クラウン エステートのPHEVとハイブリッド|175万円の差で何が増える?
PHEVのRSは、ハイブリッドのZより175万円高い。出力も大きいの?
前後モーターは2グレード共通。エンジン最高出力はRS130kW、Z140kW
安いZのほうがエンジンの最高出力は大きいの?じゃあ175万円で何が付くの?
充電と給電の装備、NAVI・AI-AVS、後席左右シートヒーターなど先に、駐車位置に充電用の電源を引けるかを確かめるよ トヨタ クラウン エステートのグレードは、特別仕様車を除くと、プラグインハイブリッド(PHEV)の ESTATE RS と、ハイブリッドの ESTATE Z の2つです。価格はRSが810万円、Zが635万円で、差は175万円です。
「175万円高いのだから、RSのほうが速いはず」と考えたくなりますが、諸元表を2グレードで並べてみると、そうは読めないことに気づきます。前後のモーターは型式も出力も2グレード共通で、フロントが5NMの134kW・270N·m、リヤが4NMの40kW・121N·m。エンジンも同じA25A-FXSです。違うのはエンジンの出力設定で、RSは130kW(177PS)/6,000rpm・219N·m/3,600rpm、Zは140kW(190PS)/6,000rpm・236N·m/4,300〜4,500rpmとなっています。システム最高出力は2グレードとも諸元表に載っていないので、合計出力での比較はできません。
エンジン単体の最高出力も最大トルクも、175万円安いZのほうが大きい数字です。
高いほうがエンジンの出力は小さいんだ。じゃあ走るための部品で、RSにあってZにないものって何?
電池が違います。RSはリチウムイオンの51Ah、Zはニッケル水素の5Ahです。EV走行換算距離は、RSに89kmの記載があり、Zにはありません
では、175万円で何が付くのでしょうか。最初に挙げるのは、コンセントにつなぐための装備です。
| ESTATE RS | ESTATE Z | |
|---|---|---|
| 車両型式 | 6LA-AZSH39W-CNXZB | 6AA-AZSH38W-CNXGB |
| メーカー希望小売価格(消費税込み) | 8,100,000円 | 6,350,000円 |
| パワートレイン | 2.5L プラグインハイブリッド | 2.5L ハイブリッド |
| エンジン最高出力 | 130kW(177PS)/6,000rpm | 140kW(190PS)/6,000rpm |
| エンジン最大トルク | 219N·m/3,600rpm | 236N·m/4,300〜4,500rpm |
| フロントモーター | 5NM・134kW(182PS)・270N·m | 5NM・134kW(182PS)・270N·m |
| リヤモーター | 4NM・40kW(54PS)・121N·m | 4NM・40kW(54PS)・121N·m |
| 動力用主電池 | リチウムイオン・51Ah | ニッケル水素・5Ah |
| EV走行換算距離 | 89km | ー |
| 燃料消費率(WLTC) | 20.0km/L | 20.3km/L |
| 車両重量 | 2,080kg | 1,890kg |
| 最低地上高 | 165mm | 175mm |
| 駆動方式 | E-Four | E-Four |
| サスペンション(前/後) | ストラット/マルチリンク | ストラット/マルチリンク |
| タイヤ | 235/45R21 | 235/45R21 |
| 全長×全幅×全高 | 4,930×1,880×1,625mm | 4,930×1,880×1,625mm |
| ホイールベース | 2,850mm | 2,850mm |
| 最小回転半径 | 5.5m | 5.5m |
| 室内(長/幅/高) | 1,930/1,540/1,200mm | 1,930/1,540/1,200mm |
| 乗車定員 | 5名 | 5名 |
(価格は’25年11月現在。北海道地区は寒冷地仕様が含まれ、RS 8,122,000円/Z 6,372,000円です)
175万円でまず増えるのは、充電と給電の装備
RSには充電インレットが付きます。普通充電と急速充電の両方に対応し、外部給電機能〈V2H〉も備えたものです。あわせて、充電インレット照明と充電インジケーター付きの充電ポート、ドアロックに連動するリッド&コネクターロックシステム、AC100V用の電源プラグコード、充電ケーブルバッグが標準で付きます。AC200V用の充電ケーブルも7mが標準で、15mに替えるときだけ1,100円のメーカーオプションになります。
Zには、これらの装備がひとつもありません。オプションでも設定がないので、Zを選ぶと、家のコンセントとクルマをケーブルでつなぐことはできません。
RSの一充電消費電力量は14.86kWh/回で、その1回ぶんで走れるEV走行換算距離が89kmです。片道20km台の通勤なら、往復しても89kmより短い距離です。交流電力量消費率は167Wh/kmで、市街地146・郊外156・高速道路186Wh/kmと、モードによって差があります。
駐車場の幅を測るときは、RSの全幅1,880mmが充電リッドを閉じた状態の数字であることに気をつけてください。リッドを全開にすると2,130mmになります(社内測定値)。壁や隣のクルマに寄せて停めるなら、リッドを開けるほうに25cmほどの余地が要ります。
見落とされやすいのは、車内で家電を使うことと、家に電気を送ることが別の装備だという点です。AC100V・1500Wのアクセサリーコンセント(非常時給電システム付)は2グレードとも標準で、センターコンソール後部に1個、ラゲージルーム右側に1個あります。RSにはこれにヴィークルパワーコネクターが付きます。車内で家電を使うことは、Zでもできます。
車中泊で家電を使う話は、車中泊のAC100V電源|シエンタ・セレナ・フリードで選べるのはどれ?にワット数から選ぶ手順をまとめてあります。
RSだけ、コーナーの手前で減衰力を変えるサスペンションになる

サスペンション形式は2グレードとも同じで、フロントがマクファーソンストラット、リヤがマルチリンクです。タイヤも標準は同じ235/45R21で、225/45R21に落とすメーカーオプション(-6,600円)が両方に用意されています。ホイールは21×8½Jのサイズこそ共通ですが、RSがマットブラック塗装+エアロホイールカバー、Zがダークグレーメタリック塗装+センターオーナメントで、外から見て分かる違いの1つがこのホイールです。
RSにはNAVI・AI-AVSが付きます。トヨタの説明では、状況に応じて減衰力を制御するAVSとナビゲーションを組み合わせ、前方のコーナー情報をもとにコーナーへ入る直前で減衰力を制御するものです。Zには設定がありません。形式もタイヤサイズも同じ2グレードで、サスペンションの違いは減衰力が可変かどうかにあります。
webCGの試乗記(島下泰久・2025年6月18日)では、このNAVI・AI-AVSについて「一般道のスピードレンジでも高いフラット感が味わえる」と評価されています。
RSのブレーキは、フロントが20インチ対向6ピストンのアルミキャリパー、リヤが18インチの鉄キャリパーで、前後ともレッドに塗られたカラードキャリパーです。Zは名称の付かない標準のブレーキになります。ディスクそのものは2グレードとも前後ベンチレーテッドディスクで、作動方式も油圧・回生ブレーキ協調式で共通しています。
ドライブモードセレクトは、RSがSPORT/NORMAL/REAR COMFORT/ECO/CUSTOM。ZではこのうちREAR COMFORTが選べません。トヨタはリヤコンフォートモードを、車線変更時にDRSで後席の横方向Gを下げ、AVSのピッチ低減制御で後席の揺れを減らすものだと説明しています。DRS自体はVDIMの一部として全車標準なので、RSで増えるのはAVSと組み合わせる制御のほうです。後席に人を乗せる時間が長い家庭なら、グレードを決める前に、このモードが要るかどうかを考えておきたいところです。
うちは後ろの席に親を乗せることが多いんだよね。REAR COMFORTって、Zにオプションで足せないの?
REAR COMFORTもNAVI・AI-AVSも、Zではオプションでも選べません
じゃあ販売店に行く前に、後ろの席に誰がどのくらい乗るのかを家で話しておくよ
後席シートヒーターとPTCヒーターは、RSにしかない

前席シートヒーター(3段階温度設定)、前席シートベンチレーション、ステアリングヒーターは、2グレードとも標準です。冬の朝に運転席と助手席を暖める装備は、どちらを選んでも付きます。
後席左右シートヒーターはRSだけに標準で、Zには設定がありません。PTCヒーターも同じくRSだけです。エアコンは2グレードとも左右独立温度コントロールのフルオートエアコン(オールオート機能付・S-FLOW:前席集中モード付)ですが、RSはこれに湿度センサーとヒートポンプシステムが付いた仕様になります。
寒冷地仕様(ウインドシールドデアイサー・ミリ波融雪機能など)は、2グレードとも22,000円のメーカーオプション。北海道地区の価格には最初から含まれています。
デッキチェアとデッキテーブルは、RSでは標準装備、Zでは販売店装着オプションです。ラゲージルーム拡張ボード、トノカバー、デッキフィニッシュプレート(SUS)のほうは2グレードとも標準装備です。荷室の後ろで椅子とテーブルを広げるつもりなら、Zではこの2点を販売店装着オプションとして見積書に加えることになります。
Zにしかないもの、Zのほうが選べるもの
スマートエントリー&スタートシステム(スマートキー×2)が標準なのはZのほうです。RSはクラウン専用キーが標準で、Zではこの専用キーが販売店装着オプションになります。EVドライブモードもZだけの装備で、RSにはEV/HVモード切替スイッチ(バッテリーチャージモード機能付)とAUTO EV/HVモードスイッチが付きます。
シート表皮と内装色の組み合わせは、Zが2通りです。本革ブラック×内装色ブラックと、本革サドルタン×内装色サドルタン(雲柄)。RSは本革ブラック×内装色グレイッシュブルー(雲柄)の1通りだけで、810万円のRSのほうが、選べる組み合わせは少なくなります。
先読みSOC制御(目的地予測)と先読みSOC制御(下り坂/渋滞)が付くのはZ、先読みEV/HVモード切りかえ制御が付くのはRSです。先読み減速支援だけが2グレードに共通です。
安全装備と遮音の装備は、RSとZで同じ
「高いほうが安全装備も多いのでは」と考えてRSを選ぶ必要はありません。安全装備と運転支援は、RSとZで標準装備が同じです。プリクラッシュセーフティ、緊急時操舵支援+FCTA+LCA、LTA+LDA、パーキングサポートブレーキ4種、ITS Connect、トヨタ チームメイト(アドバンスト パーク/アドバンスト ドライブ)、ドライバーモニターカメラ、パノラミックビューモニター、デジタルインナーミラー。どれもRSとZの両方に標準で付きます。
シートでは、本革シート表皮、除電スタビライジングプラスシート(運転席)、運転席8ウェイ/助手席4ウェイパワーシート、運転席の電動ランバーサポート、マイコンプリセットドライビングポジションシステム、パワーイージーアクセスシステムが2グレードで同じです。これらのシート装備は、175万円の差には関係しません。
静粛性にかかわる装備では、UVカット機能付ウインドシールドグリーンガラス(合わせ・遮音ガラス)、フードサイレンサー、ダッシュサイレンサー(室内・エンジンルーム)がいずれも2グレードに標準です。ディスプレイオーディオ Plus とトヨタ プレミアムサウンドシステム(10スピーカー/8chオーディオアンプ)、ハンズフリーパワーバックドアも2グレードに共通です。
2グレードの両方で選べるメーカーオプションは、金額も同じです。パノラマルーフが110,000円、デジタルキーが33,000円、寒冷地仕様が22,000円。ルーフレールのブラックとドアベルトモールディングのブラックも、それぞれ2グレードともメーカーオプションです。
見積もりの前に、駐車位置に充電用の電源を引けるかを確かめる
175万円で増える装備には、充電してはじめて使えるものと、一度も充電しなくても使えるものがあります。
充電してはじめて使えるのは、充電インレット、充電ポート、ドアロック連動リッド、V2Hの外部給電、そして89kmのEV走行を支える51Ahのリチウムイオン電池です。集合住宅の平置き駐車場のように、駐車位置に電源を引けないなら、自宅では充電できず、充電するには外出先の充電器を使うことになります。RSの車両重量は2,080kgでZより190kg重く、WLTCの燃料消費率はZの20.3km/Lに対して20.0km/Lです。
一度も充電しなくても使えるのは、NAVI・AI-AVS、20インチ対向6ピストンのフロントキャリパー、REAR COMFORTモード、後席左右シートヒーター、PTCヒーター、ヒートポンプ式のエアコン、標準装備のデッキチェアとデッキテーブルです。こちらが関わるのは、毎日の乗り心地とブレーキ、後席の快適さのほうです。
そのため、最初に確かめるのは、駐車位置に充電用の電源を引けるかどうかです。
次に確かめるのは、充電しなくても使える装備がどれだけ要るかです。NAVI・AI-AVSも20インチのフロントキャリパーもREAR COMFORTも、Zではオプションでも付けられません。
うちはマンションの平置きで、電源は引けないんだよね。でも後席のシートヒーターは欲しい
RSとZの2グレードのなかに、その組み合わせはありません。後席左右シートヒーターが付くのはRSだけです
自宅で充電できないままRSにするか、後席のシートヒーターなしでZにするか、どっちかってことか
前席シートヒーターとステアリングヒーターは、どちらを選んでも標準です
最後に、優遇額を差し引いた金額を販売店で確かめます。価格・グレードページには、エコカー減税・グリーン化特例・CEV補助金を合わせた優遇額の試算例が用意されています。PHEVとHEVでは対象になる制度が違うので、優遇を受けたあとの2グレードの差は175万円より小さくなります。金額は年度の予算と契約条件で変わるため、販売店で最新の条件を確認してください。
クラウンのほかのタイプとの違いは、クラウン クロスオーバーとスポーツ|後席が広いのはどっち?にまとめてあります。
実際に乗っている人の評価は、みんカラのクラウン(エステート)のレビューで読めます。
※価格・装備は’25年11月現在の公式PDF(主要諸元表・主要装備一覧表/グレード別主な標準装備比較表)にもとづく執筆時点の情報です。