エクストレイル vs CX-5|同じ電動化で駆動の仕組みは何が違う?
ミドルSUVで並べて検討されることが多いのが、日産エクストレイルとマツダCX-5です。全長は4,690mmで完全に同じ、全幅の差は20mm。車格はほぼ変わりません(同クラスのハリアー vs RAV4もあわせてどうぞ)。
違うのはタイヤの回し方です。エクストレイルはモーターだけが駆動し、CX-5はエンジンが駆動してモーターが補助します。 同じ「電動化」という言葉で、駆動の仕組みは別物です。
トルクは330N·mと60.5N·m、5倍以上の開きがある
モーターの最大トルクは330N·mと60.5N·m。5分の1以下の開きがあり、これが発進の仕方と市街地燃費の両方に出ます。
3列シート(7人乗り)、防水シート、フロントドアまで及ぶ遮音ガラス。あとから足せないこの3つは、いずれもエクストレイル側にしかありません。
そのかわり車両価格では、CX-5のSがエクストレイルの最安グレードより約54万円安く、そのSが履くタイヤは両車でもっとも厚い設定です。安いほうが乗り心地で有利になるのは、この並びだけです。
e-POWERとM Hybridは、どこまで別物なのか
エクストレイルのエンジンは、走るのに使わないのですか
発電だけに使います。KR15DDTは公式表記が「発電専用」で、タイヤを回すのはモーターだけです。フロントモーターの最高出力150kW(204PS)は、エンジンの106kW(144PS)を上回ります。4WD(e-4ORCE)だとリヤにもモーターが追加され、前後合計で駆動力を分配する仕組みです。
CX-5の「M Hybrid」では足りないのですか
役割が違います。モーター最高出力は4kW(6.5PS)、最大トルクは60.5N·m。発進補助とアイドリングストップからの再始動用という位置づけで、駆動を担う構成ではありません。走らせるのはエンジンで、その最大トルク237N·mは3,800〜4,000rpmで発生します。
ホイールベースが短いのに、なぜ全高は高いのですか
ホイールベースはCX-5が110mm長い2,815mm、全高はエクストレイルが25mm高い1,720mmです。ホイールベースが短いぶん、最小回転半径はエクストレイルの5.4mがCX-5の5.6mを下回ります。室内幅はCX-5が52mm広い1,592mm、最低地上高もCX-5が高く、205mmです。
買取相場に差はありますか
カーセンサーの買取相場(2026年7月更新)は、エクストレイルが20.1万円〜322.0万円、CX-5が23.9万円〜252.8万円です。上限額はエクストレイルがやや高く、下限額はCX-5がやや高い。ページの「(71件)」「(75件)」は査定満足度の評価件数で、相場の集計台数ではありません。両車とも複数世代が中古市場に流通しているため、年式の幅がレンジに影響している可能性があります。
寸法・動力・価格と、この記事が見ている範囲
| 項目 | エクストレイル(T33) | CX-5(KF系) |
|---|---|---|
| 全長 | 4,690mm | 4,690mm |
| 全幅 | 1,840mm | 1,860mm |
| 全高 | 1,720mm | 1,695mm |
| ホイールベース | 2,705mm | 2,815mm |
| 室内幅 | 1,540mm | 1,592mm |
| 最低地上高 | 185〜200mm | 205mm |
| 乗車定員 | 5名/7名(3列シート車あり) | 5名 |
| 最小回転半径 | 5.4m | 5.6m |
| 車両重量 | 1,740〜1,900kg | 1,640〜1,770kg |
| 項目 | エクストレイル e-POWER | CX-5(ハイブリッド系) |
|---|---|---|
| エンジン型式 | KR15DDT(発電専用) | PY-VPH型 |
| エンジン総排気量 | 1.497L 直列3気筒 | 2.488L 直列4気筒 |
| エンジン最高出力 | 106kW(144PS)/4,400-5,000 | 131kW(178PS)/6,000-6,200 |
| フロントモーター最高出力 | 150kW(204PS) | 4kW(6.5PS)/1,000 |
| フロントモーター最大トルク | 330N·m(33.7kgf·m)/0-3,505 | 60.5N·m(6.2kgf·m)/100 |
| リヤモーター(4WD) | 100kW(136PS)/195N·m | なし |
| WLTC燃費(2WD) | 19.4km/L | 15.2km/L |
| 市街地モード | 17.9km/L | 11.7km/L |
| 高速道路モード | 19.1km/L | 17.2km/L |
| 車種 | 価格(税込) |
|---|---|
| エクストレイル | 3,843,400円〜 |
| CX-5 S(2WD/4WD) | 3,300,000円/3,536,500円 |
| CX-5 G(2WD/4WD) | 3,520,000円/3,756,500円 |
| CX-5 L(2WD/4WD) | 4,070,000円/4,306,500円 |
数値は日産「エクストレイル 主要諸元・主要装備」(2025年11月版)とマツダ「CX-5 Specifications」(2026年5月現在)、価格は両社の公式価格ページ、買取相場はカーセンサー(2026年7月更新)によります。エクストレイルはグレード別(S/X/G、2列・3列、e-4ORCE有無)の価格一覧が公式サイト上に一括では掲載されていないため、もっとも安いグレードの価格だけを記載しています。個別の価格は販売会社にご確認ください。価格・仕様は改良で変わるため、購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。買取相場は掲載物件からの集計値で、実際の査定額は状態・走行距離・時期・業者・地域で変わります。
エクストレイル|330N·mが0rpmから。市街地で6km/L以上の差
信号の多い街を毎日走るなら、エクストレイルです。 フロントモーターは330N·mを0〜3,505rpmという回転域で出します。回転数に関係なく、発進直後から最大トルクが出る特性です。4WD車ならリヤモーターの195N·mも加わります。
その構成が燃費にそのまま出ます。市街地モードで17.9km/L対11.7km/L、6km/L以上の開きです。e-POWERは低速域でエンジンを止めたまま走れる場面が多い構成なので、信号の多い市街地ほど有利になります。一定速度が続く高速道路モードでは19.1km/L対17.2km/Lまで差が縮まり、ここでは車格なりの数字に落ち着きます。
あとから足せない装備も、エクストレイルに3つあります。
7人乗りの設定はCX-5にありません。 3列目をたまにでも使うなら、この時点で決まります。
防水シート(セルクロス)の設定も、CX-5の装備表に該当する記載がありません。 エクストレイルではX系3タイプにメーカーオプション、ROCK CREEKの2タイプは専用デザインを標準装備。濡れた道具や泥のついた荷物を積むなら、選べるのはエクストレイルだけになります。
遮音ガラスは両車とも全車標準ですが、範囲が違います。 エクストレイルはフロントガラスに加えてフロントドアのガラスにも適用され、CX-5はフロントガラスのみ。走行中に横から入る音の聞こえ方に関わる部分です。
運転席の調整機構も充実しています。9タイプ中7タイプでパワーシートが標準で、スライド・リクライニング・リフターに加えてサイサポート(座面前端の角度調整)まで含みます。運転席電動ランバーサポートは全車標準です。
いちばん安いグレードでも約384万円で、CX-5のSより約54万円高くつきます。車両重量も1,740〜1,900kgと、CX-5より100〜150kg重い設定です。3列シート車や4WD車を含むぶん、レンジも広くなっています。
セカンドシート左右席のヒーターはGと4WD全車で標準ですが、2WDのXだけはホットプラスパッケージ扱いで、メーカーオプションとしてステアリングヒーターとセットで選ぶ形になります。2WDのSには設定がありません。
CX-5|Sグレードが、いちばん厚いタイヤを履きます
高速と郊外が中心で車両価格を抑えたいなら、CX-5のSです。約330万円で、エクストレイルの最安グレードより約54万円安く買えます。
そのうえで、このSが履く225/65R17は両車でもっともサイドウォールが厚い設定です。
| タイヤ | 装着グレード | サイドウォール高さ |
|---|---|---|
| 225/65R17 | CX-5 S | 146.3mm |
| 235/60R18 | エクストレイル | 141.0mm |
| 235/55R19 | エクストレイル | 129.3mm |
| 225/55R19 | CX-5 G・L | 123.8mm |
シート素材の選択肢も、グレードごとにきれいに段階が付きます。Sがクロス、Gが合成皮革レガーヌ、Lがレザー。エクストレイル側はファブリックとテーラーフィットが標準で、ナッパレザー(抗菌仕様)はG系2タイプのオプション扱いです。本革が標準で入るのは、両車あわせてCX-5のLだけです。
| 項目 | エクストレイル | CX-5 |
|---|---|---|
| シート材質(標準) | ファブリック | クロス(S) |
| シート材質(中間) | テーラーフィット | 合成皮革レガーヌ(G) |
| シート材質(上級) | ナッパレザー(抗菌仕様)をオプション設定 | レザー(L標準) |
| 防水シート | セルクロス(X系3タイプにメーカーオプション)。ROCK CREEK 2タイプは専用デザインを標準装備 | 記載なし |
| 運転席パワーシート | 9タイプ中7タイプに標準(スライド・リクライニング・リフター・サイサポート)。残る2タイプは運転席シートリフターのみ | Sはリフターのみ。G以上が10Wayパワー+メモリー |
| 助手席パワーシート | S系は設定なし、X系はメーカーオプション、G系は標準、ROCK CREEKは特別装備 | Gはオプション、Lは標準(6Way) |
| 運転席電動ランバーサポート | 全グレード標準 | 記載なし |
| 前席シートヒーター | 全車標準 | 全車標準 |
| 後席シートヒーター | G・4WD全車に標準。2WDのXはホットプラスパッケージ(メーカーオプション)、2WDのSは設定なし | Gはオプション、Lは標準 |
| ステアリングヒーター | 後席ヒーターと同条件(ホットプラスパッケージは両者のセット) | G・Lに標準(Sは設定なし) |
| 前席シートベンチレーション | 記載なし | Lに標準 |
| チルト&テレスコピック | 全車標準 | 全車標準 |
ただし、その安いSには運転席のパワーシートもステアリングヒーターも付きません。 座面の高さはラチェットレバー式のリフターで合わせることになります。運転姿勢と冬の装備を取るなら、10Wayパワーシートが付くG以上まで上がり、価格は約352万円からになります。
市街地モード11.7km/Lという数字は、走る距離が長いほど車両価格の54万円差を燃料代で埋め戻していきます。
足まわりは、後ろがどちらもマルチリンク
サスペンションは、後ろがどちらもマルチリンクです。公式表記はエクストレイルが前「独立懸架ストラット式」・後「独立懸架マルチリンク式」、CX-5が前「マクファーソン式」・後「マルチリンク式」。左右輪が独立して動く形式で、悪路や旋回時の追従性に優れる傾向があります。
前席シートヒーターとチルト&テレスコピックは、両車とも全車標準です。
3列目を使うかどうかから決めると早い
- 3列目を使うか、濡れた道具を積むか。 どちらかに当てはまれば、エクストレイルで決まります。7人乗りも防水シートも、CX-5には設定がありません。
- 1年の走り方を市街地と高速で分ける。 市街地が中心なら17.9km/L対11.7km/Lの差が出るので、車両価格の54万円は燃料代で少しずつ戻ってきます。高速と郊外が中心なら19.1km/L対17.2km/Lまで縮むので、価格差がそのまま残ります。
- CX-5に決めたら、Sの運転席に座って確かめる。 Sは運転席が手動リフターのみで、ステアリングヒーターの設定もありません。ここで引っかかるとG以上になり、価格差は約32万円まで縮みます。