ルーフボックスやはしごを付けたら|車検証の変更が要るかは何で決まる?
屋根にキャリアを付けたら、車検証の高さを直しに行くの?
指定部品を溶接やリベット以外で付けたなら、寸法の変更に当たらない
じゃあ溶接で付けたら、すぐ変更記録なの?
高さ±4cmの範囲なら当たらない。保安基準に合うかは別に確かめる 屋根にキャリアを載せる。車の後ろにはしごを付ける。そうすると車の高さや長さが、車検証に書かれた値と合わなくなることがあります。重さも増えます。「付けるたびに、車検証を直しに行かないといけないのか」と迷うところです。
国土交通省の依命通達「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査時等における取扱いについて」(自技第234号・自整第262号、平成7年11月16日、最終改正 平成27年6月11日)は、この問いに、部品の種類と取り付け方の組み合わせで答えています。国土交通省が別に定める「指定部品」なら、溶接かリベットで付けないかぎり、車検証の長さ・幅・高さや車両重量の欄は変更に当たりません。手で容易に着脱できる付け方なら、指定部品でなくても当たりません。範囲を確かめるのは、指定部品を溶接かリベットで付けたときと、指定部品でない部品を手で容易には着脱できない方法で付けたときです。
この通達が決めているのは、車検証の欄を直す手続きが要るかどうかまでです。部品を付けた状態で保安基準に適合していることは、手続きの要否とは別に求められています。
取り付け方3つと部品2つの組み合わせで、寸法と重さの欄を直すかが決まる
通達は、本文にあたる「記」の1で、取り付け方を3つ、部品を2つに分けて定義しています。
①「簡易な取付方法」とは、手で容易に着脱できる取付方法をいう。
②「固定的取付方法」とは、簡易な取付方法又は恒久的取付方法以外の取付方法をいう。
③「恒久的取付方法」とは、溶接又はリベットで装着される取付方法をいう。
④「指定部品」とは、ユーザーの嗜好により追加、変更等する蓋然性が高く、安全の確保、公害の防止上支障が少ないエア・スポイラ、ルーフ・ラック、ショック・アブソーバ、トレーラ・ヒッチ等別途定める自動車部品(以下「指定部品」という。)をいう。
⑤「指定外部品」とは、指定部品以外の自動車部品をいう。
(依命通達 記1(1))
3つの取り付け方は、部品の形では分かれていません。溶接かリベットなら恒久的、手で容易に着脱できるなら簡易、そのどちらでもなければ固定的です。
この3つと2つを組み合わせると、長さ・幅・高さ(記1(2))と車両重量(記1(3))の扱いは次のようになります。
| 取り付け方 | 指定部品 | 指定外部品 |
|---|---|---|
| 簡易な取付方法(手で容易に着脱できる) | 変更に当たらない | 変更に当たらない |
| 固定的取付方法(簡易でも恒久的でもない) | 変更に当たらない | 範囲内なら当たらない |
| 恒久的取付方法(溶接又はリベット) | 範囲内なら当たらない | 範囲内なら当たらない |
「範囲内」は、車検証に書かれている値に対する増減の幅です。
| 欄 | 範囲 |
|---|---|
| 長さ | ±3cm |
| 幅 | ±2cm |
| 高さ | ±4cm |
| 車両重量(検査対象軽自動車、小型自動車) | ±50kg |
| 車両重量(普通自動車、大型特殊自動車) | ±100kg |
指定部品の列で「範囲内なら」が付くのは、溶接かリベットで付けた行だけです。指定外部品の列では、手で容易に着脱できるかどうかが分かれ目になります。
範囲の基準になる値は、電子車検証の券面にも載っている「長さ/幅/高さ」と「車両重量/車両総重量」の欄にあります。車両重量の範囲が±50kgか±100kgかは、同じ券面の「自動車の種別」で決まります。重さについて変更に当たらないとされる欄には、車両重量のほか、車両総重量や空車状態における軸重も含まれます。範囲に照らす数値は車両重量です。
重さは普通車のほうが範囲が広いなら、高さの範囲も普通車のほうが広いの?
寸法の表は、種別で分かれていない。高さの±4cmは、軽でも普通車でも同じ
記1(2)と(3)には、それぞれが扱う欄のほかに車体の形状などの欄にも変更があって、構造等変更検査を命じる場合は「この限りでない」というただし書きが付いています。記1が扱っているのは、寸法と重さにかかわる欄だけです。
指定部品の一覧には、ラック類、ラダー、キャンピングカー用日除け、トレーラ・ヒッチなどが並ぶ
指定部品の中身は、同じ平成7年11月16日付けの「細部取扱いについて」(自技第235号、最終改正 平成15年4月8日)の別紙にあります。屋根まわりや車体の外側に付ける部品は、主に次の区分に並んでいます。
| 別紙の区分 | 並んでいる部品(原文の語) |
|---|---|
| Ⅰ 1.(1)空気流を調整等するための部品 | エア・スポイラ、エア・ダム、フード・ウインド・デフレクター、フード・スクープ、ルーバー、フェンダー・スカート、ピックアップ・トラック・ランニングボード、その他エアロパーツ類、二輪車のカウル類、二輪車のウインド・シールド |
| Ⅰ 1.(2)手荷物等を運搬するための部品 | ルーフ・ラック、エンクローズド・ラゲージ・キャリア、バイク/スキー・ラック、その他ラック類 |
| Ⅰ 1.(3)その他の部品(一部) | サンルーフ、キャンパー・シェル、キャンピングカー用日除け、ロール・バー、バンパー・ガード、グリル・ガード、アンダー・ガード、ラダー、サン・バイザー、ルーフトップ・バイザー、ウインチ、けん引フック、トウバー、水/泥はねよけ、アンテナ、後方監視用カメラ |
| Ⅱ 4. 連結装置関係の部品 | トレーラ・ヒッチ、ボール・カプラ |
Ⅱの「運行に当たり機能する自動車部品」には、ほかにタイヤ、ホイール、コイル・スプリング、ショック・アブソーバ、マフラーなども並んでいます。ヒッチを付けてトレーラーを牽くなら、けん引免許やブレーキが要るかどうかもあわせて確かめます。
別紙に「ルーフボックス」「ルーフテント」「オーニング」「はしご」という語はありません。箱形のキャリアなら(2)の並び、はしごなら(3)の「ラダー」、オーニングなら(3)の「キャンピングカー用日除け」と見比べることになりますが、手元の製品がどの語に当たるかまでは、別紙に書かれていません。
屋根の箱が別紙のどの語に当たるか分からないときは、どう当てはめればいいの?
指定外部品として表に当てはめる。本当は指定部品だったとしても、答えがそれより厳しくなることはない
(2)のラック類には、注が付いています。
注:道路交通法第55条第2項に定める積載の方法に抵触する蓋然性の高いものは、自動車の構造装置として記載事項の変更申請があった場合でも、これを認めないものとする。
(細部取扱い 別紙 Ⅰ 1.(2))
注が引く道路交通法の条文は、運転者に次のような乗車や積載をして運転することを禁じています。
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(道路交通法 第五十五条第二項)
範囲に収まらなければ、15日以内に車検証の変更記録を受ける
範囲を超えたときは、道路運送車両法 第六十七条第一項により、車の使用者が、その事由があった日から15日以内に車検証の変更記録を受けなければなりません。同条第三項の「国土交通省令で定める事由」を並べた施行規則 第三十八条第八項には「自動車の長さ、幅又は高さ」があり、この事由に当たる変更で保安基準に適合しなくなるおそれがあると認められれば、車を提示して構造等変更検査を受けるよう命じられます。この手続きの対象は車検証の交付を受ける車で、検査対象外軽自動車と小型特殊自動車は第五十八条で除かれています。
通達の文面は、この手続きを「自動車検査証の記載事項の変更」と書いています。いまの第六十七条の語は「自動車検査証記録事項」と「変更記録」で、法律は車検証の「記載」と「記録」を書き分けています。
手続きが要らなくても、保安基準への適合は別に求められる
見落とされやすいのは、車検証の欄を直さなくてよいことと、部品を付けた車が保安基準に適合していることが、別々の問いになっている点です。通達は、前文の終わりに次の一文を置いています。
なお、本取扱い通達により自動車部品を装着した自動車の構造・装置に係る道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号。以下「保安基準」という。)への適合性の判断に当たっては、当該自動車部品が装着された状態において保安基準の各条項に適合していることが必要であること、及び、本取扱い通達に基づき自動車部品を装着したことにより自動車の構造・装置が保安基準に適合していない場合にあっては、道路運送車両法(昭和26年法律第185号。以下「車両法」という。)第54条第1項に基づく整備命令の対象となりうることを念のため申し添える。
(依命通達 前文)
国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトも、軽微な変更に当たる部品を付けた状態について「道路運送車両の保安基準に適合していることが必要であり、これはユーザの責任において管理していただくこととなります」と書いています。別紙にも、車体まわりの部品について次の注があります。
注:車体まわり関係の自動車部品を装着することにより、歩行者、自転車等乗員に接触するおそれのある車体外側表面部位は、外側に向けて先端が尖った又は鋭い部分があってはならない。
(細部取扱い 別紙 Ⅰ 1.)
ラックを付けたまま車検に出したら、高さが車検証と違うって言われない?
継続検査や臨時検査で、長さ・幅・高さと車両重量が車検証と同じかを目で見て確かめるときも、通達は記1に準じて扱うとしている
ポータルサイトは「新規検査又は予備検査においては、検査時の状態で自動車の諸元を決定する従来どおりの取扱い」と書いており、この2つの検査では、受けたときの状態の寸法と重さがそのまま諸元になります。
部品を付ける前に確かめる順番
最初に確かめるのは、溶接かリベットを使うかどうかです。使うなら、部品が別紙にあってもなくても範囲を確かめることになるので、別紙を調べなくても次へ進めます。使わないなら、部品の名前を別紙で探します。見つかれば、寸法と重さの欄は変更に当たりません。見つからないとき、または当たるか判断がつかないときは、手で容易に着脱できる付け方かどうかで分けます。着脱できるなら変更に当たらず、できなければ範囲を確かめることになります。
範囲を確かめることになったら、手元の車検証の「長さ/幅/高さ」と「車両重量」を、付けたあとの値と比べます。収まらなければ、15日以内の変更記録に進みます。