BMW 1シリーズ|同じ521万円のガソリンとディーゼルは何が違う?

BMW 120 M Sport(F70型)スカイスクレイパー・グレーを斜め前方から見た外観
写真: Harvey Bold / Wikimedia Commons ( CC0 1.0 )
── この記事の結論を先に4コマで ──
左のシキが白紙を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔でクラを見ている。右のクラは白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をパーカーのポケットに入れて、眉を下げて口を開け、困った顔で話しかけている BMW 1シリーズ、同じ521万円ならガソリンとディーゼルのどっち?
左のシキが白紙を1枚両手で持ち、口を開けてクラに説明している。右のクラは白いマグカップを両手で持ち、目を丸くして口を開けている 120 M Sportは足まわり、120dはエンジンが120と違います
左のシキが白紙の束を片手で持ち、もう片方の手を下ろして、眉を寄せた真顔でいる。右のクラは白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をポケットに入れて、眉を下げ、汗をひとしずく浮かべて不安そうな顔をしている 120dに、M Sportのサスペンションは付けられないの?オプションでも付きません。付くのは541万円の120d M Sport
左のシキが白紙を両手で持ち、目を細めて微笑んでいる。右のクラは白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をパーカーのポケットに入れて、目を細めて口を開け、明るく笑っている 最初に決めるのは燃料。エンジンは納車後に替えられませんM Sportにするかどうかは、その次に考えるね

BMW 1シリーズの装備・価格表には、5,210,000円が2回出てきます。ガソリンの120 M Sportと、ディーゼルの120dです。日本仕様は6モデルあり、価格が同じになるのはこの2つだけです。

同じ金額でも、払ったお金で手に入るものは違います。120 M Sportは、500万円の120にアダプティブ M サスペンションと18インチのホイール、Mの内外装を加えたモデルです。120dは、120と同じ装備のまま、エンジンを直4 2.0Lのディーゼルに替えたモデルです。

「同じ値段なら、燃費のいいディーゼルのほうが得なのでは」と考えたくなるところです。120 M Sportのサスペンションと18インチ、120dのディーゼルエンジンのどちらが合うかは、ふだん走る道と距離で変わります。

480万円から729万円まで、6モデル

モデルエンジンメーカー希望小売価格(税込)
120 original直3 1.5L ガソリン+48V4,800,000円
120直3 1.5L ガソリン+48V5,000,000円
120 M Sport直3 1.5L ガソリン+48V5,210,000円
120d直4 2.0L ディーゼル+48V5,210,000円
120d M Sport直4 2.0L ディーゼル+48V5,410,000円
M135 xDrive直4 2.0L ガソリン7,290,000円

リサイクル料金は6モデルとも17,420円です。見積もりでモデルを替えても、この金額は変わりません。

表の並び順に隣どうしの価格差を見ると、20万円、21万円、0円、20万円、188万円です。装備・価格表で6モデルを横に並べると、同じ20万円でも、120 originalから120への20万円と、120dから120d M Sportへの20万円とでは、付くものがまったく違うことが分かります。

120 originalより20万円高い120には、シート・ヒーターと電動シートが標準で付く

120 originalから120に替えると、標準で付く装備が5つ増えます。

装備120 original120
電動シート(フロント、運転席メモリー機能付)設定なし標準装備
シート・ヒーティング(フロント)設定なし標準装備
オートマチック・テールゲート(フット・オープン/クローズ機能付)設定なし標準装備
スルーローディング・システム(40:20:40分割可倒式リヤ・シート)設定なし標準装備
タイヤ・リペア・キット設定なし標準装備

120 originalのこの5つは「設定なし」で、有償オプションでも無償オプションでもありません。120 originalでは、お金を出しても付かないという意味です。

冬の朝に前席を温めたいなら、シート・ヒーティングが要ります。スーパーの駐車場で両手に買い物袋を提げたまま荷室を開けたいなら、足の動きで開け閉めできるオートマチック・テールゲートが役に立ちます。スルーローディング・システムは後席の背もたれが3つに分かれて倒れるので、真ん中だけを倒して長い荷物を通し、左右には人が座れます。

見た目では、ホイールが17インチのままデザインが971から972に変わり、インテリア・トリムがダーク・シルバーからイルミネーテッド・アルミニウム・グラファイトになります。

有償オプションも、120 originalではどれも選べません。主なものを並べると、こうなります。

オプション価格(税込)120 original120
テクノロジー・パッケージ417,000円設定なし有償オプション
ハイライン・パッケージ285,000円設定なし有償オプション
パノラマ・ガラス・サンルーフ188,000円設定なし有償オプション
18インチ アロイ・ホイール Yスポーク974120,000円設定なし有償オプション
BMW Individual のボディ・カラー/スペシャル・ペイント165,000円〜524,000円設定なし有償オプション

テクノロジー・パッケージには、高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシストを含むドライビング・アシスト・プロフェッショナル、サラウンド・ビューとドライブ・レコーダーを含むパーキング・アシスト・プラス、ARビュー付のBMWライブ・コックピット・プロフェッショナル、BMWアイコニック・グロー、インテリア・カメラ、BMWヘッドアップ・ディスプレイの6点が入ります。ハイライン・パッケージには、シート表皮の選択とスポーツ・シート、サンプロテクション・ガラス、harman/kardonの12スピーカーが入ります。

ボディ・カラーは13色あり、120 originalで選べるのはそのうちアルピン・ホワイト、ブラック・サファイア、スカイスクレイパー・グレーの3色です。いずれも無償オプションで、メタリックのサンダーナイトもファイヤー・レッドも選べません。

480万円と500万円の差で手に入るのは、表の5つの標準装備と、テクノロジー・パッケージやサンルーフを注文できるようになることの両方です。運転支援は、120 originalにもドライビング・アシスト・プラスとパーキング・アシストが標準で付きます。見落とされやすいのは、ハンズ・オフ・アシストやサンルーフを「見積もりのときに考えればいい」と思っていても、120 originalではその見積もりの段階で選べないことのほうです。

クラ

シートヒーターも電動シートも要らない人なら、480万円の120 originalで困らないってこと?

シキ

表の5つの装備も、有償オプションも、3色以外のボディ・カラーも要らないなら、困りません

クラ

冬は朝早く出る日が多いから、シートヒーターは要るな

シキ

前席のシート・ヒーティングは、120 original以外の5モデルには標準で付きます。オプションで足す必要はありません

120より21万円高い120 M Sportは、サスペンションと18インチが違う

120から120 M Sportに替えても、エンジンは同じです。B38A15P型の直3・1,498ccで、最高出力は115kW〔156ps〕/5,000rpm、最大トルクは240N·m/1,500〜4,400rpmです。48Vモーターを合わせたシステム合計(BMW自社データ)の125kW〔170ps〕・280N·mも変わりません。

項目120120 M Sport
サスペンションダイナミック・ダンピング・コントロール+アダプティブ M サスペンション
ホイール7.5J×17(Yスポーク972)8J×18(M ライト・アロイ Yスポーク975M)
タイヤ205/55R17225/45R18
全高1,465mm1,450mm
トランスミッション7速DCT7速DCT(シフト・パドル付)
スポーツ・シート(フロント)ハイライン・パッケージ(285,000円)に同梱標準装備
シート表皮クロス・アルクタール・アンソラジットM アルカンタラ/ヴェガンザ・コンビネーション
インテリア・トリムイルミネーテッド・アルミニウム・グラファイトM イルミネーテッド・アルミニウム・ヘキサキューブ・マット

ダイナミック・ダンピング・コントロールは6モデルとも標準で、M Sportのモデルには、それに加えてアダプティブ M サスペンションが付きます。

タイヤのサイドウォールの高さは、205/55R17が約113mm、225/45R18が約101mmです。路面とホイールのあいだのゴムが12mm薄くなり、全高は15mm低くなります。

BMW 1シリーズ(F70型)の運転席まわり。湾曲した一体型ディスプレイとMスポーツ・ステアリング・ホイール
写真: Wikisympathisant — Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・縮小)
クラ

家の前の道、舗装の継ぎ目が多いんだよね。M Sportにしたら、段差のたびに突き上げが来る?

シキ

タイヤだけで比べれば、ゴムの厚みが12mm薄いぶん、段差の衝撃は伝わりやすくなります。ただ、M Sportにはアダプティブ M サスペンションも加わります。2つを合わせてどうなるかは、装備・価格表の数字からは言えません

クラ

そこは乗ってみないと分からないのか。120と120 M Sportを同じ日に借りて、家の前の道を走らせてもらえるか、販売店に聞いてみる

ホイールだけ大きくしたいなら、120には18インチのYスポーク974バイカラーが12万円で用意されています。この場合、サスペンションは120のままで、アダプティブ M サスペンションは付きません。

M Sportを選ぶと、さらに35万円のM スポーツ・パッケージ・プロが選べます。中身はM シートベルト、M スポーツ・ブレーキ(レッド・ハイグロス・キャリパー)、M ライト・シャドー・ライン、M リヤ・スポイラー、M ハイグロス・シャドー・ライン・エクステンド・コンテンツ、ブラック・ルーフ、19インチのM ライト・アロイ Yスポーク976Mの7点です。M Sportの2モデルでレッドのキャリパーと19インチが付くのは、このパッケージを選んだときだけです。

同じ521万円でも、120 M Sportは足まわり、120dはエンジンが120と違う

項目120 M Sport120d
エンジンB38A15P 直3 1,498cc ガソリンB47C20B 直4 1,995cc ディーゼル
最高出力115kW〔156ps〕/5,000rpm110kW〔149ps〕/4,000rpm
最大トルク240N·m/1,500〜4,400rpm360N·m/1,500〜2,500rpm
システム合計(自社データ)125kW〔170ps〕・280N·m120kW〔163ps〕・400N·m
WLTCモード燃費16.8km/L(無鉛プレミアムガソリン)21.2km/L(軽油)
車両重量1,460kg1,540kg
最終減速比3.789/4.2353.474/3.882
サスペンションアダプティブ M サスペンションダイナミック・ダンピング・コントロール
タイヤ/ホイール225/45R18/8J×18205/55R17/7.5J×17
全高1,450mm1,465mm
シート表皮M アルカンタラ/ヴェガンザクロス・アルクタール・アンソラジット

120dの装備を120と比べると、ホイールは17インチのYスポーク972、インテリア・トリムはイルミネーテッド・アルミニウム・グラファイト、シート表皮はクロス・アルクタール・アンソラジットで、3つとも同じです。120dは120 M Sportから装備を減らしたモデルではなく、120の装備のまま、エンジンがディーゼルに替わったモデルです。

エンジン単体の最大トルクは、120 M Sportの240N·mに対して120dは360N·mで、120N·m大きくなります。どちらも1,500rpmから最大トルクを出し、120 M Sportはそれが4,400rpmまで、120dは2,500rpmまで続きます。48Vを合わせたシステム合計では、280N·mと400N·mです。最高出力は、120dのほうが5kW小さくなります。高速道路の合流や上り坂で、エンジンの回転をあまり上げずに大きな力を出せるのは120dです。

車両重量は80kg増えて1,540kgになります。燃料タンクはどちらも49Lで、WLTCモードどおりに走れば、1回の給油で走れる距離はおよそ820kmと1,040kmです。給油の間隔が220kmほど延びます。

令和12年度燃費基準の80%達成車になっているのは、120dと120d M Sportの2モデルです。120 M Sportを含む120系の3モデルと、M135 xDriveには、この表示がありません。

クラ

月に何度か高速で実家に帰るんだけど、それなら給油の回数が減る120dで決まり?

シキ

給油の回数は減ります。ただ、燃料の単価は装備・価格表に載っていないので、燃料代がどれだけ変わるかまでは出せません。それに120dを選ぶと、アダプティブ M サスペンションは付きません。オプションでも選べません

クラ

見た目と足まわりはM Sportで、エンジンはディーゼル、っていうのはできないの?

シキ

120d M Sportがそれです。価格は541万円で、521万円の2モデルより20万円高くなります

X3ではガソリンの20 xDriveとディーゼルの20d xDriveが20万円差、3シリーズ セダンでは同じ2.0Lエンジンの318iと320iが46万円差で並びます。同じ価格でディーゼルかM Sportの足まわりかを選ぶことになるのは、この3車種のなかでは1シリーズだけです。

120dを120d M Sportにする20万円で付くものは、120を120 M Sportにする21万円とほぼ同じ

120dから120d M Sportへの20万円で付くのは、アダプティブ M サスペンション、8J×18のM ライト・アロイ975M、225/45R18のタイヤ、シフト・パドル、Mの内外装です。120から120 M Sportへの21万円で付くものと、ほぼ同じ内容です。

ハイライン・パッケージは、120と120d向けが28.5万円、M Sport向けが23.7万円です。M Sportではスポーツ・シートがすでに標準なので中身が1つ少なく、そのかわり選べるシート表皮が3種類から4種類に増えます。表皮のうちパーフォレーテッド・ヴェガンザは、表面に細かい通気孔が開いたタイプです。

120d M Sportより188万円高いM135 xDriveは、4輪駆動とM スポーツ・シート

BMW M135 xDrive(F70型)を斜め上から見た外観。ブラックのルーフとレッドのブレーキ・キャリパー
写真: Charles from Port Chester, New York — Wikimedia Commons(CC0)
項目M135 xDrive他の5モデル
エンジンB48A20H 直4 1,998cc ガソリン 221kW〔300ps〕/5,750rpm・400N·m/2,000〜4,500rpm直3 1.5Lガソリンまたは直4 2.0Lディーゼル
48Vハイブリッドなし15kW〔20ps〕・55N·m/0〜2,000rpmのモーターを搭載
駆動方式4輪駆動(xDrive)前輪駆動
最終減速比3.944/4.4383.789/4.235(120系)、3.474/3.882(120d系)
ラゲージ・ルーム容量380ℓ(後席折りたたみ時1,200ℓ)300ℓ(同1,135ℓ)
車両重量1,570kg1,460〜1,540kg
WLTCモード燃費12.5km/L16.8km/L(120系)、21.2km/L(120d系)
テクノロジー・パッケージ標準装備417,000円の有償オプション(120 originalは設定なし)

エンジン単体で300psを出す一方で、48Vハイブリッドは載りません。

M スポーツ・シート(フロント)と、運転席のランバー・サポート、サイ・サポート、サイド・サポート付シートバックが標準で付くのは、M135 xDriveだけです。他の5モデルでは、腰と腿と背中を個別に支えるこの4項目を、オプションでも選べません。

M スポーツ・ブレーキ(レッド・ハイグロス・キャリパー)も、M135 xDriveには標準で付きます。M Sportの2モデルでは、35万円のM スポーツ・パッケージ・プロを選ばないと付きません。さらにM135 xDriveだけのオプションとして、19インチのM ライト・アロイ977M(12万円)とM コンパウンド・ブレーキ(13.5万円)があります。

全長4,370mm・最小回転半径5.5mは6モデル共通

項目6モデル共通
全長×全幅4,370×1,800mm
ホイールベース2,670mm
トレッド(前/後)1,560/1,560mm
最低地上高155mm
最小回転半径5.5m
定員5名
サスペンション形式前:シングル・ジョイント・スプリング・ストラット式/後:マルチリンク式
トランスミッション電子油圧制御式7速DCT
ステアリングラック&ピニオン式、車速感応式パワー・ステアリング

駐車場での取り回しは、480万円の120 originalでも729万円のM135 xDriveでも同じです。最小回転半径5.5mも、全幅1,800mmも、6モデルで変わりません。全高だけは、M Sportの2モデルとM135 xDriveが1,450mmで、ほかの3モデルより15mm低くなります。

5シリーズ セダンでは、モデルを選ぶと駆動方式もトランク容量も一緒に決まります。1シリーズでは、駆動方式もラゲージ・ルーム容量も、ほかと違うのはM135 xDriveだけです。

クラ

冬にスキー場へ行くなら、4輪駆動のM135 xDriveのほうが安心?

シキ

最低地上高は155mmで、M135 xDriveも他の5モデルと同じです。4輪駆動にしても、床下と路面のあいだは広がりません

クラ

新雪の積もった駐車場で床下をこするかどうかは、どれを選んでも同じなのか。120d M Sportとの差額188万円のうち、どこまでが雪道のためのお金なんだろう

ガソリンかディーゼルかを先に決め、M Sportはその次に決める

最初に決めるのは燃料です。同じ521万円の2モデルで比べると、車両重量が80kg、エンジン単体の最大トルクが120N·m、WLTCモード燃費が4.4km/L違います。エンジンは納車後に載せ替えられません。

次がM Sportにするかどうかです。ここでアダプティブ M サスペンション、18インチ、225/45R18、全高1,450mmが一度に決まります。ホイールとタイヤは後から替えられますが、サスペンションは替えられません。

120 originalを検討しているなら、シート・ヒーターと電動シートが要るかどうかを、価格より先に確かめてください。120 originalでは、この2つも、テクノロジー・パッケージも、サンルーフも、注文するときに選べません。

実際に乗っている人の評価は、みんカラのBMW 1シリーズ ハッチバックのレビューで読めます。

※価格・装備は執筆時点の情報です。本記事はBMW公式の装備・価格表(2026年7月以降生産車両。諸元は2026年5月27日現在)にもとづきます。装備・価格表は生産月ごとに改定されるため、契約する月によって同じ仕様でも内容が変わることがあります。