「車庫は2km以内」|車庫証明の要らない地域でも守る決まりか?
車庫は2km以内って、車庫証明が要る地域だけの決まり?
2kmは保管場所の要件。確保する義務と一緒に、全国にかかる
じゃあ車庫証明も、全国で要るの?証明書の提出は、政令で定める地域だけ
その地域って、今の市区町村で決まるの?2000年6月1日の区域で線を引いている 「車庫は2km以内」という決まりは、車庫証明の手続きだけのものではありません。保管場所そのものが満たすべき要件のひとつで、道路以外の場所に保管場所を確保する義務とあわせて、地域に関係なく、二輪車を除くすべての自動車の保有者にかかっています。2kmを測る起点は家とは限らず、「使用の本拠の位置」です。
登録のときに、警察署長が交付する、保管場所を確保していることを証する書面(いわゆる車庫証明)を出す義務は、政令で定める地域にだけかかります。道路の同じ場所に12時間、夜間なら8時間以上車を置くことの禁止も同じです。その地域は2000年6月1日の市町村の区域で定められていて、軽自動車の届出がかかる地域は、それよりさらに狭くなっています。
保管場所を確保する義務は、第三条が地域を限らずにかけている
自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所(自動車の使用の本拠の位置との間の距離その他の事項について政令で定める要件を備えるものに限る。第十一条第一項を除き、以下同じ。)を確保しなければならない。
(自動車の保管場所の確保等に関する法律 第三条)
この法律(以下、法)の第三条には、地域を絞る言葉がありません。保管場所は第二条第三号で「車庫、空地その他自動車を通常保管するための場所」と定義されていて、建物の車庫に限られません。二輪の小型自動車・二輪の軽自動車・二輪の小型特殊自動車は、この法律の「自動車」から外れています(第二条第一号)。
括弧書きが、保管場所を「政令で定める要件を備えるもの」に限っています。その要件の中に2kmがあります。
罰則を定めた第十七条は第三条を挙げておらず、第三条そのものに罰則はありません。
2kmは、施行令 第一条が決めた3つの要件のひとつ
自動車の保管場所の確保等に関する法律(以下「法」という。)第三条の政令で定める要件は、次の各号のすべてに該当することとする。
一 当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、二キロメートル(法第十三条第二項の運送事業用自動車である自動車にあつては、…)を超えないものであること。
二 当該自動車が法令の規定により通行することができないこととされる道路以外の道路から当該自動車を支障なく出入させ、かつ、その全体を収容することができるものであること。
三 当該自動車の保有者が当該自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること。
(自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令 第一条)
第三条の保管場所になるのは、使用の本拠の位置から2kmを超えず、通れる道路から車を支障なく出し入れできて全体が収まり、保有者が保管場所として使う権原を持っている場所です。第一号の括弧の中は、運送事業用の車の特例です。
2kmの起点になる使用の本拠の位置は、車検証に記録される事項のひとつで、「使用者の住所」とは別の項目として挙がっています(道路運送車両法施行規則 第三十五条の四第一項第二号・第四号)。電子車検証では、使用者の住所と同じく券面に印字されない項目で、ICタグにだけ入っています。
うちは使用の本拠の位置が家だから、家から2km以内ってことだよね。その2kmって、歩いて行く道のりなの? 地図の上の直線なの?
条文は『距離』としか書いていない。測り方は、法にも施行令にも、同法の施行規則にも出てこない
引っ越し先でいちばん安い月極が、家から2kmを超えてたらどうなるんだろう
使用の本拠の位置が家なら、第一号を満たさない。借りても、第三条の保管場所を確保したことにはならない
証明書は登録のときに出す。かかるのは政令で定める地域だけ(第四条)
道路運送車両法第四条に規定する処分、同法第十二条に規定する処分(使用の本拠の位置の変更に係るものに限る。以下同じ。)又は同法第十三条に規定する処分(使用の本拠の位置の変更を伴う場合に限る。以下同じ。)を受けようとする者は、当該行政庁に対して、警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面で政令で定めるものを提出しなければならない。ただし、その者が、警察署長に対して、当該書面に相当するものとして政令で定める通知を当該行政庁に対して行うべきことを申請したときは、この限りでない。
2 当該行政庁は、前項の政令で定める書面の提出又は同項ただし書の政令で定める通知がないときは、同項の処分をしないものとする。
(法 第四条)
挙がっている3つの処分は、道路運送車両法の登録です。第四条の登録(新規登録)、第十二条の変更登録、第十三条の移転登録で、変更登録と移転登録は使用の本拠の位置が変わるものに限られています。出す書面の中身は、施行令 第二条第一項が決めています。
法第四条第一項の政令で定める書面は、自動車の保有者の申請により、当該申請に係る場所の位置を管轄する警察署長が、当該場所が当該申請に係る自動車につき法第三条に規定する保管場所として確保されていることを証明した書面とする。
(施行令 第二条第一項)
警察署長が証明するのは、第三条の保管場所として確保されていることです。第三条の保管場所は施行令 第一条の3要件を満たす場所に限られるので、2kmを超える場所は、この証明の対象になりません。
書面を出す代わりに、警察署長から行政庁へ電子的に通知してもらう方法もあります(第四条第一項ただし書・施行令 第二条第二項)。書面も通知もなければ、行政庁は登録をしません(第四条第二項)。
この登録を受けるのは、軽自動車・小型特殊自動車・二輪の小型自動車を除いた自動車です(道路運送車両法 第四条)。以下、普通自動車や小型自動車など、登録を受ける車を「登録車」と書きます。軽自動車は登録を受けないので、後ろのナンバーの封印も付きません。軽自動車には、第四条ではなく第五条の届出がかかります。どちらも、かかる地域は附則で限られています。
軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。
(法 第五条)
「政令で定める事項」は、施行令 第三条が挙げる車名、型式、車台番号、車体の長さ・幅・高さです。長さ・幅・高さは、5ナンバーと3ナンバーを分ける要件にも出てくる3つの寸法です。
附則が、証明書・届出・道路の使用の禁止を地域で絞っている
2 第四条、第五条、第七条(第十三条第四項において準用する場合を含む。)及び第十三条第三項の規定は、当分の間、第四条第一項の処分に係る自動車又は軽自動車である自動車の区分に従いそれぞれ政令で定める地域以外の地域に使用の本拠の位置が在る自動車の保有者については、適用しない。
3 第十一条の規定は、当分の間、政令で定める地域以外の地域において行われた行為については、適用しない。
4 第八条から第十条までの規定は、当分の間、前項の政令で定める地域以外の地域に使用の本拠の位置が在る自動車及び当該自動車の保有者については、適用しない。
(法 附則 第二項〜第四項)
地域の外で適用されないのは、第四条(登録車の証明書)、第五条(軽自動車の届出)、第七条(保管場所を変えたときの届出)、第八条から第十条、第十一条(道路の使用の禁止)と、運送事業用でなくなった車の届出(第十三条第三項)です。
第八条から第十条は、保管場所が確保されていないおそれがあるときに警察署長が公安委員会へ知らせる通知、保管場所の確保が確認されるまで車を運行に使わないようにという公安委員会の命令、その命令の前に開く聴聞です。この命令に違反すると、三月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金です(第十七条第一項第一号)。
除外された規定の中に、第三条は入っていません。
第二項と第四項は使用の本拠の位置がどこにあるかで、第三項は道路に車を置く行為がどこで行われたかで、地域の内外を分けています。登録車と軽自動車で地域が分かれるのは、第二項だけです。
地域にあたるかどうかは、2000年6月1日の市町村の区域で見る
2 法附則第二項の政令で定める地域は、次の各号に掲げる自動車の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める特別区及び市町村の区域とし、その区域は、平成十二年六月一日における区域とする。
一 法第四条第一項の処分に係る自動車 特別区並びに市、町及び別表第一に掲げる村の区域
二 軽自動車である自動車 特別区及び別表第二に掲げる市の区域
3 法附則第三項の政令で定める地域は、前項第一号に定める区域とする。
(施行令 附則 第二項・第三項)
登録車の地域は、特別区(東京都の区)と、すべての市と町、それに別表第一に名前が挙がっている村です。軽自動車の地域は、特別区と、別表第二に名前が挙がっている市だけで、町と村は入りません。第十一条の地域は第一号と同じ区域で、置いた車が軽自動車でも変わりません。
区域は「平成十二年六月一日における区域」です。判定に使うのはいまの市区町村ではなく、2000年6月1日にその場所が属していた特別区・市・町・村です。
| 2000年6月1日に属していた区域 | 保管場所の確保・2km(法 第三条) | 登録車の証明書・届出(第四条・第七条) | 軽自動車の届出(第五条・第七条) | 道路の使用の禁止(第十一条) |
|---|---|---|---|---|
| 特別区 | かかる | かかる | かかる | かかる |
| 別表第二に名前がある市 | かかる | かかる | かかる | かかる |
| 別表第二に名前がない市 | かかる | かかる | かからない | かかる |
| 町 | かかる | かかる | かからない | かかる |
| 別表第一に名前がある村 | かかる | かかる | かからない | かかる |
| 別表第一に名前がない村 | かかる | かからない | かからない | かからない |
証明書と届出の2列は使用の本拠の位置の区域で、第十一条の列は車を置いた道路の区域で見ます。第三条の列は区域を問いません。別表第一と別表第二は、施行令に別表として付いています。
町に住んでいて、登録車と軽を1台ずつ持ってたら、登録車は証明書が要って、軽は届出も要らないんだ
使用の本拠の位置が、2000年6月1日に町だった場所ならね。届出が要らないことと、保管場所が要らないことは別の話。軽にも第三条はかかっている
駐車場を替えただけでも、地域の中なら15日以内に届け出る
自動車の保有者は、第四条第一項の政令で定める書面若しくは同項ただし書の政令で定める通知(以下この条において「書面等」という。)において証された保管場所の位置を変更したとき(…)又は第五条の規定による届出に係る保管場所の位置を変更したときは、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、変更後の保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。
(法 第七条前段)
省いた括弧書きは、使用の本拠の位置が変わる変更登録か移転登録を受けようとする場合を除いています。使用の本拠の位置も変わる引っ越しで登録車が変更登録を受けるなら、第四条の書面か通知になります。使用の本拠の位置はそのままで、保管場所だけを別の場所へ移したときは、第七条の届出です。
軽自動車の使用の本拠の位置を、軽自動車の地域の外から中へ移し、保管場所の位置も変えたときは、附則第六項第一号の届出になります。期限は同じく、保管場所の位置を変更した日から15日以内です。
第五条・第七条・附則第六項の届出をしなかったとき、または虚偽の届出をしたときは、十万円以下の罰金です(第十七条第三項第一号・附則第八項)。
家は同じで、駐車場だけ安いところへ替えても届出なんだ
地域の中なら、そう。届け出る先は、新しい駐車場の場所を管轄する警察署長になる
道路の同じ場所に12時間、夜は8時間。禁止がかかるのは地域の中だけ
何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
二 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為
(法 第十一条第一項・第二項)
第一項は道路を保管場所として使うことを、第二項は時間で区切った駐車を禁じています。この法律の「道路」は、道路法の道路に「一般交通の用に供するその他の場所」を加えたものです(第二条第四号)。附則第三項により、第一項も第二項も、地域の中で行われた行為にだけかかります。
災害応急対策や医師の往診など、施行令 第四条が挙げる用務や場合には、第一項・第二項とも適用されません(第十一条第三項)。火事や出水などで自分の保管場所が使えないときも、新しい保管場所を確保するのに通常必要な間、道路上の場所を管轄する警察署長に届け出てから置くのであれば、同じく適用されません(施行令 第四条第二項第十一号)。
罰則は、第一項の違反が三月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金(第十七条第一項第二号)、第二項の違反が二十万円以下の罰金(同条第二項第二号)です。
駐車場はちゃんと借りてて、今夜だけ家の前の道に置くのは?
第二項の主語は『何人も』で、保管場所を持っているかどうかは問うていない。地域の中の道で、夜のあいだ同じ場所に8時間続けば、第二号に当たる
本則は全国の書き方で、地域の限定は附則の「当分の間」にある
本則の第四条・第五条・第七条・第十一条は、どれも地域を限らずに書かれています。地域を絞っているのは法の附則で、第二項から第四項がそろって「当分の間」と断っています。第四条だけを抜き出して読むと、証明書が全国で要るように見えるのはそのためです。地域の範囲を2000年6月1日の区域のままにしているのも、施行令の本則ではなく附則です。
制度の記述は執筆時点(2026年9月11日)の情報です。