ヤリスの一番安いグレード|オプションでも付けられない装備は何か?

トヨタ ヤリス(XP210型)を前方斜めから見た外観。ハロゲンヘッドランプと樹脂フルキャップ付スチールホイールが付く
写真: Oq10pass / Wikimedia Commons ( CC0 1.0 )
── この記事の結論を先に4コマで ──
右のクラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手を頬に当てて、口を開けてシキに相談している。左のシキは白紙を胸に抱え、穏やかな表情でクラのほうを向いて聞いている ヤリスでいちばん安いX、オプションでも付かない装備はある?
左のシキが片手に白紙の束を持ち、もう片方の手で白紙を1枚クラのほうへ差し出しながら話している。右のクラはマグカップを両手で持ち、目を丸くしてその紙を見ている LEDヘッドランプやブラインドスポットモニターは、Xに設定がない
右のクラがマグカップを両手で包むように持ち、眉を下げて汗をかきながら、口を開けて質問している。左のシキは白紙を片手に持ち、もう片方の手の人差し指を立てて答えている Gにすれば付けられるの?LEDはGだと8万2,500円のオプション。Zは標準
左のシキが白紙を両手で持ち、口を開けて笑いながら話している。右のクラはマグカップを片手に持ち、もう片方の手をあごに当てて、にっこり笑って考えている 決める前に、暗くなってからの試乗でハロゲンを見ておきたい夕方以降に乗れるか、販売店に相談してみる

ヤリスでいちばん安いのは、ガソリンの1.0L・CVT・2WDのXで169万7,300円です。このXに、プリクラッシュセーフティもスマートエントリーも、Apple CarPlayが使えるディスプレイオーディオも標準で入っています。

同じ1.0LのGと比べると、エアコンは手動になり、スピーカーは6個から2個に減り、メーターはアナログに変わります。LEDヘッドランプとブラインドスポットモニターは、お金を出しても付きません。

クラ

足りない装備は、あとからオプションで足せばいいと思ってた。帰りが暗い道だから、ヘッドランプは明るいほうがいいんだよね

シキ

3灯式フルLEDヘッドランプは、Gならメーカーオプションで選べます。Zには標準で付きます。Xには設定がありません

クラ

じゃあ、Xの見積もりに何を足すか考える前に、Gの見積もりも一緒にもらっておくことになるね

Xという名前のクルマは6種類ある

ヤリスのグレード名はZ・G・X・Uの4つですが、Xという名前のクルマは6種類あります。エンジンと変速機と駆動方式の組み合わせごとに、価格が分かれています。

種類XGZ
ガソリン 1.0L・CVT・2WD1,697,300円1,921,700円設定なし
ガソリン 1.5L・6MT・2WD1,771,000円1,996,500円2,197,800円
ガソリン 1.5L・CVT・2WD1,848,000円2,072,400円2,301,200円
ガソリン 1.5L・CVT・4WD2,061,400円2,286,900円2,515,700円
ハイブリッド 1.5L・2WD2,249,500円2,445,300円2,669,700円
ハイブリッド 1.5L・E-Four2,473,900円2,669,700円2,884,200円

(メーカー希望小売価格・消費税10%込み。‘26年2月現在。北海道地区は別価格)

表を横に見ていくと、1.0Lの行だけZの欄が「設定なし」になっています。1.0Lの設定があるのはGとXだけで、169万7,300円は、Xのなかでも1.0Lを選んだときの価格です。

装備一覧にはもうひとつUというグレードが載っていますが、こちらは見出しに「このグレードはKINTOでのご提供となります」と添えられています。販売店で買う場合の候補にUは入らないので、ここから先はZ・G・Xの3つを比べます。

同じエンジン・同じ駆動方式で比べたXとGの価格差は、ガソリンならおよそ22万円、ハイブリッドならおよそ20万円です。

車体は全長3,950×全幅1,695×全高1,495mm(E-Fourと4WDだけ1,510mm)で、ホイールベースは2,550mmです。室内は室内長1,845×室内幅1,430×室内高1,190mm、乗車定員は5名。リヤサスペンションはトーションビーム式で、E-Fourと4WDを選んだときだけダブルウィッシュボーン式に変わります。最小回転半径は14インチのGとXが4.8m、15インチのZが5.1mで、E-Fourと4WDは5.1mです。

ガソリンのXにおよそ22万円足してGにすると、エアコンが自動になり、LEDヘッドランプが選べる

ガソリンのXだけ、エアコンが手動になる

オートエアコンが付かないのは、ヤリスのなかでガソリンのXだけです。ハイブリッドのXにはオートエアコンが入ります。ガソリンXに入るのはマニュアルエアコンで、こちらもガソリンXだけの装備です。

手動のエアコンは、温度を数字で指定できません。風量と吹き出し口と温度のつまみを、暑さ寒さに合わせて自分で動かし続けることになります。たとえば夏の朝と昼、冬の走り始めと車内が暖まったあとでは、同じ設定のままにしておけません。1日のうちで何度も触る部分なので、XとGで違う装備のうち、いちばん操作する回数が多いのがエアコンだと思います。風量と温度を一度合わせたら変えない人なら気になりませんし、こまめに触る人には毎日の作業になります。

トヨタ ヤリスの前輪。14インチのスチールホイールに樹脂フルキャップが付く
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

スピーカーは2個で、ディスプレイオーディオはXにも標準で付く

ZとGは6スピーカー、Xは2スピーカーです。

ディスプレイオーディオそのものはXにも標準で付きます。8インチのHDディスプレイで、コネクティッドナビに対応し、Apple CarPlayもAndroid Autoも使えます。ZとGのディスプレイオーディオには、これに車載ナビ(地図データを本体に保存しているほう)とFM多重VICS、フルセグのTVが加わります。画面の大きさが変わるのはZの10.5インチだけで、Gは8インチでXと同じです。

スマートフォンをつないで地図を出す使い方は、Xのままでもできます。通勤で音楽を流す時間が長い人なら、スピーカーが6個か2個かの違いには気づきやすいと思います。

メーターはアナログ、ETCは2.0ではない

Xの計器盤はアナログメーター+4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイです。ZとGはデジタルメーター+7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイになります。

ETCも、ZとGがETC2.0ユニット(VICS機能付)、XはETC車載器です。

クラ

エアコンはハイブリッドのXなら自動なんだよね。ハイブリッドにするなら、XでもGと変わらない?

シキ

エアコンが自動なのは同じです。メーターはハイブリッドのXもアナログメーターで、スピーカーも2個です

見落とされやすいのは、ターンチルトシートです。シートが回転して乗り降りしやすくなる装備で、ハイブリッドのGとガソリン1.5L・CVTのGにメーカーオプション(運転席8万8,000円・助手席9万200円)がありますが、Xにはどのタイプにも設定がありません。介助が要る家族を乗せる予定があるなら、この1点だけでGを選ぶ理由になります。

ヘッドランプはハロゲンで、LEDのオプションがない

3灯式フルLEDヘッドランプは、Zに標準で付き、Gには8万2,500円のメーカーオプションがあります。Xにはその設定がありません。お金を出しても、Xのヘッドランプはプロジェクター式ハロゲンのままです。リヤも同じで、フルLEDのリヤコンビネーションランプはZが標準、Gがオプション、XはLEDテール&ストップランプから変えられません。

ブラインドスポットモニターも、ZとGにはパノラミックビューモニターとのセットで7万8,100円のメーカーオプションがありますが、Xにはありません。パノラミックビューモニターだけなら、XにもCVT車に2万7,500円のオプションがあります。走行中に後ろから近づいてくるクルマを検知して知らせる装備が、Xにはないということです。

夜に走ることが多い人や、片側3車線の道を日常的に使う人は、Gにこの2つのオプションを付けた見積もりも候補に入ってきます。

Gにしても手に入らないものは、Xの欠点ではない

では、Xに付かない装備は、Gにすればそろうのでしょうか。装備一覧を並べてみると、Gにも入っていないものがかなりあります。

  • シートヒーター(運転席・助手席)はZだけの装備で、G・Xにはメーカーオプションの設定もありません
  • ステアリングヒーターは「本革巻き3本スポークステアリングホイール(ガンメタリック加飾+ヒーター付)」に含まれる装備なので、これもZ限定です
  • 合成皮革+ツィード調ファブリックのシート表皮、ヘッドレストセパレート型の前席、ナノイーX、カラーヘッドアップディスプレイ(4万4,000円のオプション)もZだけ
  • 前席のフロントソフトアームレスト(コンソールボックス付)はハイブリッドのZとGにしかなく、ガソリンは3グレードとも付きません。販売店装着オプションには、使わないときに跳ね上げてシートの横に収める別のアームレスト(1万9,800円)があります。このアームレストは、6MT車と、運転席にターンチルトシートを付けた車には付けられません
  • タイヤはガソリンのGとXがどちらも175/70R14で同じです。ガソリンで185/60R15が標準になるのはZだけで(ハイブリッドはE-Fourを選べばG・Xも15インチ)、16インチのメーカーオプションはZとUにしかありません
  • ヤリスの装備一覧には、遮音ガラスや吸音材の項目そのものがありません。装備表からは、静粛性に関わる装備のグレードごとの差は読み取れません
クラ

冬の朝がつらいから、シートヒーターのためにGにしようかと思ってたんだけど

シキ

シートヒーターが付くのはZです。GにもXにも、メーカーオプションの設定がありません

クラ

それならXにしてもGにしても、シートヒーターは付かないんだね。Zの見積もりを取るか、ほかのクルマも見るかだ

同じトヨタのヤリスクロスのグレード比較でも、シートヒーターはGとXにメーカーオプションの設定がありません。アクアも候補に入れるなら、アクアのXとGの価格差は19万300円で、その差で何が変わるかはアクアのグレード比較にまとめています。

反対に、Xでも標準で付く装備は少なくありません。Toyota Safety Sense のプリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビーム、ロードサインアシスト。それにバックガイドモニター、スマートエントリー&スタートシステム、チルト&テレスコピックステアリング、運転席シート上下アジャスター、クリーンエアフィルター、充電用USB端子(Type-C)。ここに挙げた装備は、Z・G・X・Uのどれを選んでも、ハイブリッドでもガソリンでも入っています。

1.0Lと1.5Lは燃費がほとんど変わらず、運転支援の装備が違う

Xのなかで最初に迷うのは、169万7,300円の1.0Lにするか、15万円ほど高い184万8,000円の1.5L・CVTにするかではないでしょうか。

「排気量が小さいほうが、ガソリン代は安く済むはず」と考えるところですが、カタログの燃費はほとんど変わりません。WLTCモードは1.0Lが20.2km/L、1.5LのCVTが20.3km/Lです。燃料タンクはどちらも40Lなので、WLTCモードの値にタンクの容量を掛けると、どちらも800kmを少し超えます。ハイブリッドのXはタンクが36Lと小さく、36.0km/Lを掛けると1,300km近くになります。給油の回数で1.0Lと1.5Lを比べる意味は、ほとんどありません。

1.0Lには、レーダークルーズコントロールの設定がありません。レーントレーシングアシストも、ガソリンのGとXでは1.5Lだけに付きます。レーンディパーチャーアラートは1.0Lにも入るので、車線をはみ出しそうなときの警告と操舵の補助は1.0Lでも使えます。前のクルマとの車間を保つ機能と、車線の中央を保ち続ける機能が、1.0Lにはありません。

エンジンの最高出力と最大トルク、車両重量は次のとおりです。

1.0L(1KR-FE)1.5L ガソリン(M15A-FKS)1.5L ハイブリッド(M15A-FXE)
総排気量0.996L1.490L1.490L
最高出力51kW(69PS)/6,000rpm88kW(120PS)/6,600rpm67kW(91PS)/5,500rpm+モーター59kW(80PS)
最大トルク92N·m/4,400rpm145N·m/4,800〜5,200rpm120N·m/3,800〜4,800rpm+モーター141N·m
車両重量(X・2WD)950kg1,000kg1,050kg
WLTCモード20.2km/L20.3km/L36.0km/L
燃料タンク40L40L36L

1.0Lの92N·mは4,400rpmで出ます。1.5Lの145N·mは4,800〜5,200rpmとさらに高い回転で出ますが、値そのものが1.5倍以上あります。高速道路の合流や登り坂のように、短い時間で加速したい場面では、1.0Lのほうがアクセルを深く踏み、エンジンの回転を高く上げることになると考えられます。車両重量が950kgなのはこの表では1.0Lだけで、街なかを走る速度なら、950kgの車体に69PSでも不足しにくいと思います。

クラ

高速に乗るのは帰省のときくらいなんだ。それでも1.5Lにしたほうがいい?

シキ

決めるのは乗る人です。諸元表では、最大トルクが1.0Lは92N·m、1.5Lは145N·mです。装備一覧では、1.0Lにレーダークルーズコントロールの設定がありません

クラ

帰省の道で、前のクルマとの車間を保つ機能を使いたいかどうか、か。運転を代わってもらう家族にも聞いておこう

高速道路をよく使うなら1.5L、街の移動が中心なら1.0L。15万円高い1.5Lにするかどうかは、高速道路を使う頻度で決められます。ハイブリッドはエンジンの120N·mにモーターの141N·mが加わるので、ガソリンの2つのエンジンと同じ比べ方はできません。モーターで走るクルマの駆動の仕組みは、フィットとノートで扱っています。

トヨタ ヤリス(XP210型)の前方斜めからの外観
写真: TTTNIS — Wikimedia Commons(CC0)

6MTのXは、駐車のときに使う装備がCVTと違う

1.5Lの6MTは177万1,000円で、同じ1.5LのCVTよりおよそ8万円安くなります。

パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)は、ガソリン車ではCVTだけに付き、6MTには入りません。代わりに6MTにはクリアランスソナー&バックソナーが入ります。障害物を音で知らせるところまでは同じで、こちらには自動でブレーキをかける機能がありません。レーダークルーズコントロールも6MTは「ブレーキ制御付」で、CVTの全車速追従とは別のものです。

一方、ばね上制振制御はガソリン車では6MTにしか入りません。CVTのガソリン車には付かず、ハイブリッドは全グレードに入っています。

6MTのWLTCモードは19.1km/Lで、CVTの20.3km/Lより少し低くなります。

買取相場は2026年7月更新で57.2万円〜150.6万円

カーセンサーのヤリスの買取相場は、2026年7月更新で57.2万円〜150.6万円、平均走行距離4万kmです。年式別の表には、いまの型が出た2020年(6年落ち)までの年式が並んでいます。

年式別では、2025年(1年落ち)が127.2万円〜157.7万円、2024年(2年落ち)が79万円〜150.7万円、2023年(3年落ち)が71.7万円〜121.9万円。2年落ちの幅が79万円から150.7万円まで開いているのは、1.0LのXからハイブリッドのZまでが、同じ年式の相場としてまとめて集計されているためだと考えられます。グレード別の内訳はこのページに出ません。

買取相場は掲載物件からの集計値で、実際の査定額は装備・状態・走行距離によって変わります。

Xに決める前に、ハロゲンのヘッドランプを日が落ちてからの試乗で確かめる

最初に決められるのはエンジンです。レーダークルーズコントロールを使うつもりがあるなら、1.0Lはその時点で候補から外れます。これは販売店へ行く前に、家で決められます。

次が、暗くなってからの試乗です。ヘッドランプの明るさで困るかどうかは装備一覧からは読み取れず、自分の走る道で見るしかありません。街灯の少ない住宅街や、対向車のライトが強い幹線道路のように、毎日通る道をハロゲンのヘッドランプで照らしてみて、この明るさに納得できるかどうかを確かめます。3灯式フルLEDヘッドランプは、Z・G・XのうちXにだけ標準でもメーカーオプションでも設定がありません。Xを注文すると、ヘッドランプはプロジェクター式ハロゲンに決まります。試乗の時間を夕方以降にできないか、販売店に相談する価値があります。

ガソリンのXを考えているなら、試乗のついでにエアコンのダイヤルを実際に回してみてください。これを毎日やるのかと思うかどうかは、店頭で数分あれば分かります。

夜の道を走ってなおXでいいなら、169万7,300円は安いと思います。予防安全もスマホ連携もテレスコピックステアリングも、いちばん安いグレードに入っているクルマです。

実際に乗っている人の評価は、みんカラのヤリスのレビューで読めます。

価格・装備はトヨタ「ヤリス 主要諸元表・主要装備一覧表」(‘26年4月現在)と「グレード別主な標準装備比較表」(‘26年2月現在)にもとづく執筆時点の情報です。改良により変更されることがあるので、購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。