セレナ vs ノア|3列目に人を乗せ続けるならどちらか?
セレナとノア、全長は5mm差なんでしょ。中身も似たようなもの?
室内長が340mm違う。3,145mmと2,805mm
じゃあノアの3列目は、うちだと使えない?荷物置きなら足りる。人が常用するかで分かれる
だから、決めるのは3列目に誰が座るかから価格から見比べるんじゃないんだ 同じ大きさに見えて、室内の寸法とモーターのトルクが違う2台です。全長の差は5mmしかないのに、室内長は340mm、駆動用モーターの最大トルクは130N·m開きます。3列目に人を乗せ続けるならセレナ、荷物置きでいいならノア。 決まるのはここです。
「どちらも同じくらいの箱だし、あとは顔の好みでは」。同じ売り場に並ぶ2台を前にすると、そう思えてくるところです。ただ、諸元表を並べてみると、近いのは外側の寸法だけです。
全長5mm差で、室内長は340mm違う
セレナの室内長は3,145mmで、ノアより340mm長くなります。室内幅も1,545mmあり、ノアより75mm広い数字です。いっぽう外側は、全長の差が5mm、ホイールベースの差が20mmしかありません。外側がほぼ重なっているので、340mmはそのまま中の配り方の違いということになります。
ただし、この340mmをミリ単位で信じきらないほうがよさそうです。室内寸法は両社とも社内測定値で、どこからどこまでを測るかはメーカーに委ねられています。外側の寸法は型式指定申請書の値なので、こちらはそのまま並べて比べられます。
確かめる方法は、販売店で3列目に座って、ヒザの前と頭の上にどれだけ残るかを見ることです。ここは数字の読み比べでは代わりになりません。
うちの3列目、乗せるのは子どもだけなんだよね。それでも340mm要る?
誰が座るかが分かれ目。荷物置きで足りるなら、340mm長いぶんは使わないまま毎日乗ることになる
同じ「ハイブリッド」でも、タイヤを回すものが違う
セレナのe-POWERは、エンジンが発電に専念し、タイヤを回すのはモーターだけです。諸元表でも「発電用エンジン型式」という書き方になっていて、トランスミッションの欄は「-」のまま。ノアのTHS IIは電気式無段変速機を介して、エンジンもモーターも駆動に参加します。
エンジン単体の最高出力は、どちらも72kW(98PS)で並びます。ただしセレナのエンジンは、この出力を発電に回すだけで、タイヤには届きません。同じ「ハイブリッド」という言葉で括られていても、数字の意味するところが違います。
電池が減ってきたら遅くなったりしない? 帰省の坂道がちょっと不安で
坂道で電池がどうなるかは、諸元表に載っていない。分かるのは、発電用エンジンの最高出力が72kW(98PS)だというところまで
遮音ガラスとチルト&テレスコピックは、両車にある
フロントガラスは両車とも遮音仕様です。セレナがスーパーUVカットグリーン遮音ガラス、ノアがUVカット機能付ウインドシールドグリーンガラス(合わせ・高遮音性ガラス)。チルト&テレスコピックステアリングも、両車とも全車標準です。装備一覧で両車の差が出ないのは、この2つのほうです。
音の出方が変わるのは、ガラスではなくエンジンのかかり方です。セレナは発進から低速域で、エンジンが止まったまま走れる場面があります。ただし発電のためにエンジンがかかると、車速と関係のない回転数で回るので、加速感と音がそろいません。好みが分かれるところだと思います。
ノアでいちばん高いS-Zの2WDが、いちばん薄いタイヤを履く
では、価格の高いグレードほど乗り心地がよくなるのでしょうか。タイヤで見るかぎり、そうとはかぎりません。
セレナは全グレードが205/65R16で統一され、サイドウォールの高さは約133mm。ノアはS-Zの2WDだけ205/55R17で約113mm、それ以外は205/60R16です。ノアでいちばん高いS-Zの2WDが、いちばん薄いタイヤを履きます。 路面の目地や段差の角は伝わりやすくなると考えられます。
17インチのほうが見栄えはするんだよね。毎日乗るなら、どっちを取ればいいんだろう
2台を通して17インチはS-Zの2WDだけ。見栄えを取ると、サイドウォールは約113mmになる
寸法とパワートレインの数値、その出どころ
| 項目 | セレナ(C28) | ノア(90系) |
|---|---|---|
| 全長 | 4,690mm(ハイウェイスターV系4,765mm) | 4,695mm |
| 全幅 | 1,695mm(ハイウェイスターV系1,715mm) | 1,730mm |
| 全高 | 1,870mm | 1,895mm |
| ホイールベース | 2,870mm | 2,850mm |
| 室内長 | 3,145mm | 2,805mm |
| 室内幅 | 1,545mm | 1,470mm |
| 室内高 | 1,400mm | 1,405mm |
| 最小回転半径 | 5.7m | 5.5m |
| タイヤ | 205/65R16 | 205/60R16(S-Zの2WDは205/55R17) |
| 項目 | セレナ e-POWER | ノア ハイブリッド |
|---|---|---|
| エンジン型式 | HR14DDe(発電専用) | 2ZR-FXE |
| 総排気量 | 1.433L 直列3気筒 | 1.797L 直列4気筒 |
| エンジン最高出力 | 72kW(98PS)/5,600 | 72kW(98PS)/5,200 |
| エンジン最大トルク | 123N·m/5,600 | 142N·m/3,600 |
| フロントモーター | EM57 120kW・315N·m | 1VM 70kW・185N·m |
| リヤモーター(4WD) | MM48 60kW・195N·m | 1WM 30kW・84N·m |
| WLTC燃費 | 20.3km/L(e-POWER X) | 23.4km/L(S-Z 2WD) |
価格・仕様は執筆時点の情報です。数値は日産「セレナ 主要装備一覧/諸元表」(2026年3月版)とトヨタ「ノア 主要諸元表」(2026年5月版)、および両社の公式価格表示にもとづきます。室内寸法は両社とも社内測定値です。購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。
セレナは3列目、ノアは高速と駐車場
セレナ|3列目に人を乗せるなら

セカンドシートの動き方が、3列目を使う前提の作りです。左右席とも横方向にスライドするので、2列目を左右に寄せて3列目への通路を作ったり、中央に寄せて肩の間隔を空けたりできます。ノアのセカンドシートは「ストレート超ロングスライド」で、前後方向の移動が中心です。サードシートも、セレナは低位置格納式のスマートアップサードシートで、スライドとリクライニングが付きます。
大人が2列目のわきを通って3列目へ入る場面では、左右のスライド量がそのまま通路の幅になります。
ヒーター付シートは前席とセカンド左右まで含み、ホットプラスパッケージとして4WDは標準、2WDはメーカーオプション。ノアの快適温熱シートは運転席・助手席で、グレードによっては快適利便パッケージ(Mid)に含まれます。どちらも駆動方式とパッケージの条件が付くので、見積もりの段階で確かめる装備です。
フロントモーターは315N·mで、ノアの1VMは185N·m。車両重量はセレナ e-POWER Xが1,790kg、ノアS-Z 2WDが1,680kgでセレナが110kg重いものの、1トンあたりのモータートルクはセレナ176N·m、ノア110N·mで順位は変わりません。モーターは回りはじめから最大トルクを出せるので、信号待ちからの発進や坂道での踏み増しに出る差です。
シート地では、撥水加工と防水シート(ネオソフィール)の設定があります。小さい子どもを乗せる。濡れたレジャー用品を積む。そういう使い方なら選択肢になる装備です。
e-POWERは高速巡航でもエンジンが発電し続ける構造なので、一定速度が続く場面では効率が落ちやすくなります。市街地モード21.3km/Lに対して高速道路モードは19.3km/Lで、市街地のほうが良い数字です。最小回転半径5.7mも、ノアの5.5mより不利です。
ノア|高速の燃費と、駐車場の切り返し

WLTC燃費は23.4km/L対20.3km/L。高速道路モードで見るとノア22.1km/L、セレナ18.2km/L(e-POWER ハイウェイスターV)で、差は4km/L近くに開きます。ノアがいちばん良い数字を出すのは郊外モードの26.0km/Lです。長距離の高速移動が多いほど、差は開く方向になります。
最小回転半径も5.5mで、セレナより0.2m小さい数値です。ホイールベースが20mm短いぶん、駐車場で切り返す回数は少なくて済みます。
うちは年に何度か帰省で高速に乗るくらい。ふだんは送り迎えと買い物なんだよね
それなら、燃費差が出るのは年に何度か。駐車場の切り返しは毎日ある
3列目まわりの数字では、ノアの室内長も室内幅もセレナより小さくなります。全幅は1,730mmで、5ナンバー枠に収める選択肢がありません。ガソリン車も現行カタログにはなく、S-Z/S-G/S-Xの3グレードはいずれもハイブリッドです。姉妹車のヴォクシーとどこが分かれるかはノア vs ヴォクシーで比べています。
サスペンションはセレナもノアも前ストラット/後トーションビームで、形式は同じです。セレナのe-4ORCE(4WD)だけ、リヤにモーターを積むぶん構成が変わります。
シートの作りと、いちばん安いグレードの価格
| 項目 | セレナ | ノア |
|---|---|---|
| シート地(標準) | 織物/トリコット | ファブリック |
| シート地(上級) | ジャカード織物/トリコット(撥水加工)&合皮コンビ | 合成皮革+ファブリック |
| 防水シート | ネオソフィール(オプション設定あり) | 設定なし |
| セカンドシートの動き | 超ロングスライド+横スライド+リクライニング(左右とも) | ストレート超ロングスライド+リクライニング |
| セカンド中央席 | スマートマルチセンターシート(8人乗り) | 6:4分割チップアップシート(8人乗り) |
| サードシート | スマートアップサードシート(低位置格納式・スライド+リクライニング) | 格納式 |
| シートヒーター | ヒーター付シート〈前席、セカンド左右〉(ホットプラスパッケージ。4WDは標準、2WDはオプション) | 快適温熱シート(運転席・助手席)。グレードにより快適利便パッケージ(Mid)に含まれる |
| ステアリング調整 | チルト&テレスコピック(全車標準) | チルト&テレスコピック(全車標準) |
| ノアのグレード | 2WD(税込) | E-Four(税込) |
|---|---|---|
| S-Z(7人) | 4,056,800円 | 4,309,800円 |
| S-G(7人/8人) | 3,700,400円 | 3,953,400円 |
| S-X(7人/8人) | 3,261,500円 | 3,514,500円 |
セレナは、ガソリン(MR20DD)とe-POWER、そして4WDのe-4ORCEまで揃います。グレードはX/X XVパッケージ/ハイウェイスターV/e-POWER各種/e-POWER LUXION。メーカー希望小売価格は公式サイトの表示で2,785,200円からです。グレード別の価格は公式サイトに一覧の形では掲載がないため、本記事ではいちばん安いグレードの価格のみを記載しています。個別の価格は販売会社にご確認ください。
いちばん安いグレードどうしで比べるとセレナが約48万円安くなります。「それだけ違うならセレナでいいのでは」と読みたくなるところですが、セレナの約279万円はガソリン車、ノアの約326万円はハイブリッドの価格です。燃料もパワートレインも違うので、そのまま並べられる金額ではありません。
3列目に誰が座るかから決める
価格から入ると、比べられない金額どうしを並べることになります。先に決まるものから並べると、こうなります。
- 3列目に誰が座るかを決める。人が常用するならセレナで、実車の3列目に座ってヒザ前を確かめたうえで決まります。荷物置きや臨時席なら340mmの差は使わないままになるので、次へ進みます
- 5ナンバー枠が要るかを確かめる。要るならセレナの標準系だけです。ハイウェイスターV系は全幅1,715mmの3ナンバー、ノアは全車3ナンバーになります
- 日常が街中か高速かで選ぶ。高速の長距離が多いならノアです。街中の発進が多いならセレナで、止まった状態から最大トルク315N·mが出ます
- シートヒーターが要るなら、駆動方式とパッケージの条件を見積もりで確認する。セレナは2WDだとオプション、ノアはグレードによってパッケージ扱いです
ひとまわり小さいミニバンで同じ問いを立てるなら、シエンタ vs フリードが対応します。