グラン カングー|5人乗りのカングーと後席は何が違う?

欧州仕様のグラン カングー(E-Tech・EV)を左後方から見た外観。左右に開くダブルバックドアと、3列ぶんの側面ガラス、屋根に載せた自転車キャリアが見える
写真: Alexander-93 / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・縮小。欧州仕様のグラン カングー E-Tech(EV))
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラがマグカップを持って首をかしげ、シキが書類の束を抱えて隣に立っている グラン カングーは、カングーの7人乗りなんだ
シキが書類を1枚だけ胸の高さに掲げて説明し、クラがマグカップを持ってその紙を見ている 差は33万円。後ろの5席が全部独立式になる
クラが片手を体の横へ開いて何かを外すしぐさをし、シキが書類を抱えてうなずいている カングーは倒すだけ。こっちは1脚ずつ外せるんだ
シキが両手を左右に広げて長さを示し、クラが納得した顔で軽く手を挙げている 全長は420mm長い。回転半径は6.2m先に車庫を測るんだ

ルノーの価格表で、グラン カングー クルールは4,820,000円。同じ「特別仕様車・限定車」の欄に並ぶカングー クルール ガソリンは4,490,000円です。差は33万円で、乗車定員は5名から7名になります。

クラ

33万円で2席増える、っていう買い物だよね

シキ

席の数はそう。ただ、装備一覧で違うのは席の作りのほうだ

クラ

作り?

シキ

カングーの後席は6:4分割可倒式。倒すだけ。グラン カングーは2列目も3列目も独立式で、脱着が付いてる

グラン カングー クルールは限定70台で、ルノー・ジャポンの車種ページにはすでに「ご好評につき完売いたしました。」と出ています。いま新車で注文できるのは、ガソリンとディーゼルが選べる5人乗りのカングーのほうです。

モデル・グレード価格型式トランスミッション定員
カングー クルール ガソリン4,490,000円3BA-KFKH5H電子制御7速AT(7EDC)5名
カングー クルール ディーゼル4,490,000円3DA-KFKK9K6速MT5名
グラン カングー クルール4,820,000円7BA-KFKH5HL電子制御7速AT(7EDC)7名

型式の頭に付く3BAと7BAは、排出ガス規制と燃費基準の識別記号です。定員の5名と7名は、車検証の乗車定員の欄にそのまま入ります。

後ろの5席は、倒すのではなく1脚ずつ外れる

主要装備一覧の、後ろの席まわりの行はこうなっています。

装備カングー クルール ガソリングラン カングー クルール
6:4分割可倒式リアシート●ー
2列目3席独立式シート(可倒/脱着/前後スライド/ダブルフォールディング式)ー●
3列目2席独立式シート(可倒/脱着/前後スライド/ダブルフォールディング式)ー●
3列目2席3点式シートベルト(フォースリミッター付)ー●
ISOFIXチャイルドシート対応シート(助手席・後席左右)●ー
ISOFIXチャイルドシート対応シート(助手席・2列目左右席・3列目左右席)ー●
2列目フロアアンダーボックスー●
トノボード●ー
ロールアップ式トノカバーー●

表の●は標準装備です。カングーの後席は1脚のベンチで、6:4に分かれた背もたれを前へ倒します。グラン カングーの後ろは5脚に分かれていて、その5脚すべてに可倒・脱着・前後スライド・ダブルフォールディングの4つが書かれています。

倒れるだけの席と、車から降ろせる席の違いです。

上から見た座席配置の比較図。カングー クルール ガソリンは前席2脚と6:4分割可倒式のリアベンチ、グラン カングー クルールは前席2脚と2列目3席・3列目2席の独立シート。全長は4,490mmと4,910mmで420mm違う

ルノー・ジャポンは車種ページで、この5脚の並べ方を4通り挙げています。7名乗車。3列目を外した5名乗車+ラゲッジ。2・3列目を折りたたんだ2名乗車。そして、2列目の中央席だけを外して長尺ものを積む形です。

2名乗車は、席を折りたたんでも、取り外しても作れます。2・3列目を取り外して2人乗りにしたときのラゲッジは、最大3,050Lです。

クラ

真ん中の1脚だけ外す、っていうのもできるんだ

シキ

そう。両側の2席は付いたままだから、後ろを全部空にしなくていい

チャイルドシートの取り付け位置は、カングーが助手席と後席左右の3席、グラン カングーが助手席・2列目左右席・3列目左右席の5席です。チャイルドシートを2脚積んだまま、まだ3席ぶんのアンカーが残る配置です。

荷室の目隠しは、カングーがトノボード、グラン カングーがロールアップ式トノカバーです。2列目の足元の床下には、グラン カングーだけにフロアアンダーボックスがあります。

欧州仕様のグラン カングー E-Tech(EV)を左前方から見た外観。ボンネットの先に「GRAND KANGOO」のプレートが置かれ、屋根には自転車を載せたキャリアが付く
写真: Alexander-93 — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小。写真は欧州仕様のE-Tech=EVで、日本仕様はガソリンです)

伸びた420mmのうち、385mmはホイールベース

席を5脚並べるために、車体は長くなっています。

カングー クルール ガソリングラン カングー クルール差
全長4,490mm4,910mm420mm
ホイールベース2,715mm3,100mm385mm
全幅1,860mm1,860mm0mm
全高1,810mm1,860mm50mm
車両重量1,560kg1,700kg140kg
乗車定員5名7名2名
最小回転半径5.6m6.2m0.6m
WLTCモード15.0km/L14.7km/L0.3km/L

伸びた420mmのうち、385mmは前後の車輪のあいだに入っています。長さのほとんどは、バンパーの張り出しではなく車輪と車輪の間隔に足されています。

そのぶん、向きを変えるのに要る円は大きくなります。最小回転半径は5.6mから6.2m。Uターンや駐車場での切り返しで、外側の前輪が通る線が0.6mぶん外へ出ます。どちらの数字にも「参考値です」の注記が付いています。

全高は1,810mmから1,860mmへ50mm上がり、全幅は1,860mmのまま変わりません。機械式駐車場を使うなら、この2つを制限値と照らしてください。全幅1,860mmは小型自動車の4要件の1.70mを160mm超えていて、2台とも3ナンバーです。カングーが要件から外れるのは幅のこの1項目だけですが、グラン カングーは全長4,910mmも4.70mを超えるので、幅と全長の2項目で外れます。

車両重量は1,560kgから1,700kgへ140kg。自動車重量税が見る0.5トンごとの段では、どちらも1.5トンと2.0トンのあいだの同じ段に入ります。140kg重くなっても、重量税の段は変わりません。

足まわりもタイヤも同じ。変わるのはホイールベースと140kgの車重

エンジンは2台とも、原動機の型式がH5Hの1.333Lターボです。最高出力は96kW(131ps)/5,000rpm、最大トルクは240N·m(24.5kgm)/1,600rpm。変速機も電子制御7速AT(7EDC)で同じものが載ります。

足まわりも、諸元表では2台が1つのマスに収まっています。

カングー クルール/グラン カングー クルール 共通
懸架方式前:マクファーソン/コイル、後:トーションビーム/コイル
ブレーキ前後ともベンチレーテッドディスク
タイヤ205/60R16
ホイール6J×16
駆動方式前輪駆動(FF)

5人乗りでも7人乗りでも、205/60R16のタイヤが同じ形式の足まわりに付きます。ホイールベースが385mm長く、車重が140kg重い。それ以外は同じものが付いています。

静粛性について、ルノー・ジャポンは車種ページの紹介文に「室内は家族との会話を楽しめる高い静粛性が保たれます」と書いています。

ルーフレールはグラン カングーに標準。運転支援と空調は2台とも同じ

カングー クルールのマルチルーフレール(クロスバー機能付)はディーラーオプション、グラン カングー クルールはルーフレールが標準装備です。

それ以外の装備は、2台でほぼ同じ中身です。

節2台とも標準装備
安全性アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)/アクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ/歩行者・自転車検知機能付)/ブラインドスポットインターベンション/パーキングセンサー(フロント/サイド/リア)/リアカメラ
エクステリアLEDヘッドライト/スライドドア/ダブルバックドア/プライバシーガラス/ヒーター付電動格納式ドアミラー
インテリア10インチ デジタルインストゥルメントパネル/ファブリック×レザー調コンビシート/運転席シートリフター/高さ調整式ヘッドレスト(全席)
快適装備防塵フィルター付2ゾーンオートエアコン/センターコンソールボックス背部・フロントシート下エアダクト/フロントシートバックテーブル/トランクルーム12V電源ソケット
機能装備イージーパーキングアシスト/電動パーキングブレーキ/ハンズフリーカードキー/スマートフォンワイヤレスチャージャー

高さ調整式ヘッドレストの「全席」は、グラン カングーでは7脚ぶんです。後ろの席へ空気を送るのは、センターコンソールボックス背部とフロントシート下のエアダクト。シートヒーターとパワーシートの行は、2台ともありません。

バックドアは2台とも観音開きのダブルバックドアで、車種ページには「左右に180度開く」「ラゲッジフロアは低く」と書かれています。スライドドアの開口部は、5人乗りのカングーに比べて180mm広がっています。

クラ

装備で迷うところが、ほとんどないんだ

シキ

迷わない代わりに、後から足す手もない。ディーラーオプションのマルチルーフレールを選べるのは、カングー クルールだ

先に決まるのは車庫、次が席の形

最初に確定するのは置き場所です。全長4,910mm、全高1,860mm、全幅1,860mm。この3つが入らない車庫なら、後ろの席の作りを比べるところまで話が進みません。しかも全長と全高は、席を5脚とも外しても縮みません。

次が席の形です。2列目3席と3列目2席の独立式は、納車後に付け足せる装備ではありません。5人乗りのカングーを手に入れてから、後席を1脚ずつ外せる仕様に変えることもできません。

装備の中身を見るのは、そのあとで間に合います。運転支援も空調もメーターも、2台で同じものが標準で付きます。

7人を乗せる日と、後ろを空にして荷物だけ積む日が交互に来る家では、後ろの5席が1脚ずつ外れるという1行が、カングー クルールにはないものです。33万円は、増える2席と、その5脚を1脚ずつ車から降ろせることに付いた値段です。

※価格・装備は執筆時点(2026年9月9日)のものです。主要諸元・主要装備の内容は2026年7月現在、車種ページの記述は2026年1月現在としてルノー・ジャポンが公表しているものです。