セレナ vs ノア|3列目に人を乗せ続けるならどちらか?

左が日産セレナ C28 e-POWER ハイウェイスターV、右がトヨタ ノア ハイブリッド S-Z 2WD(6AA-ZWR90W-APXRB)の外観
写真: TTTNIS(セレナ)/ Tokumeigakarinoaoshima(ノア)/ Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・2枚を左右に並置し縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
右のクラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手を頬に当てて、口を開けてシキに相談している。左のシキは白紙を胸に抱え、穏やかな表情でクラのほうを向いて聞いている セレナとノア、全長は5mm差なんでしょ。中身も似たようなもの?
左のシキが片手に白紙の束を持ち、もう片方の手で白紙を1枚クラのほうへ差し出しながら話している。右のクラはマグカップを両手で持ち、目を丸くしてその紙を見ている 室内長が340mm違う。3,145mmと2,805mm
右のクラがマグカップを両手で包むように持ち、眉を下げて汗をかきながら、口を開けて質問している。左のシキは白紙を片手に持ち、もう片方の手の人差し指を立てて答えている じゃあノアの3列目は、うちだと使えない?荷物置きなら足りる。人が常用するかで分かれる
左のシキが白紙を両手で持ち、口を開けて笑いながら話している。右のクラはマグカップを片手に持ち、もう片方の手をあごに当てて、にっこり笑って考えている だから、決めるのは3列目に誰が座るかから価格から見比べるんじゃないんだ

同じ大きさに見えて、室内の寸法とモーターのトルクが違う2台です。全長の差は5mmしかないのに、室内長は340mm、駆動用モーターの最大トルクは130N·m開きます。3列目に人を乗せ続けるならセレナ、荷物置きでいいならノア。 決まるのはここです。

「どちらも同じくらいの箱だし、あとは顔の好みでは」。同じ売り場に並ぶ2台を前にすると、そう思えてくるところです。ただ、諸元表を並べてみると、近いのは外側の寸法だけです。

全長5mm差で、室内長は340mm違う

セレナの室内長は3,145mmで、ノアより340mm長くなります。室内幅も1,545mmあり、ノアより75mm広い数字です。いっぽう外側は、全長の差が5mm、ホイールベースの差が20mmしかありません。外側がほぼ重なっているので、340mmはそのまま中の配り方の違いということになります。

ただし、この340mmをミリ単位で信じきらないほうがよさそうです。室内寸法は両社とも社内測定値で、どこからどこまでを測るかはメーカーに委ねられています。外側の寸法は型式指定申請書の値なので、こちらはそのまま並べて比べられます。

確かめる方法は、販売店で3列目に座って、ヒザの前と頭の上にどれだけ残るかを見ることです。ここは数字の読み比べでは代わりになりません。

クラ

うちの3列目、乗せるのは子どもだけなんだよね。それでも340mm要る?

シキ

誰が座るかが分かれ目。荷物置きで足りるなら、340mm長いぶんは使わないまま毎日乗ることになる

同じ「ハイブリッド」でも、タイヤを回すものが違う

セレナのe-POWERは、エンジンが発電に専念し、タイヤを回すのはモーターだけです。諸元表でも「発電用エンジン型式」という書き方になっていて、トランスミッションの欄は「-」のまま。ノアのTHS IIは電気式無段変速機を介して、エンジンもモーターも駆動に参加します。

エンジン単体の最高出力は、どちらも72kW(98PS)で並びます。ただしセレナのエンジンは、この出力を発電に回すだけで、タイヤには届きません。同じ「ハイブリッド」という言葉で括られていても、数字の意味するところが違います。

クラ

電池が減ってきたら遅くなったりしない? 帰省の坂道がちょっと不安で

シキ

坂道で電池がどうなるかは、諸元表に載っていない。分かるのは、発電用エンジンの最高出力が72kW(98PS)だというところまで

遮音ガラスとチルト&テレスコピックは、両車にある

フロントガラスは両車とも遮音仕様です。セレナがスーパーUVカットグリーン遮音ガラス、ノアがUVカット機能付ウインドシールドグリーンガラス(合わせ・高遮音性ガラス)。チルト&テレスコピックステアリングも、両車とも全車標準です。装備一覧で両車の差が出ないのは、この2つのほうです。

音の出方が変わるのは、ガラスではなくエンジンのかかり方です。セレナは発進から低速域で、エンジンが止まったまま走れる場面があります。ただし発電のためにエンジンがかかると、車速と関係のない回転数で回るので、加速感と音がそろいません。好みが分かれるところだと思います。

ノアでいちばん高いS-Zの2WDが、いちばん薄いタイヤを履く

では、価格の高いグレードほど乗り心地がよくなるのでしょうか。タイヤで見るかぎり、そうとはかぎりません。

セレナは全グレードが205/65R16で統一され、サイドウォールの高さは約133mm。ノアはS-Zの2WDだけ205/55R17で約113mm、それ以外は205/60R16です。ノアでいちばん高いS-Zの2WDが、いちばん薄いタイヤを履きます。 路面の目地や段差の角は伝わりやすくなると考えられます。

クラ

17インチのほうが見栄えはするんだよね。毎日乗るなら、どっちを取ればいいんだろう

シキ

2台を通して17インチはS-Zの2WDだけ。見栄えを取ると、サイドウォールは約113mmになる

寸法とパワートレインの数値、その出どころ

項目セレナ(C28)ノア(90系)
全長4,690mm(ハイウェイスターV系4,765mm)4,695mm
全幅1,695mm(ハイウェイスターV系1,715mm)1,730mm
全高1,870mm1,895mm
ホイールベース2,870mm2,850mm
室内長3,145mm2,805mm
室内幅1,545mm1,470mm
室内高1,400mm1,405mm
最小回転半径5.7m5.5m
タイヤ205/65R16205/60R16(S-Zの2WDは205/55R17)
項目セレナ e-POWERノア ハイブリッド
エンジン型式HR14DDe(発電専用)2ZR-FXE
総排気量1.433L 直列3気筒1.797L 直列4気筒
エンジン最高出力72kW(98PS)/5,60072kW(98PS)/5,200
エンジン最大トルク123N·m/5,600142N·m/3,600
フロントモーターEM57 120kW・315N·m1VM 70kW・185N·m
リヤモーター(4WD)MM48 60kW・195N·m1WM 30kW・84N·m
WLTC燃費20.3km/L(e-POWER X)23.4km/L(S-Z 2WD)

価格・仕様は執筆時点の情報です。数値は日産「セレナ 主要装備一覧/諸元表」(2026年3月版)とトヨタ「ノア 主要諸元表」(2026年5月版)、および両社の公式価格表示にもとづきます。室内寸法は両社とも社内測定値です。購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。

セレナは3列目、ノアは高速と駐車場

セレナ|3列目に人を乗せるなら

日産セレナ C28 e-POWER ハイウェイスターVの外観
写真: TTTNIS — Wikimedia Commons(CC0)

セカンドシートの動き方が、3列目を使う前提の作りです。左右席とも横方向にスライドするので、2列目を左右に寄せて3列目への通路を作ったり、中央に寄せて肩の間隔を空けたりできます。ノアのセカンドシートは「ストレート超ロングスライド」で、前後方向の移動が中心です。サードシートも、セレナは低位置格納式のスマートアップサードシートで、スライドとリクライニングが付きます。

大人が2列目のわきを通って3列目へ入る場面では、左右のスライド量がそのまま通路の幅になります。

ヒーター付シートは前席とセカンド左右まで含み、ホットプラスパッケージとして4WDは標準、2WDはメーカーオプション。ノアの快適温熱シートは運転席・助手席で、グレードによっては快適利便パッケージ(Mid)に含まれます。どちらも駆動方式とパッケージの条件が付くので、見積もりの段階で確かめる装備です。

フロントモーターは315N·mで、ノアの1VMは185N·m。車両重量はセレナ e-POWER Xが1,790kg、ノアS-Z 2WDが1,680kgでセレナが110kg重いものの、1トンあたりのモータートルクはセレナ176N·m、ノア110N·mで順位は変わりません。モーターは回りはじめから最大トルクを出せるので、信号待ちからの発進や坂道での踏み増しに出る差です。

シート地では、撥水加工と防水シート(ネオソフィール)の設定があります。小さい子どもを乗せる。濡れたレジャー用品を積む。そういう使い方なら選択肢になる装備です。

e-POWERは高速巡航でもエンジンが発電し続ける構造なので、一定速度が続く場面では効率が落ちやすくなります。市街地モード21.3km/Lに対して高速道路モードは19.3km/Lで、市街地のほうが良い数字です。最小回転半径5.7mも、ノアの5.5mより不利です。

ノア|高速の燃費と、駐車場の切り返し

トヨタ ノア ハイブリッド S-Z 2WDの外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)

WLTC燃費は23.4km/L対20.3km/L。高速道路モードで見るとノア22.1km/L、セレナ18.2km/L(e-POWER ハイウェイスターV)で、差は4km/L近くに開きます。ノアがいちばん良い数字を出すのは郊外モードの26.0km/Lです。長距離の高速移動が多いほど、差は開く方向になります。

最小回転半径も5.5mで、セレナより0.2m小さい数値です。ホイールベースが20mm短いぶん、駐車場で切り返す回数は少なくて済みます。

クラ

うちは年に何度か帰省で高速に乗るくらい。ふだんは送り迎えと買い物なんだよね

シキ

それなら、燃費差が出るのは年に何度か。駐車場の切り返しは毎日ある

3列目まわりの数字では、ノアの室内長も室内幅もセレナより小さくなります。全幅は1,730mmで、5ナンバー枠に収める選択肢がありません。ガソリン車も現行カタログにはなく、S-Z/S-G/S-Xの3グレードはいずれもハイブリッドです。姉妹車のヴォクシーとどこが分かれるかはノア vs ヴォクシーで比べています。

サスペンションはセレナもノアも前ストラット/後トーションビームで、形式は同じです。セレナのe-4ORCE(4WD)だけ、リヤにモーターを積むぶん構成が変わります。

シートの作りと、いちばん安いグレードの価格

項目セレナノア
シート地(標準)織物/トリコットファブリック
シート地(上級)ジャカード織物/トリコット(撥水加工)&合皮コンビ合成皮革+ファブリック
防水シートネオソフィール(オプション設定あり)設定なし
セカンドシートの動き超ロングスライド+横スライド+リクライニング(左右とも)ストレート超ロングスライド+リクライニング
セカンド中央席スマートマルチセンターシート(8人乗り)6:4分割チップアップシート(8人乗り)
サードシートスマートアップサードシート(低位置格納式・スライド+リクライニング)格納式
シートヒーターヒーター付シート〈前席、セカンド左右〉(ホットプラスパッケージ。4WDは標準、2WDはオプション)快適温熱シート(運転席・助手席)。グレードにより快適利便パッケージ(Mid)に含まれる
ステアリング調整チルト&テレスコピック(全車標準)チルト&テレスコピック(全車標準)
ノアのグレード2WD(税込)E-Four(税込)
S-Z(7人)4,056,800円4,309,800円
S-G(7人/8人)3,700,400円3,953,400円
S-X(7人/8人)3,261,500円3,514,500円

セレナは、ガソリン(MR20DD)とe-POWER、そして4WDのe-4ORCEまで揃います。グレードはX/X XVパッケージ/ハイウェイスターV/e-POWER各種/e-POWER LUXION。メーカー希望小売価格は公式サイトの表示で2,785,200円からです。グレード別の価格は公式サイトに一覧の形では掲載がないため、本記事ではいちばん安いグレードの価格のみを記載しています。個別の価格は販売会社にご確認ください。

いちばん安いグレードどうしで比べるとセレナが約48万円安くなります。「それだけ違うならセレナでいいのでは」と読みたくなるところですが、セレナの約279万円はガソリン車、ノアの約326万円はハイブリッドの価格です。燃料もパワートレインも違うので、そのまま並べられる金額ではありません。

3列目に誰が座るかから決める

価格から入ると、比べられない金額どうしを並べることになります。先に決まるものから並べると、こうなります。

  1. 3列目に誰が座るかを決める。人が常用するならセレナで、実車の3列目に座ってヒザ前を確かめたうえで決まります。荷物置きや臨時席なら340mmの差は使わないままになるので、次へ進みます
  2. 5ナンバー枠が要るかを確かめる。要るならセレナの標準系だけです。ハイウェイスターV系は全幅1,715mmの3ナンバー、ノアは全車3ナンバーになります
  3. 日常が街中か高速かで選ぶ。高速の長距離が多いならノアです。街中の発進が多いならセレナで、止まった状態から最大トルク315N·mが出ます
  4. シートヒーターが要るなら、駆動方式とパッケージの条件を見積もりで確認する。セレナは2WDだとオプション、ノアはグレードによってパッケージ扱いです

ひとまわり小さいミニバンで同じ問いを立てるなら、シエンタ vs フリードが対応します。