軽キャンパーのエブリイとハイゼットカーゴ|荷室がいちばん長いグレードは?
軽バンで車中泊、高いグレードのほうが広いよね?
後席を畳むと最長は1,915mm。最安のスペシャルです
お金を足すと寝床が短くなるの?JOIN系・PC・クルーズ系は1,820mm。90〜95mm短いです
順番は寝る向き、グレード、車種、ターボですまず家のマットを測る。1,820mmで足りるか確かめる 軽バンで車中泊をするなら、荷室がいちばん長いのは、装備がいちばん簡素で、いちばん安いグレードです。エブリイならPA、ハイゼットカーゴならスペシャルです。
外寸は軽規格で決まっているので、全長3,395mm・全幅1,475mmはどちらも同じ。違うのは荷室の寸法で、価格の高いグレードを選ぶと、寝るための長さが90〜95mm短くなります。
「せっかく買うなら、内装のきれいなグレードにしたい」。そう思って見積もりを進めたあとで気づいても、荷室の長さはオプションでは変えられません。
荷室がいちばん長いのは、いちばん安いグレードです
理由は3つです。
まず、価格の高いグレードのほうが荷室が短くなっています。最長はハイゼットカーゴのデラックス・スペシャルクリーン・スペシャルの1,915mmと、エブリイのPAの1,910mmです。ハイゼットカーゴのクルーズとクルーズターボ、エブリイのJOIN・JOINターボ・PCは1,820mmで、90〜95mm短くなります。ターボが付くかどうかで分かれるわけではありません。
次に、その差額を架装の費用にあてられます。ハイゼットカーゴなら、荷室1,915mmのスペシャルが1,155,000円から、1,820mmのクルーズが1,353,000円から、クルーズターボが1,639,000円から。荷室が長いほうが約20万円、ターボ付きと比べれば約48万円安くなります。軽キャンパーは架装の費用が別にかかるので、この差はそのまま内装の予算になります。
そして、寝るための長さは、いちばん安いグレードでもう足りています。8ナンバー(キャンピング車)の就寝設備要件は長さ1.8m以上で、1,820mmの短いほうでも満たします。価格の高いグレードを選んでも、寝られる長さは増えません。
安いほうが荷室が長いって、ふつう逆じゃないの
値段の順番と荷室の長さの順番が合っていません。ハイゼットカーゴなら、1,155,000円のスペシャルが1,915mm、1,353,000円のクルーズが1,820mmです
ターボにすれば長くなる、みたいな話でもないの
関係ありません。クルーズターボも1,820mmで、クルーズと同じです
じゃあ最初に測るのは、うちで寝る人の身長だね。1,820mmで足りるなら、グレードは好きに選んでいい
軽バンでは、前後方向に寝るしかありません
寝る向きは荷室幅で決まります。軽バンの荷室幅は1,265〜1,320mmで、横向きに寝ると1.8mに届きません。
同じ判断はハイエース vs キャラバンでもしています。あちらは荷室幅1,520mmで、それでも横向きのベッドは1.8mに届きませんでした。軽バンは幅がさらに200mm以上狭いので、なおさら前後方向です。
後席を使ったまま寝るという選び方もできません。4名乗車時の荷室は次のとおりです。
| 車種・グレード | 4名時の荷室長 | 4名時の荷室幅 |
|---|---|---|
| エブリイ PA | 975mm | 1,385mm |
| エブリイ JOIN / JOINターボ | 930mm | 1,385mm |
| エブリイ PC | 975mm | 1,385mm |
| ハイゼットカーゴ(デッキバンを除く各グレード) | 1,005mm | 1,410mm |
4名乗車のままだと、前後方向は1m、左右方向は1.4mです。4名乗車のままでは、どちらの向きでも大人が横になれる長さはありません。
2名乗車時の荷室長は、1,915mmと1,820mmに分かれます
後席を畳んだ状態の荷室寸法です。
| 車種・グレード | 荷室長 | 荷室幅 | 荷室高 |
|---|---|---|---|
| エブリイ PA | 1,910mm | 1,320mm | 1,240mm |
| エブリイ JOIN / JOINターボ / PC | 1,820mm | 1,280mm | 1,240mm |
| ハイゼットカーゴ デラックス/スペシャルクリーン/スペシャル | 1,915mm | 1,270mm | 1,250mm |
| ハイゼットカーゴ クルーズ/クルーズターボ | 1,820mm | 1,265mm | 1,225mm |
| ハイゼットカーゴ デッキバン | 880mm | 1,360mm | 610mm |
荷室長は、両社の寸法図では前席の後ろから荷室の後端までの長さとして描かれています。JOIN系とPC、クルーズ系で90〜95mm短くなる理由は、ダイハツ・スズキとも諸元表に書いていません。測定条件の詳細も載っていないので、この差の理由は分かりません。
言えるのはひとつだけです。「価格の高いグレードのほうが快適に車中泊できる」とは、荷室寸法の数値からは言えません。
デッキバンは条件が違います。荷室長880mmで、1.8mの要件を満たしません。
寝床の幅はエブリイPA、荷室高はハイゼットカーゴのデラックス/スペシャルクリーン/スペシャル

| 項目 | エブリイ | ハイゼットカーゴ |
|---|---|---|
| 全長 | 3,395mm | 3,395mm |
| 全幅 | 1,475mm | 1,475mm |
| 全高 | 1,895mm | 1,890mm |
| ホイールベース | 2,430mm | 2,450mm |
| トレッド(前/後) | 1,310/1,290mm | 1,305/1,300mm |
| 最低地上高 | 150mm | 160mm |
| 最小回転半径 | 4.1m | 4.2m |
| 乗車定員 | 2[4]名 | 2《4》名 |
| 最大積載量 | 350[250]kg | 350《250》kg |
| エンジン型式 | R06A | KF |
| 総排気量 | 658cc | 658cc |
| 燃料タンク容量 | 37L | 38L |
※[ ]《 》内は4名乗車時。エブリイはハイルーフの数値。
寝床の幅がほしいならエブリイPAです。荷室幅1,320mmで、ハイゼットカーゴのデラックス/スペシャルクリーン/スペシャル(1,270mm)より50mm、クルーズ系(1,265mm)より55mm広い。前後方向に寝るレイアウトなら、この50mm・55mmがそのまま寝床の幅の差になります。
床を上げて下に収納を作るなら、ハイゼットカーゴのデラックス/スペシャルクリーン/スペシャルです。荷室高1,250mmでエブリイより10mm高く、8ナンバーの炊事設備には上方の有効高さの要件があるので、設備の上に取れる高さがその10mmぶん増えます。クルーズ系の荷室高は1,225mmで、エブリイより15mm低くなります。
最小回転半径はエブリイが4.1m、ハイゼットカーゴが4.2mです。ホイールベースがエブリイのほうが20mm短いことと合います。キャンプ場や狭い林道で切り返す機会が多いなら、この0.1mが選ぶ理由になります。
幅が50mm違うって、寝てみて分かるものなの
寝てみた話はできません。分かるのは、エブリイPAが1,320mm、ハイゼットカーゴのスペシャルが1,270mmという数字だけです
じゃあ先に測るのは、いま使っているマットの幅だね。それが入るかどうかなら、数字で決められる
ターボが付くのは、荷室1,820mmのグレードです
ターボを積むのは、エブリイのJOINターボとハイゼットカーゴのクルーズターボだけです。荷室長はどちらも1,820mmですが、ターボのないJOIN・PC・クルーズも同じ1,820mmです。荷室長が1,910mm・1,915mmのPAとデラックス/スペシャルクリーン/スペシャルには、ターボの設定がありません。
| 項目 | エブリイ | ハイゼットカーゴ |
|---|---|---|
| エンジン型式 | R06A | KF |
| 種類 | 水冷直列3気筒 | 水冷直列3気筒 |
| 内径×行程 | 64.0×68.2mm | 63.0×70.4mm |
| NA 最高出力 | 36kW(49PS)/6,200rpm | 5MT:34kW(46PS)/5,700rpm CVT:39kW(53PS)/7,200rpm |
| NA 最大トルク | 60N·m(6.1kgf·m)/4,000rpm | 60N·m(6.1kgf·m)/4,000rpm |
| ターボ 最高出力 | 47kW(64PS)/6,000rpm | 47kW(64PS)/5,700rpm |
| ターボ 最大トルク | 95N·m(9.7kgf·m)/3,000rpm | 91N·m(9.3kgf·m)/2,800rpm |
| 駆動方式 | 後2輪駆動/パートタイム4WD | FR(後2輪駆動)/パートタイム4WD |
ターボはどちらも47kW(64PS)で、軽自動車の自主規制値と同じです。トルクはエブリイが95N·mを3,000rpmで、ハイゼットカーゴが91N·mを2,800rpmで出します。NAの60N·m/4,000rpmと比べると、発生回転数が1,000rpm以上低くなります。架装で車重が増えたあとの登坂で、エンジンを高回転まで回さずに済むのはターボのほうです。
ハイゼットカーゴのNAは、変速機で最高出力が変わります。5MT車が34kW(46PS)/5,700rpm、CVT車が39kW(53PS)/7,200rpmです。
燃費は、同じCVT同士で比べると、ターボにするとエブリイで1.3km/L、ハイゼットカーゴで0.9km/L下がります。
| グレード | WLTC |
|---|---|
| エブリイ PA / JOIN(2WD・5MT) | 17.2km/L |
| エブリイ JOIN(2WD・CVT) | 16.4km/L |
| エブリイ JOINターボ | 15.1km/L |
| ハイゼットカーゴ(2WD・CVT) | 15.6km/L |
| ハイゼットカーゴ(2WD・5MT) | 14.9km/L |
| ハイゼットカーゴ クルーズターボ | 14.7km/L |
架装後は重量が増えるぶん、実際の燃費はこれより悪くなります。カタログ値は比較の目安です。
両車ともFR(後輪駆動)ベースで、最大積載量はどちらも350kgです。架装で重量が増える軽キャンパーでは、この350kgが制約になります。
エンジンが強いほうが、重い架装でも平気になるのかと思ってた
そこは別の数字です。ターボで変わるのは出力とトルクで、最大積載量は350kgのままです
棚を増やすほど、持ち込める荷物が減るのか。何を積みたいかを先に書き出さないと、架装の相談もできないね
荷室が長いグレードのほうが安い
ハイゼットカーゴ(税込・各グレードのいちばん安い仕様の価格)
| グレード | 価格 |
|---|---|
| スペシャル | 1,155,000円〜 |
| スペシャルクリーン | 1,232,000円〜 |
| デラックス | 1,270,500円〜 |
| クルーズ | 1,353,000円〜 |
| デッキバンL | 1,430,000円〜 |
| クルーズターボ | 1,639,000円〜 |
| デッキバンG | 1,727,000円〜 |
荷室長1,915mmのスペシャルが最安の1,155,000円からです。いちばん安いグレードの荷室長が、全グレードでいちばん長いです。
エブリイ(税込・各グレードのいちばん安い仕様の価格)
| グレード | 価格 |
|---|---|
| PA | 1,343,100円〜 |
| PC | 1,540,000円〜 |
| JOIN | 1,541,100円〜 |
| JOINターボ | 1,775,400円〜 |
荷室長1,910mmのPAが最安の1,343,100円からです(2WD・5MT。受注生産のLEDヘッドランプ非装着車はさらに55,000円安)。CVT同士でも、PAの1,434,400円に対してPCは1,540,000円、JOINは1,654,400円、JOINターボは1,775,400円です(いずれも2WD)。
8ナンバーにするかどうかは、あとで決めて構いません
キャンピング車として8ナンバーで登録するなら、大人用の就寝設備に長さ1.8m以上が必要です。荷室長で見ると、デッキバン以外はすべて満たします。
| グレード | 荷室長 | 1.8m(1,800mm)の充足 |
|---|---|---|
| ハイゼットカーゴ デラックス/スペシャルクリーン/スペシャル | 1,915mm | 満たす |
| エブリイ PA | 1,910mm | 満たす |
| エブリイ JOIN/JOINターボ/PC / ハイゼットカーゴ クルーズ/クルーズターボ | 1,820mm | 満たす |
| デッキバン | 880mm | 満たさない |
ただし就寝設備の長さだけで8ナンバーになるわけではありません。炊事設備、水道設備、面積の要件と、条件はいくつもあります。軽バンの荷室にそれらをすべて収めるのは窮屈だと思います。8ナンバーにせず、4ナンバーのまま車中泊仕様にする選び方もあります。条件は8ナンバー(キャンピング車)の構造要件を数値で全整理にまとめてあります。
決める順番は、寝る向き・グレード・車種・ターボです
寝る向きは選べません。軽バンの荷室幅では前後方向しか成立しないので、ここは確認するだけで済みます。そのうえで、家で寝ている人の身長と、いま使っているマットの寸法を測ります。1,820mmで足りるのか、1,910mm・1,915mmが要るのかは、その数字で決まります。
次がグレードです。荷室長はグレードで決まり、あとから伸ばせません。ここを先に決めておけば、内装の好みで迷っても、寝床の寸法は変わらないまま比べられます。
車種はその次です。寝床の幅を優先するならエブリイPA、床下に収納を作るならハイゼットカーゴのデラックス/スペシャルクリーン/スペシャル、切り返しの多い場所へ行くならエブリイです。
ターボは最後です。架装の内容と重さが決まってからでも遅くありません。逆にターボを先に決めると、荷室長1,820mmのグレードしか選べなくなります。
本記事の数値は、スズキおよびダイハツ工業が公開する公式の主要諸元(執筆時点)によります。仕様・価格・装備は予告なく変わります。架装できるかどうかは架装メーカー、登録できるかどうかは運輸支局にご確認ください。