パサートのプラグインハイブリッド|荷室はどれだけ小さくなる?

フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント(B9型)Eleganceを前方から見た外観
写真: Alexander-93 / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
白衣のシキが左に半眼の真顔で立ち、右のクラがマグカップを片手に笑いながら話しかけている。2人は画面の下半分に小さく描かれている パサートのプラグインハイブリッド、荷室は他のグレードと同じ?
シキが両手で持った白紙に目を落として読み上げ、右のクラはマグカップを持って笑顔で聞いている eHybridは510ℓ、eTSIとTDI 4MOTIONは690ℓです
クラが目を丸くして口を開け、片手を上げて驚いている。左のシキは表情を変えずに白紙の束を持って立っている 180ℓも小さいの? ゴルフ ヴァリアントの611ℓより少ないんだ
シキが1枚の白紙を胸の高さに持って指で示し、右のクラはマグカップを両手で持ち、目を閉じて微笑んでいる じゃあ、何から決めればいい?200Vの充電設備を家か職場に置けるか、からです

パサートのプラグインハイブリッド「eHybrid」を選ぶと、荷室は510ℓになります。eTSI と TDI 4MOTION は690ℓなので、同じ車体のまま180ℓ小さくなります。

「平日は家で充電した電気で走って、週末は家族の荷物を積んで出かけたい」。そう考えて eHybrid を検討しているなら、先に確かめておきたい数字です。

パサートの日本仕様は8グレードで、動力は3種類あります。ガソリンエンジンに13kWの電動機を組み合わせた eTSI、ディーゼルエンジンで四輪駆動の TDI 4MOTION、ガソリンエンジンに85kWの電動機と外部から充電できる電池を組み合わせた eHybrid です。Elegance と R-Line という名前で分かれるのは、外装、タイヤ径、シートまわり、サスペンションの設定といったところです。荷室の容量、変速機の段数、四輪駆動の有無、充電設備が要るかどうかは、3種類の動力のどれを選ぶかで決まり、オプションで変えることはできません。

eTSITDI 4MOTIONeHybrid
該当グレードElegance Basic/Elegance/Elegance Premium Sound Edition/R-LineElegance/R-LineElegance/R-Line
ラゲージ(VDA方式)690ℓ(後席を倒して1,920ℓ)690ℓ(同1,920ℓ)510ℓ(同1,770ℓ)
変速機7速DSG7速DSG6速DSG
四輪駆動ー4MOTION(フルタイム4輪駆動)ー
原動機1,497cc 110kW(150PS)/5,000-6,000rpm1,968cc 142kW(193PS)/3,500-4,200rpm1,497cc 110kW(150PS)/5,000-6,000rpm
最大トルク250N·m(25.5kgm)/1,500-3,500rpm400N·m(40.8kgm)/1,750-3,250rpm250N·m(25.5kgm)/1,500-4,000rpm
電動機13kW・56N·m(44V/0.7kWh)ー85kW・330N·m(352V/25.7kWh)
燃料(タンク容量)無鉛プレミアム(66ℓ)軽油(66ℓ)無鉛プレミアム(47ℓ)
燃費(WLTCモード)17.4km/L16.4km/L18.0km/L(ハイブリッド燃料消費率)
車両重量1,570kg1,740kg1,830kg

車体の寸法は8グレードとも 4,915×1,850×1,500mm、ホイールベース2,840mm、乗車定員5名、最小回転半径5.5mです。サスペンションも前がマクファーソンストラット、後ろがマルチリンクで、前後ともスタビライザーが付きます。駐車場の長さ・幅・高さの制限に収まるかどうかは、8グレードで変わりません。

動力を選ぶと、荷室・変速機・駆動方式が一緒に決まる

eHybrid の510ℓは、ゴルフ ヴァリアントの611ℓより小さい

荷室の容量は、eTSI と TDI 4MOTION が690ℓ(後席を倒して1,920ℓ)、eHybrid が510ℓ(同1,770ℓ)です。どちらもVDA(ドイツ自動車工業会)方式の測定値なので、そのまま比べられます。

180ℓという差の大きさは、同じフォルクスワーゲンのワゴンであるゴルフ ヴァリアントと並べると分かります。ゴルフ ヴァリアントの荷室は、同じVDA方式で611ℓです。eTSI と TDI 4MOTION の690ℓはこれを上回り、eHybrid の510ℓは下回ります。全長も全幅もパサートより小さいゴルフ ヴァリアントのほうが、パサートの eHybrid より荷室は大きいということです。

後席を倒したときの差は150ℓです。

クラ

うちはふだん2人しか乗らないから、後席は倒したままでもいいんだよね。それなら1,770ℓあるし、eHybrid でも困らない気がする

シキ

後席を使わない日は、比べる数字が1,920ℓと1,770ℓになります。510ℓと690ℓを比べることになるのは、後席に人が座っている日です

クラ

年に何回か、親を乗せて4人で旅行に行くんだよ。4人ぶんのかばんが510ℓに入るかどうかは、販売店で実物の荷室を見ないと分からないな

フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント(B9型)の後ろ姿
写真: Alexander-93 — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

荷室まわりの装備は8グレードとも同じで、ラゲージネットパーティション、スライディングカバー、パワーテールゲート(“Easy Open & Easy Close”機能付)、AC100V電源ソケット(ラゲージルーム)がすべて標準です。後席の分割可倒式シートも全車に付きます。690ℓか510ℓかは、装備ではなく動力の選択で決まります。

6速DSGになるのは、eHybrid の2グレード

変速機は、eTSI の4グレードと TDI 4MOTION の2グレードが7速DSG、eHybrid の2グレードが6速DSGです。パドルシフトは8グレードすべてに標準で付きます。

eHybrid の電動機は最高出力85kW、最大トルク330N·mで、このトルクを0〜2,250rpmで出します。組み合わされるエンジンの最大トルクは250N·m/1,500-4,000rpmです。同じ1,497ccの eTSI は1,500-3,500rpmなので、eHybrid のエンジンのほうが高い回転数まで最大トルクを出します。

四輪駆動が要るなら、TDI 4MOTION の2グレードになる

フルタイム4輪駆動の4MOTIONが標準で付くのは、TDI 4MOTION Elegance と TDI 4MOTION R-Line の2グレードです。残る6グレードは前輪駆動です。

冬にスキー場へ通う、家の前が凍る坂になっている、といった理由で四輪駆動が要るなら、エンジンはディーゼルに決まり、候補はこの2グレードです。荷室は690ℓあります。

最大トルクは400N·mで、1,750rpmから出ます。eTSI の250N·mより150N·m大きい数字です。そのかわり車両重量は1,740kgで、eTSI より170kg重くなります。車高の高い車が欲しいなら、同じフォルクスワーゲンのSUVであるティグアンも見ておきたいところです。

クラ

雪道を走るのは年に数回なんだよね。eTSI を買って、四輪駆動だけオプションで足すことはできないの?

シキ

装備表にその設定はありません。4MOTION は、eTSI の4グレードと eHybrid の2グレードでは標準でもオプションでもありません

クラ

年に数回のために軽油の車にするかどうか、か。それは数字からは決まらないね

eHybrid は普通充電だけ。急速充電器は使えない

eHybrid Elegance と eHybrid R-Line が対応するのは普通充電だけです。充電ケーブル(200V 7.5m)と普通充電ポートが、この2グレードに標準で付きます。

駆動用バッテリーはリチウムイオンで、総電圧352V、総電力量25.7kWhです。主要諸元表には、一充電消費電力量23.14kWh/回、充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)153km、EV走行換算距離142kmとあります。燃料タンクは47ℓです。

eHybrid を選ぶ理由があるかどうかは、自宅か職場に200Vの充電設備を置けるかでほぼ決まります。 置けないまま買うと、25.7kWhの電池を載せ、荷室が510ℓ、タンクが47ℓの車に、充電しないで乗ることになります。「マンションの駐車場にコンセントを付けられるか分からない」という場合は、見積りを頼む前に、管理組合や大家に聞くところからです。

クラ

遠出のとき、途中で充電しながら走る使い方はできるの?

シキ

出先で使えるのは200Vの普通充電器です。急速充電器には対応していません

クラ

じゃあ遠出の日は、電池を使い切ったあとはガソリンで走ることになるね。そうなると47ℓのタンクが気になる

シキ

タンクは eTSI と TDI 4MOTION が66ℓです。eHybrid は荷室も燃料タンクも、ほかの6グレードより小さくなります

フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント(B9型)eHybrid
写真: Alexander Migl — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

200Vの設備を置ける家なら、エンジンを積まないID.4も候補になります。Lite と Pro の2グレードは別の記事で扱っています。

同じ R-Line でも、足まわりは2通りに分かれる

サスペンションの形式は8グレードで同じです。そのうえで、タイヤのサイズと、スポーツサスペンションやアダプティブシャシーコントロール”DCC Pro”が付くかどうかが、グレードによって違います。

タイヤサイドウォールの高さ該当グレード
215/55 R17約118mmeTSI Elegance Basic
235/45 R18約106mmeTSI Elegance/eTSI Elegance Premium Sound Edition/TDI 4MOTION Elegance/eHybrid Elegance
235/40 R19約94mmeTSI R-Line/TDI 4MOTION R-Line/eHybrid R-Line

タイヤの側面(サイドウォール)が厚いほど、路面の細かい凹凸はタイヤのたわみで受け止めやすくなります。サイドウォールがもっとも厚いのは17インチの eTSI Elegance Basic で、約118mmです。R-Line の3グレードは19インチで、約94mmになります。

見落とされやすいのは、R-Line の3グレードの中で、サスペンションと DCC Pro の組み合わせが2通りあることです。

  • eTSI R-Line と TDI 4MOTION R-Line … スポーツサスペンションが標準。DCC Pro はパッケージオプション
  • eHybrid R-Line … スポーツサスペンションの設定がなく、DCC Pro が標準

販売店の試乗車が eTSI R-Line なら、スポーツサスペンションが標準で付く車です。eHybrid R-Line を買うつもりで試乗するなら、試乗車の動力と、DCC Pro が付いているかどうかを、予約のときに聞いておきたいところです。

DCC Pro は eTSI Elegance Premium Sound Edition にも標準で付きます。eTSI Elegance、TDI 4MOTION Elegance、eHybrid Elegance の3グレードではレザーシート/DCC Proパッケージに入っていて、レザーシート・プログレッシブステアリング・ドライビングプロファイル機能とセットでの装着になります。eTSI Elegance Basic では、DCC Pro・プログレッシブステアリング・ドライビングプロファイル機能の3つが、標準でもオプションでも付きません。

遮音ガラスや吸音材にあたる項目は、装備表に載っていません。装備表からは、8グレードの静粛性の差は読み取れません。

安全装備は8グレード共通。シートベンチレーションは R-Line でオプションになる

シートヒーター(運転席/助手席)、ステアリングヒーター、パワーシート(運転席/助手席、運転席メモリー付)、パワーランバーサポート、リラクゼーション機能付シート、3ゾーンフルオートエアコンディショナー、アレルゲン除去機能付きフレッシュエアフィルター、チルト&テレスコピックステアリングは、8グレードすべてに標準です。シートヒーターが付くのは前席の2脚までです。

同一車線内全車速運転支援システム”Travel Assist”、駐車支援システム”Park Assist Plus”、アラウンドビューカメラ”Area View”、ペダル踏み間違い衝突被害軽減アシストといった予防安全・衝突安全の項目も、8グレードすべてに標準です。安全装備は、どのグレードを選んでも同じ内容になります。

動力とタイヤのほかに、次の6項目でもグレードによる違いがあります。

eTSI Elegance BasicElegance(残り4グレード)R-Line(3グレード)
インフォテイメント“Discover”“Discover Pro Max”“Discover Pro Max”
ヘッドアップディスプレイー●●
シートベンチレーション(前席)●●パッケージオプション
スポーツシート(前席)ーー●
電動パノラマスライディングルーフーーオプション(単体では選べない)
ルーフレールシルバーシルバーブラック

「Elegance(残り4グレード)」は eTSI Elegance/eTSI Elegance Premium Sound Edition/TDI 4MOTION Elegance/eHybrid Elegance、「R-Line」は eTSI R-Line/TDI 4MOTION R-Line/eHybrid R-Line を指します。

前席のシートベンチレーションが標準なのは、eTSI Elegance Basic を含む Elegance の5グレードです。R-Line の3グレードではパッケージオプションに入っていて、単独では選べません。

クラ

夏に背中が蒸れるのが苦手で、シートベンチレーションは必ず欲しいんだ。R-Line でも、パッケージを足せば付くんだよね

シキ

付きます。ただ、R-Line でシートベンチレーションが入っているパッケージには、どれもレザーシートが含まれます

クラ

レザーじゃないシートでベンチレーションが欲しいなら、Elegance のほうか

eTSI Elegance Premium Sound Edition は、8スピーカーの代わりにプレミアムサウンドシステム”Harman Kardon”(総出力700W、16チャンネル-13スピーカー)が標準で、レザーシートと DCC Pro も標準で付きます。eTSI R-Line と TDI 4MOTION R-Line は、この Harman Kardon をラグジュアリーパッケージで選べます。ただしパッケージの中身は電動パノラマスライディングルーフとの2点セットで、レザーシート/DCC Proパッケージとの同時装着が条件です。eHybrid R-Line にはラグジュアリーパッケージの設定がなく、Harman Kardon を付けられるのは、eTSI Elegance Premium Sound Edition と、パッケージを選んだ eTSI R-Line・TDI 4MOTION R-Line の3グレードです。

eHybrid の価格は、同じ Elegance や R-Line の eTSI より約105万円高い

では、動力を替えると価格はいくら変わるのでしょうか。グレードごとの価格は、装備表・主要諸元表には載っていません。フォルクスワーゲンの公式サイトでは、モデル一覧(見積りシミュレーション)で7グレードの価格を、モデルページで eTSI Elegance Premium Sound Edition の価格表を確かめられます。

グレード価格
eTSI Elegance Basic5,399,000円
eTSI Elegance5,699,000円
eTSI Elegance Premium Sound Edition5,999,000円
eTSI R-Line5,899,000円
TDI 4MOTION Elegance6,399,000円
TDI 4MOTION R-Line6,599,000円
eHybrid Elegance6,744,000円
eHybrid R-Line6,944,000円

表の金額は2026年10月7日に確認した表示価格で、オプションを足す前のものです。eTSI R-Line の5,899,000円は、購入サポートのページで支払い例の車両本体価格にも使われていて、同じページの注記によると、消費税を含み、オプションや登録の諸費用は含みません。

8グレードの価格を並べてみると、動力による差額が Elegance でも R-Line でも同じ金額になっていることに気づきます。eTSI と比べて、TDI 4MOTION は70万円、eHybrid は約105万円高い価格です。Elegance と R-Line の差は、3種類の動力のどれでも20万円です。

いちばん安いのは eTSI Elegance Basic の約540万円で、eTSI Elegance より30万円安くなります。eTSI Elegance Premium Sound Edition は全国限定160台の限定車で、eTSI Elegance より30万円高い価格です。いちばん高いのは eHybrid R-Line の約694万円です。

公式のモデルページには、国と自治体の補助金の案内も出ています。表の価格は、補助金を引く前の金額です。

クラ

eHybrid は同じ Elegance の eTSI より約105万円高くて、荷室は180ℓ小さい。それでも eHybrid にする理由って、何になるの?

シキ

諸元表にあるのは、25.7kWhの電池と、プラグインレンジ153kmという数字です。充電した電気で済む日が月に何日あるかは、乗る人の通勤や買い物の距離で決まります

買取相場の64.9万〜296.5万円には、2015年式の型も含まれている

数年後に手放すときの値段が気になるなら、カーセンサーの買取相場が参考になります。パサートの平均買取相場額は64.9万円〜296.5万円、平均走行距離は4万kmです(2026年7月更新)。

ただし、この金額の範囲を、いまの型の相場として読むことはできません。グレード別の欄に2015年7月からの「TSI コンフォートライン」(DBA-3CCZE・1,400cc)が並んでいて、複数の世代が同じ集計に入っているためです。年式別の集計で数字が出ている直近の行は2024年式で、259.7万円〜301.7万円です。

決める順番は、充電設備、四輪駆動、最後に Elegance か R-Line か

最初に確かめるのは、自宅か職場に200Vの充電設備を置けるかどうかです。置けないなら、eHybrid の2グレードは候補から外すことになりそうです。置ける場合は、後席に人が乗る日の荷物が510ℓに収まるかを、販売店の実車で見ておきたいところです。

次に、四輪駆動が要るかどうかを決めます。要るなら TDI 4MOTION で、残るのは Elegance か R-Line かの2択です。eHybrid に決めた場合も、同じ2択が残ります。

eTSI に決めた場合は、eTSI Elegance Basic・eTSI Elegance・eTSI Elegance Premium Sound Edition・eTSI R-Line の4グレードから選びます。このうち eTSI Elegance Basic は、DCC Pro とヘッドアップディスプレイがオプションでも付きません。DCC Pro を標準かオプションで付けられるのは、残りの7グレードです。限定160台の eTSI Elegance Premium Sound Edition は、まだ注文できるかを販売店に聞くことになります。

動力を先に決めるのは、荷室・変速機・駆動方式・充電設備の要否がそこで一緒に決まり、オプションでは変えられないためです。Elegance か R-Line かは、タイヤのサイズと足まわり、シートベンチレーションが標準かパッケージオプションかを、20万円の差と見比べて最後に選べます。

実際に乗っている人の評価は、みんカラのパサート ワゴンのレビューで読めます。

※装備と数値は、フォルクスワーゲン グループ ジャパンの装備表・主要諸元表(2026年17週以降生産車両)にもとづきます。価格は2026年10月7日、買取相場は2026年7月更新の情報です。買取相場は掲載物件からの集計値で、実際の査定額は状態や装備で変わります。