントが良い数字です。

いちばん安いLは1,485,000円で、N-WGNのLより約9万円安く買えます。

タントのグレード価格(税込・2WD)
L1,485,000円〜
X1,617,000円〜
X “Limited”1,639,000円〜
Xターボ1,732,500円〜
カスタム X1,870,000円〜
カスタムX “Limited”1,892,000円〜
カスタム RS1,963,500円〜
カスタムRS “Limited”1,985,500円〜

弱点は運転席まわりに集まります。ステアリングはチルトのみで、前後調整はできません。前席シートヒーターも、最廉価のLだけは4WD限定で、2WDのLには付きません。寒冷地でLを2WDで買うなら、シートヒーターなしで冬を過ごすことになります。

タイヤも標準グレードとカスタム系で分かれます。カスタム系が履く165/55R15は、標準グレードの155/65R14よりサイドウォールが約10mm薄い。路面の目地や段差の角が伝わりやすい構成です。見た目を取るか乗り心地を取るかが、そのままホイールサイズの選択に出ています。

N-WGN|運転姿勢と冬の装備が、全タイプ標準です

運転席まわりの3項目が、すべてのタイプに付いてきます。

項目タントN-WGN
チルト/テレスコピックチルトのみテレスコピック&チルト(全タイプ標準)
前席シートヒーターカスタムRS/カスタムX/Xターボ/X標準、Lは4WDのみ全タイプ標準
運転席シートリフター全グレード標準全タイプ標準(運転席ハイトアジャスター)
運転席ロングスライド540mm(22,000円のメーカーオプション)設定なし
助手席ロングスライド380mm(全グレード標準)設定なし
シート表皮(上級)レザー調×ファブリック(カスタムRS/カスタムX)フルプライムスムース ダブルステッチ(CUSTOM系)
シート表皮(標準)フルファブリック 撥水加工(Xターボ/X/L)ジャージー(背面トリコット)

ハンドルを前後に動かせるのはN-WGNだけです。 座高と腕の長さの組み合わせによっては、ここで運転姿勢の合わせ方が変わります。タントでは、そもそも選べません。

ターボのエンジンも、トルクの出方が違います。最高出力は両車とも64PSで一致しますが、最大トルクの発生回転数はN-WGNが2,600rpm、タントが3,600rpm。N-WGNのほうが1,000rpm低い回転から104N·mに到達します。NA車も58PS/65N·mで、タントの52PS/60N·mを上回ります。

後ろのサスペンションは、4WDだけ形式が分かれます。両車ともトーションビーム式が基本で、4WDはタントが3リンク式、N-WGNがド・ディオン式。ド・ディオン式は左右輪を1本のアクスルでつなぎつつ車軸重量を減らす形式で、左右輪の位置決めの精度が高くなります。

N-WGNのグレード価格(税込・2WD)
L1,576,300円〜
L ファッションスタイル1,675,300円〜
CUSTOM L1,794,100円〜
CUSTOM L 特別仕様車 BLACK STYLE1,860,100円〜
CUSTOM L・ターボ1,912,900円〜
CUSTOM L・ターボ 特別仕様車 BLACK STYLE1,978,900円〜

弱点は間口と、シートの汚れです。柱は残るので、横から積み降ろす作業ではタントほど楽ではありません。標準グレードのシート表皮はジャージー素材で、撥水加工の記載がありません。タントの標準グレードは撥水加工のフルファブリックなので、飲み物をこぼしやすい子ども乗せの用途では実務的な差になります。

柱で決まらなければ、運転席で決まります

  1. 後席への出入りを、横からするか。 ベビーカーやチャイルドシートで毎日くり返すなら、ここでタントに決まります。Bピラーレスは後から付けられません。
  2. ハンドルの前後調整が要るか。 座って合わせてみて必要だと感じたら、N-WGNです。タントには設定がありません。
  3. 最廉価グレードを2WDで買うか。 そのつもりなら、約9万円差の中身は、ハンドルの前後調整と前席シートヒーターです。タントのLは2WDだとシートヒーターが付きません。

軽自動車の車中泊ベースとしての比較は軽キャンパーのベース車両比較もどうぞ。