シエンタ vs フリード|いちばん安いグレードでいくら違う?

左がトヨタ シエンタ(5BA-MXPC10G・ガソリンZ・白)、右がホンダ フリード(6AA-GT6・e:HEV CROSSTAR・白)の前方斜めからの外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・2枚を左右に並置し縮小)

スライドドア付きのコンパクトミニバンを絞り込んでいくと、最後に残るのはシエンタとフリードです。全長は4,260mmと4,310mmで差は50mm、全幅はどちらも1,695mm。サイズの欄だけ見ていると、ほとんど同じクルマに見えます。ところが両車の価格表と諸元表を見比べると、いちばん安いグレードどうしで約48万円の差があり、全高は60mm違います。駐車場の高さ制限が1,700mmなら、それだけでシエンタに決まります。

全高1,700mmの駐車場と、ガソリン車の4WD

機械式立体駐車場の看板に1,700mmと出ているなら、入るのはシエンタの2WDだけです。ガソリン車で4WDを選べるのは、逆にフリードだけ。どちらかに当てはまるなら、価格も室内寸法も見る前に答えが出ます。

当てはまらないときに残るのは、室内の広げ方(長さか幅か)と、ハイブリッドの作り方の2つです。

クラ

駐車場の高さ制限って、ちょっとくらいならなんとかならないの?

シキ

フリードはFFで1,755mm。1,700mmの看板なら55mmはみ出す。車高は装備でもオプションでも下がらない

いちばん安いグレードの48万円差と、「広い」が長さか幅か

48万円の差が付いているのは、いちばん安いグレードどうしだけ

「48万円も違うなら、比べるまでもない」と見えるところです。ところが差が開いているのはいちばん安いグレードどうしだけで、シエンタが約215万円から、フリードが約262万円から。上位まで上がると約7万円まで縮まります(シエンタ ハイブリッドZ 7人乗り 約318万円 対 フリード e:HEV AIR EX 7人乗り 約326万円)。

差の正体はラインアップの構成です。シエンタは1.5Lガソリンの5人乗りという構成が214万円台です。フリードはいちばん安いAIRでも6人乗りが標準なので、価格の下限がシエンタより高くなります。

ホイールベースが10mm長いシエンタのほうが、室内長は100mm短い

諸元表を並べると、ここだけ大小が逆になります。シエンタのホイールベースは2,750mmでフリードより10mm長いのに、室内長は100mm短い2,545mm(7人乗り)です。軸間の長さから室内の広さは読めません。

長さで広いのはフリード、幅で広いのはシエンタ

室内長はフリードが100mm長い2,645mm、室内幅はシエンタが60mm広い1,530mm。3列目まで人を乗せるなら前後の長さが要り、2列目に3人並べたりチャイルドシートを2台並べたりするなら幅が要ります。「広い」がどちらを指しているかで、答えが入れ替わります。

なおシエンタの室内長は7人乗りが2,545mm、5人乗りは2,030mm。同じシエンタでも別物なので、混同しないほうがよさそうです。

モーターで走る時間が長いのは、フリードのe:HEV

フリードのe:HEVはモーターが90kW・253N·mで、エンジンの127N·mを上回ります。しかも最大トルクが出るのは0〜3,000rpm。発進から市街地の速度域までは、モーターの力で動く時間が長い構成です。

シエンタはエンジンとモーターを協調させる構成で、モーターは59kW・141N·m。エンジンを上回りません。そのぶん車両重量はフリードが130kg前後重く、カタログ燃費はシエンタが2.4km/L上回ります。

クラ

モーターが強いほうが速い、ってこと?

シキ

速さではなく、どこで力が出るかの話。0〜3,000rpmで最大トルクなら、信号からの発進で回転を上げずに済む

クラ

うちは送り迎えと買い物ばっかりなんだけど

シキ

発進と停止をくり返す使い方なら、モーターで動く時間は長くなる。ただし車両重量は130kg前後重くて、カタログ燃費は2.4km/L低い

6グレード対6タイプの価格

シエンタとフリードの価格を3階層で比較した横棒グラフ。ガソリン最安は477,400円差、ハイブリッド最安は518,100円差、上位グレードでは72,600円差まで縮まる

シエンタの価格(税込)

グレード2WD・7人乗り2WD・5人乗りE-Four・7人乗り
ハイブリッド Z3,183,400円3,142,700円3,397,900円
ハイブリッド G2,874,300円2,833,600円3,088,800円
ハイブリッド X2,544,300円2,504,700円2,758,800円
ガソリン Z2,802,800円2,763,200円—
ガソリン G2,526,700円2,487,100円—
ガソリン X2,185,700円2,146,100円—

フリードの価格(税込)

タイプFF・6人乗りFF・7人乗り4WD・6人乗り
e:HEV CROSSTAR3,371,500円—3,602,500円
e:HEV AIR EX3,212,000円3,256,000円3,443,000円
e:HEV AIR3,022,800円—3,253,800円
CROSSTAR(ガソリン)2,972,200円——
AIR EX(ガソリン)2,812,700円2,856,700円3,043,700円
AIR(ガソリン)2,623,500円—2,854,500円

安い価格帯にグレードがあるのはシエンタだけで、360万円台のタイプがあるのはフリードだけです。重なっている範囲では、同じ予算で両方が候補に残ります。

シエンタは低さと幅、フリードは力とガソリン4WD

シエンタ|1,695mmの全高と、60mm広い室内幅

3列シートをできるだけ安く、という条件なら候補はシエンタしか残りません。ガソリンX 7人乗りが約219万円、5人乗りなら約215万円。フリードには、この価格帯のタイプがありません。

室内長はフリードが100mm長く、室内幅はシエンタが60mm広く、室内高はシエンタが30mm高く、全高はフリードが60mm高いことを示した図

全高は2WDなら1,695mmに収まるので、1,700mmを上限とする機械式立体駐車場に入ります。フリードはFFでも1,755mm、4WDでは1,780mmです。室内幅は1,530mmでフリードより60mm広く、チャイルドシートを2台並べるなら、この60mmは左右の余裕としてそのまま残ります。室内高も30mm高い1,300mm、最小回転半径も5.0mでフリードの5.2mより小さい値です。

WLTCモード燃費はハイブリッドZの5人乗りで28.0km/L。フリードのe:HEV AIRの25.6km/Lを2.4km/L上回ります。

駐車場が低く、2列目に人を並べる使い方なら、シエンタです。

前席シートヒーターとステアリングヒーターは、コンフォートパッケージに入っていて単体では選べません。設定があるのはZグレードだけで、価格は約7万9千円、E-Fourのみ約9万4千円。GとXにはこのパッケージの設定がないため、シートヒーターが欲しければZを選ぶことになります。シート表皮の消臭・撥水撥油機能付もメーカーオプションです。

ガソリン車の4WDも、シエンタには設定がありません。4WDが要るならハイブリッドのE-Fourしかなく、いちばん安いのはハイブリッドX E-Fourの5人乗り(2,719,200円)です。

クラ

寒冷地じゃないから、冬の朝の送り迎えの30分だけなんだよね。そのために上のグレードを買うのか

シキ

買うかどうかは決められる。決められないのは、GとXで後から足すこと

フリード|ガソリン車で4WDを選べるのはこちら

フリードにしかないのは、ガソリン車の4WDです。「4WDは要るが、ハイブリッドまでは要らない」という条件だと、選べるのはこちらだけになります。AIRの4WDが約285万円。いちばん安いグレードどうしの約48万円差があっても、フリードを選ぶ理由になるのがここです。 4WDは燃料タンクも53Lに増えます(FFは42L、シエンタは40L)。

室内長は2,645mmでシエンタの7人乗りより100mm長く、3列目まで人を乗せるときの前後の余裕はこちらにあります。乗車定員の選択肢も5名・6名・7名の3通りで、2列目キャプテンシートの6人乗りが選べます。シエンタは5名か7名の2択です。

シートの汚れ対策はFABTECTという名前で、座面と背もたれのファブリック部分に撥水・撥油の加工が標準で入ります。同じ機能がシエンタではメーカーオプションです。運転席&助手席シートヒーターも、パッケージではなく単独の装備として記載されています。

クラ

後ろでジュースをこぼされるのは、もう前提でいいと思ってる

シキ

その前提を先に置くなら、フリードは標準で付いてくる。シエンタは注文のときに選ぶことになる

日差し対策は360° スーパーUV・IRカット パッケージが全タイプ標準で、フロント・フロントコーナー・フロントドアまで遮熱とUVカットが付きます。

全高はFFでも1,755mm、4WDは1,780mmで、1,700mm制限の駐車場には入りません。車両重量は1,460〜1,580kgでシエンタより130kg前後重く、WLTCモード燃費は25.6km/L。フロントガラスも遮熱とUVカットの記載で、シエンタのような高遮音性ガラスの記載はありません。

タイヤもテレスコピックステアリングも、2台とも同じ

タイヤはどちらも185/65R15で同一サイズです。ホイールもスチールとアルミの2本立てで並びます。チルト&テレスコピックステアリングと運転席の高さ調整も、両車とも全グレード標準で、運転姿勢のつくり方では差が付きません。

寸法

項目シエンタフリード
全長4,260mm4,310mm
全幅1,695mm1,695mm(CROSSTARは1,720mm)
全高1,695mm(E-Fourは1,715mm)1,755mm(4WDは1,780mm)
ホイールベース2,750mm2,740mm
室内長2,545mm(7人乗り)/2,030mm(5人乗り)2,645mm
室内幅1,530mm1,470mm
室内高1,300mm1,270mm(ガソリン車は1,280mm)
最低地上高140mm135mm(4WDは150mm)
最小回転半径5.0m5.2m
乗車定員5名/7名5名/6名/7名

パワートレイン

項目シエンタ ハイブリッドフリード e:HEV
エンジン型式M15A-FXELEB
エンジン種類直列3気筒直列4気筒
総排気量1.490L1.496L
内径×行程80.5×97.6mm73.0×89.4mm
圧縮比公式主要諸元表に記載なし13.5
エンジン最高出力67kW〈91PS〉/5,500rpm78kW〈106PS〉/6,000-6,400rpm
エンジン最大トルク120N·m〈12.2kgf·m〉/3,800-4,800rpm127N·m〈13.0kgf·m〉/4,500-5,000rpm
モーター型式1NM(交流同期電動機)H5(交流同期電動機)
モーター最高出力59kW〈80PS〉90kW〈123PS〉/3,500-8,000rpm
モーター最大トルク141N·m〈14.4kgf·m〉253N·m〈25.8kgf·m〉/0-3,000rpm
駆動用電池ニッケル水素電池・6.5Ahリチウムイオン電池・48セル
トランスミッション電気式無段変速機電気式無段変速機
車両重量1,330〜1,370kg1,460〜1,580kg
WLTCモード燃費28.0km/L(Z 5人乗り)25.6km/L(AIR)
項目シエンタ ガソリンフリード ガソリン
エンジン型式M15A-FKSL15D
最高出力88kW〈120PS〉/6,600rpm87kW〈118PS〉/6,600rpm
最大トルク145N·m〈14.8kgf·m〉/4,800-5,200rpm142N·m〈14.5kgf·m〉/4,300rpm
トランスミッションDirect Shift-CVT無段変速オートマチック(CVT)
WLTCモード燃費18.0〜18.2km/L16.5km/L(AIR FF)
4WDの設定なし(2WDのみ)あり
燃料タンク容量40L42L(4WDは53L)

ガソリン車どうしなら、出力もトルクもほぼ同じです。差になるのは、上の表の燃費と燃料タンクの容量、それに4WDの有無です。

シートとガラス

項目シエンタフリード
シート表皮ファブリックファブリック(AIR系)/コンビシート プライムスムース×ファブリック(CROSSTAR)
撥水・撥油加工ファブリックシート表皮(消臭・撥水撥油機能付)はメーカーオプションFABTECT(座面・背もたれのファブリック部分)を標準で採用
前席シートヒーターコンフォートパッケージに含む(Zグレード専用・79,200円)運転席&助手席シートヒーターの設定あり
ステアリングヒーター同パッケージに含む(Zグレード専用)記載なし
運転席の高さ調整運転席シート上下アジャスター(全車標準)運転席ハイトアジャスター(全タイプ標準)
チルト&テレスコピック全車標準全タイプ標準
2列目5:5分割(スライド+リクライニング+タンブル)/6:4分割(リクライニング+チルトダウン)キャプテンシート(両側アームレスト付)/6:4分割タンブル/6:4分割可倒式
3列目5:5分割(リクライニング+ダイブイン機構付)5:5分割はね上げ式
1列目アームレスト運転席アームレスト(フック付/左側)コンビニフック付1列目シートアームレスト
フロントガラスUVカット機能付ウインドシールドグリーンガラス(合わせ・高遮音性ガラス)IRカット〈遮熱〉/UVカット機能付フロントウインドウガラス
フロントドアガラスUVカット機能付/上位はスーパーUVカット・IRカットIRカット〈遮熱〉/スーパーUVカットガラス

3列目の畳み方は、考え方から違います。シエンタはダイブイン機構で床下に落とし込み、フリードははね上げ式で左右の壁側に持ち上げます。荷室の床をフラットに使いたいならダイブイン、背の高い荷物を積みたいならはね上げ、という向き不向きです。

シエンタのコンフォートパッケージを選ぶと、フロントガラスはUVカット・IRカット機能付に変わります。高遮音性ガラスであることは変わらず、IRカット(遮熱)が加わる形です。

買取相場

年式シエンタフリード
2026年193.5万円〜264.4万円181.2万円〜232.5万円
2023年(3年落ち)125.9万円〜222.8万円133.1万円〜177.9万円
2021年(5年落ち)85.9万円〜145.7万円109.9万円〜165.4万円
2019年(7年落ち)76.3万円〜126.9万円68.6万円〜134.3万円

年式の行をそのまま突き合わせると誤読します。世代交代の時期が違うためで、シエンタは2022年8月、フリードは2024年6月にフルモデルチェンジ。同じ「3年落ち」でも、シエンタは現行型、フリードは先代型を指しています。なおシエンタの2025年(1年落ち)は下限3.0万円・上限988.8万円と極端に広く、福祉車両などの外れ値を含んでいるとみられるため上表から除いています。

フリード のグレード(現行世代・2024年6月〜)買取相場
1.5 e:HEV クロスター 4WD235.9万円〜271.6万円
1.5 e:HEV エアー EX 4WD234.3万円〜257.8万円
1.5 e:HEV エアー EX207.6万円〜231.4万円
1.5 e:HEV クロスター209.4万円〜230.6万円
1.5 e:HEV エアー198.3万円〜230.3万円
シエンタ のグレード(先代・2015年7月〜2022年7月)買取相場
1.5 G Safety Edition II 4WD118.1万円〜154.4万円
ハイブリッド 1.5 G クエロ115.1万円〜150.1万円
1.5 G クエロ108.4万円〜136.2万円
ハイブリッド 1.5 ファンベース G100.9万円〜135.8万円

※グレード別の金額には、全体のレンジ上限を超えるものがあります。集計の対象や期間が異なるとみられるため、全体レンジとは別の表として示しています。

両車とも買取相場がいちばん高いのは4WDです。フリードでは e:HEV クロスターの4WDと2WDで、上限に41.0万円の差があります。新車の設定がそのまま出ている形で、雪の降る地域に4WDの需要があるなら、4WDを選べるかどうかは売るときの買い手の数にも関わってきます。

クラ

売るときのことまで、買う前に考えるものなの?

シキ

駆動方式は後から足せない。上限で41.0万円の差があるなら、買う側の選択の話になる

駐車場の高さから順に確かめる

後から変えられないものが先です。上から順に見て、当てはまった時点で止めてください。

  1. 駐車場の高さ制限を確かめる。自宅と、よく停める先の両方です。1,700mm制限なら、入るのはシエンタの2WDだけ。フリードはFFでも1,755mmで、ここは装備でもオプションでも下げられません。
  2. ガソリン車で4WDが要るかを決める。要るならフリードです。シエンタで4WDを選ぶとハイブリッドのE-Fourになり、いちばん安いハイブリッドX E-Fourの5人乗りで271.9万円です。
  3. どちらも当てはまらないなら、2列目に何を並べるかで選ぶ。左右に並べる幅が要るならシエンタ(室内幅1,530mm)、3列目まで人を乗せる前後の余裕が要るならフリード(室内長2,645mm)です。
  4. 予算が300万円台まであるなら、価格は判断材料から外す。上位グレードの差は約7万円しかありません。

車中泊でコンセントを使う前提なら、この2台はAC100V電源の設定でも分かれます。数字は車中泊のAC100V電源|シエンタ・セレナ・フリードで比較にまとめています。

価格・装備・相場は執筆時点の情報です。価格と燃費はすべて2WD/FF・税込で、数値はトヨタ自動車とHondaの公式サイトの主要諸元表・価格表、買取相場はカーセンサー(2026年7月更新)にもとづきます。仕様・価格は変更される場合があり、買取相場は個体の状態・走行距離・時期・業者・地域で大きく動きます。