車検中に貼る保安基準適合標章|15日はいつから数える?
車検から戻ったら、白い紙が貼ってあるんだ
保安基準適合標章。有効期間は15日
起点は満了日じゃないのか。検査した日なんだ
引き取るころには、もう何日か過ぎてる 車検に出した車が、前から見える位置に白い紙を貼って戻ってくることがあります。車検証はまだ手元になく、四角いシールも貼られていません。
その紙が保安基準適合標章です。有効期間は15日。
この15日は、車検証の満了日ではなく、自動車検査員がその車を検査した日から数えます。
満了日までのつなぎだと思ってたんだけど、そうじゃないんだ
起点が別。指定自動車整備事業規則の第九条第一項に『法第九十四条の五第四項の検査をした日から十五日間』と書いてある
この紙の扱いは、3本の法令に分かれて書かれています。
| どこに | 何が書いてあるか |
|---|---|
| 道路運送車両法 第九十四条の五第一項 | 指定自動車整備事業者が、請求により保安基準適合証と保安基準適合標章を依頼者に交付する |
| 同 第六項 | 標章には有効期間を付さなければならない(日数は書いていない) |
| 同 第十一項 | 有効な標章を表示しているとき、第五十八条第一項と第六十六条第一項は適用しない |
| 指定自動車整備事業規則 第九条第一項 | その有効期間は、法第九十四条の五第四項の検査をした日から十五日間 |
| 道路運送車両法施行規則 第三十七条の四 | 自動車の運行中その前面に、有効期間と自動車登録番号が見やすいように表示する |
15日という日数は、法律ではなく省令に書いてある
法律が書いているのは、期間を付けろというところまでです。
6 保安基準適合証及び保安基準適合標章には、国土交通省令で定めるところにより、有効期間を付さなければならない。
(道路運送車両法 第九十四条の五第六項)
日数のほうは、ここでいう国土交通省令にあたる指定自動車整備事業規則の第九条第一項にあります。
保安基準適合証及び保安基準適合標章の有効期間は、法第九十四条の五第四項の検査をした日から十五日間とする。
(指定自動車整備事業規則 第九条第一項)
起点は「法第九十四条の五第四項の検査をした日」。この第四項が指しているのは、自動車検査員が行う検査です。
4 第一項の場合においては、自動車検査員は、国土交通省令で定める基準により、当該自動車が保安基準に適合するかどうかを検査し、その結果これに適合すると認めるときでなければ、その証明をしてはならない。
(道路運送車両法 第九十四条の五第四項)
車を預けた日でも、引き取った日でもありません。整備工場のなかで自動車検査員がその車を検査した日が、15日の1日目です。
じゃあ引き取ったときには、もう何日か減ってるのか
検査が済んでから引き取りまでに2日あれば、その2日は過ぎている。数え始めは、工場のなかで検査が終わった時点
表示しているあいだ、第五十八条第一項と第六十六条第一項が「適用しない」になる
この紙が何をする紙なのかは、第九十四条の五第十一項の一文に収まっています。
第一項の規定による自動車検査員の証明を受けた自動車が国土交通省令で定めるところにより当該証明に係る有効な保安基準適合標章を表示しているときは、第五十八条第一項及び第六十六条第一項の規定は、当該自動車について適用しない。
(道路運送車両法 第九十四条の五第十一項)
外れるのは、どちらも「運行の用に供してはならない」で終わる条文です。
自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
(道路運送車両法 第五十八条第一項)
自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
(道路運送車両法 第六十六条第一項)
| 適用が外れる条文 | ふだん求めていること |
|---|---|
| 第五十八条第一項 | 有効な自動車検査証の交付を受けていること |
| 第六十六条第一項 | 自動車検査証を備え付け、検査標章を表示すること |
車検証がまだ戻っていないことも、シールが貼られていないことも、この2条が外れているあいだは問われません。
外れるための条件も、同じ十一項のなかにあります。第一項の規定による自動車検査員の証明を受けた自動車であること。その証明に係る有効な標章を表示していること。第一項が言う「証明」は、点検と整備を済ませたうえで出るものです。
指定自動車整備事業者は、自動車(検査対象外軽自動車及び小型特殊自動車を除く。)を国土交通省令で定める技術上の基準により点検し、当該自動車の保安基準に適合しなくなるおそれがある部分及び適合しない部分について必要な整備をした場合において、当該自動車が保安基準に適合する旨を自動車検査員が証明したときは、請求により、保安基準適合証及び保安基準適合標章(第十六条第一項の申請に基づく一時抹消登録を受けた自動車並びに第六十九条第四項の規定による自動車検査証返納証明書の交付を受けた検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車にあつては、保安基準適合証)を依頼者に交付しなければならない。
(道路運送車両法 第九十四条の五第一項)
点検し、必要な整備をし、保安基準に適合する旨を自動車検査員が証明した。ここまで済んだ車に交付される紙です。
車検が切れてても走れる紙、って読んじゃいそうになるんだよね
読めない。十一項が適用されるのは、第一項の証明を受けた車が、その証明に係る有効な標章を表示しているとき。証明が先にある
括弧書きで外れているのは、検査対象外軽自動車と小型特殊自動車です。検査対象外軽自動車が何を指すかは、施行規則 第三十五条の二で決まります(軽自動車に車検が無かった21年5か月)。
検査標章とは、貼る場所も期間も出す人も違う
どちらも車の前で見せる紙ですが、車検シール(検査標章)とは別物です。貼る場所も、期間も、交付する人も違います。
| 保安基準適合標章 | 検査標章(車検シール) | |
|---|---|---|
| 貼る場所 | 自動車の運行中その前面(施行規則 第三十七条の四) | 前面ガラスの内側(施行規則 第三十七条の三第一項) |
| 期間 | 検査をした日から15日間(指定自動車整備事業規則 第九条第一項) | 車検証の有効期間と同一(法 第六十六条第四項) |
| 交付する人 | 指定自動車整備事業者(法 第九十四条の五第一項) | 国土交通大臣(法 第六十六条第二項) |
施行規則が保安基準適合標章に触れているのは、この一文だけです。
保安基準適合標章は、自動車の運行中その前面に指定自動車整備事業規則(昭和三十七年運輸省令第四十九号)第二号様式又は第二号様式の二による有効期間及び自動車登録番号が見やすいように表示しなければならない。
(道路運送車両法施行規則 第三十七条の四)
検査標章のほうは「前面ガラスの内側に前方から見易いように貼り付ける」と、ガラスの内側まで指定されています。満了する時期の表示は、車外から見える面が年と月、車内から見える面が満了する日の年月日です。標章の条文は「その前面に」までで、貼り付けるとも書いていません。条件として置かれているのは、有効期間と自動車登録番号が見やすいことだけです。
じゃあ、貼る場所はどこまで決まってるの?
書いてあるのは、運行中その前面に、有効期間と自動車登録番号が見やすいように。そこが読めていれば条件は満たしている
条文に第二号様式と第二号様式の二が並んでいるのは、押印するかどうかで様式が分かれるためです。
法第九十四条の五第一項及び法第九十四条の五の二第一項の証明は、自動車検査員が保安基準適合証及び保安基準適合標章又は限定保安基準適合証に記名し、及び押印することにより行う。ただし、指定自動車整備事業者が保安基準適合証に記載すべき事項を電磁的方法により登録情報処理機関に提供したときは、保安基準適合標章に押印することを要しない。
(指定自動車整備事業規則 第七条第一項)
押印を要しない場合は第二号様式の二を使う、と第九条第二項が受けています。
標章を交付できるのは、地方運輸局長から指定自動車整備事業の指定を受けた事業者です(第九十四条の二第一項)。偽造の禁止のほうは、標章と検査標章の両方に同じようにかかります。第九十八条は、偽造と変造を第一項、紛らわしい外観を有する物の製造や使用を第二項、当該自動車以外の自動車への使用を第三項で禁じていて、三項とも自動車登録番号標や検査標章と並べて保安基準適合標章を挙げています。第三項に違反したときの罰則は、第百九条第一号の五十万円以下の罰金です。
保安基準適合証は窓口に出す紙、標章は車に貼る紙
第九十四条の五第一項が交付させているのは、保安基準適合証と保安基準適合標章です。名前が似ていますが、行き先が違います。一時抹消登録を受けた自動車などは、括弧書きで保安基準適合証だけになります。
証のほうは、継続検査のときに提出する紙です。
8 継続検査に際し、有効な保安基準適合証の提出があつた場合には、第六十二条の規定の適用については、当該自動車は、国土交通大臣に対する提示があり、かつ、保安基準に適合するものとみなす。
(道路運送車両法 第九十四条の五第八項)
第六十二条第一項は、継続検査を受けるとき当該自動車を提示することを求めている条文です。証を出せば、その提示があり、かつ保安基準に適合するものとみなされます。
標章のほうにこの働きはありません。標章が外すのは、十一項が名指しした第五十八条第一項と第六十六条第一項です。
同じ検査から2枚出て、行き先が違う。有効な標章を表示しているあいだは運行の禁止がかからない、証を出せば車の提示がいらない
点検から検査標章まで、順番は入れ替わらない
先に標章を貼って、点検をあとから、という順番にはなりません。 点検し、必要な整備をし、自動車検査員が検査して証明する。標章が出るのはそのあとです。
15日が始まるのは、その検査の日です。
| 何が起きるか | 条文 |
|---|---|
| 自動車検査員が検査し、保安基準に適合する旨を証明する。標章の有効期間はここから15日間 | 法 第九十四条の五第四項・第一項/指定自動車整備事業規則 第九条第一項 |
| 自動車検査証に有効期間が記録されて返付され、検査標章が交付される | 法 第六十二条第二項・第六十六条第二項第二号 |
車検証の返付や検査標章の交付が遅れても、標章の期限は動きません。起点は検査の日で、そのあとに何が起きても変わらないからです。
紙が手元に来たら、日数を自分で数えるより、その紙に書いてある有効期間を読むほうが早い。標章が貼られている車は、検査までは終わっていて、車検証の返付と検査標章の交付が残っている段階です。
制度の記述は執筆時点(2026年9月8日)の情報です。