ヴェゼル vs CX-30|小回りが利くのはどちらか?

左がホンダ ヴェゼル e:HEV Z(6AA-RV5)、右がマツダ CX-30 20S L Package(5BA-DMEP)の前方からの外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・2枚を左右に並置し縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
右のクラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手を頬に当てて、口を開けてシキに相談している。左のシキは白紙を胸に抱え、穏やかな表情でクラのほうを向いて聞いている ヴェゼルとCX-30、小回りが利くのはどっち?
左のシキが片手に白紙の束を持ち、もう片方の手で白紙を1枚クラのほうへ差し出しながら話している。右のクラはマグカップを両手で持ち、目を丸くしてその紙を見ている CX-30は全車5.3m。ヴェゼルは18インチの3タイプが5.5m
右のクラがマグカップを両手で包むように持ち、眉を下げて汗をかきながら、口を開けて質問している。左のシキは白紙を片手に持ち、もう片方の手の人差し指を立てて答えている 16インチのe:HEV Xなら、冬のシートヒーターは?4WDだけ。HuNTパッケージも同じで、2WDには付かない
左のシキが白紙を両手で持ち、口を開けて笑いながら話している。右のクラはマグカップを片手に持ち、もう片方の手をあごに当てて、にっこり笑って考えている 最初に決めるのは、運転席をパワーシートにしたいかどうかしたいならCX-30の25系。駐車場と冬の装備はそのあとだね

ホンダ ヴェゼルとマツダ CX-30は、外寸がほとんど重なる2台です。全長の差は55mm、全幅の差は5mmで、外側の大きさを見比べても決め手は出てきません。

「ヴェゼルのほうが少し短いから、小回りも利くはず」と考えたくなるところですが、そうとは言い切れません。ヴェゼルは18インチのタイヤを履く上級の3タイプで最小回転半径が5.5mになり、全グレード5.3mのCX-30より0.2m大きく回ります。

街乗りと通勤が中心で燃費を重く見るなら、ヴェゼルのe:HEVです。運転席をパワーシートで合わせたいなら、CX-30の25Lか25 Air Editionになります。ヴェゼルを選ぶ場合は、タイヤの大きさと駆動方式の組み合わせによって、小回りと冬の装備の付き方が変わります。

外寸はほぼ重なり、最小回転半径はヴェゼルの中で分かれる

項目ヴェゼル(全6タイプ)CX-30(20C〜25 Air Edition)
全長4,340mm(e:HEV RSのみ4,385mm)4,395mm
全幅1,790mm1,795mm
全高1,580mm(X・G)/1,590mm(Z)/1,545mm(RS)1,540mm
ホイールベース2,610mm2,655mm
最低地上高165〜195mm175mm
最小回転半径5.3m(X・HuNT・G)/5.5m(Z・PLaY・RS)5.3m(全グレード・2WD/4WD共通)
タイヤ215/60R16(X・HuNT・G)/225/50R18(Z・PLaY・RS)215/65R16(20C・20S)/215/55R18(20G以上)
WLTC燃費(2WD最良)26.0km/L(e:HEV X FF)16.2km/L(20C・20S・20G・20 Air Edition)

最小回転半径が2つの値に分かれるのは、ヴェゼルのほうです。215/60R16を履くe:HEV X・e:HEV X・HuNTパッケージ・Gが5.3m、225/50R18を履くe:HEV Z・e:HEV Z・PLaYパッケージ・e:HEV RSが5.5mです。

CX-30はホイールベースがヴェゼルより45mm長いものの、20Cから25 Air Editionまで、2WDでも4WDでも5.3mです。ホイールベースの長さと最小回転半径の並びが逆になる組み合わせは、カローラクロスとヤリスクロスの比較にも出てきます。

自宅の駐車場が狭く、出し入れのたびに切り返しているなら、ヴェゼルの上級タイプを選ぶ前に、この0.2mを頭に置いておきたいところです。

クラ

0.2mって、駐車場で切り返しが1回増えるくらいの差?

シキ

そこまでは諸元表から出ない。手がかりになるのは、いま乗っている車の最小回転半径。自宅の駐車場で出し入れしている、その数字と並べる

全高はCX-30が1,540mmで、マツダの諸元表はボディタイプを「ステーションワゴン」としています。ヴェゼルはe:HEV X・Gが1,580mm、e:HEV Zが1,590mmで、e:HEV RSだけが1,545mmとCX-30に近い高さです。

同じハイブリッドでも、モーターの大きさがまるで違う

項目ヴェゼル e:HEVCX-30 M Hybrid(全グレード)
エンジン型式LECPE-VPS型/PY-VPH型
エンジン総排気量1.496L1.997L/2.488L
エンジン最高出力78kW(106PS)/6,000〜6,400115kW(156PS)/6,000〜132kW(179PS)/6,000
エンジン最大トルク127N·m(13.0kgf·m)/4,500〜5,000199N·m(20.3kgf·m)/4,000〜238N·m(24.3kgf·m)/3,750-4,000
モーター型式H5MJ型(2.0)/MK型(2.5)
モーター最高出力96kW(131PS)/4,000〜8,0005kW(6.8PS)/1,800(2.0)/4kW(5.4PS)/1,000(2.5)
モーター最大トルク253N·m(25.8kgf·m)/0〜3,50048.5N·m(4.9kgf·m)/100(2.0)/60.5N·m(6.2kgf·m)/100(2.5)

ヴェゼルのe:HEVは、モーターの最高出力96kW(131PS)がエンジンの78kW(106PS)を上回ります。モーターの最大トルク253N·mは0〜3,500rpmの範囲で出るので、信号待ちから発進した直後に、アクセルを深く踏み込まなくても済む構成です。

CX-30は2.0も2.5も「M Hybrid」ですが、モーターの最高出力は2.0で5kW(6.8PS)、2.5で4kW(5.4PS)、最大トルクは48.5〜60.5N·mです。ヴェゼルの253N·mと比べると4分の1から5分の1の大きさで、同じ「ハイブリッド」という言葉でも、モーターが受け持つ役割の大きさが違うと読めます。

WLTC燃費は、ヴェゼルのe:HEV X(FF)が26.0km/L、CX-30の20系が16.2km/Lです。毎日の通勤で距離を重ねる使い方ほど、この差が給油の回数と燃料代に出てきます。

見落とされやすいのは、ヴェゼルにガソリン車の「G」があることです。こちらのWLTC燃費は15.0km/Lで、CX-30の2.5L系(2WDで15.5km/L、4WDで14.5km/L)と近い数字です。ヴェゼルの燃費の良さは、e:HEVを選んだときの話になります。

ヴェゼルは運転席が全タイプ手動調整で、16インチのe:HEVはシートヒーターが4WDだけ

運転席のパワーシートは最上位のe:HEV RSにもなく、全タイプが運転席ハイトアジャスターによる手動の調整です。運転する人が替わるたびに、座面の高さを手で合わせ直すことになります。

ヴェゼルのグレード駆動価格(税込)
G4WD2,758,800円
e:HEV XFF/4WD2,998,600円/3,218,600円
e:HEV X・HuNTパッケージFF/4WD3,108,600円/3,328,600円
e:HEV ZFF/4WD3,268,100円/3,488,100円
e:HEV Z・PLaYパッケージFF/4WD3,699,300円/3,919,300円
e:HEV RSFF/4WD3,748,800円/3,968,800円

前席シートヒーターはe:HEV Z・e:HEV Z・PLaYパッケージ・e:HEV RS・Gに標準で付きますが、e:HEV Xとe:HEV X・HuNTパッケージでは4WD車だけです。ステアリングヒーターとリアベンチレーション(後席への送風)は、Z・PLaY・RSの3タイプにしか付きません。

フロントウインドウガラスは、e:HEV系の5タイプすべてが「遮音機能付」で、付かないのはガソリンのGだけです。

「駐車場が狭いから16インチにしたい。でも冬の朝はシートヒーターも欲しい」と考えている場合は、ここで2つの条件が重なります。16インチで5.3mのまま前席シートヒーターが付くのは、e:HEV Xとe:HEV X・HuNTパッケージの4WD、それにガソリンのGです。2WDのe:HEV Xを選ぶと、シートヒーターは付きません。

クラ

Gなら16インチでシートヒーターも付くけど、ガソリン車だから燃費は15.0km/Lなんだよね

シキ

e:HEV Xの4WDでも両方そろう。遮音機能付のガラスが付くのも、Gではなくこっち

クラ

そのぶん価格はGより上がる。冬の装備と燃費にどこまで出すか、で決まるね

CX-30のパワーシートとステアリングヒーターは25系に限られ、いちばん厚いタイヤは20Cと20Sが履く

CX-30の25Lと25 Air Editionの10Wayパワーシートには、シート位置などを記憶させておくドライビングポジションメモリー機能が付き、夫婦で交代しながら運転するときに役に立ちます。前席のシートベンチレーションも、この2グレードに付きます。価格は341万円からです。

項目ヴェゼルCX-30
運転席パワーシート設定なし(全タイプ ハイトアジャスター)10Wayパワーシート+メモリー機能(25L・25 Air Edition)
運転席シートリフターハイトアジャスター(全タイプ標準)ラチェットレバー式(20系グレード)
助手席シートリフター記載なしラチェットレバー式(20S以上)
前席シートヒーターe:HEV Z・PLaY・e:HEV RS・Gは標準。e:HEV XとHuNTは4WD車のみ20 Air Edition以上。20C・20S・20Gは非装備
前席シートベンチレーション設定なし(後席送風の「リアベンチレーション」はZ・PLaY・RSに標準)25L・25 Air Editionに標準
ステアリングヒーターZ・PLaY・RSのみ25系グレードのみ
テレスコピック&チルト全タイプ標準全車標準
シート表皮(標準)ファブリッククロス
シート表皮(上級)プライムスムース×ファブリック/プライムスムース×ラックス スェード×ファブリック合成皮革/クロス(20 Air Edition)、合成皮革/レガーヌ®(25 Air Edition)、スムースレザー=本革(25L)
撥水・撥油加工FABTECT(HuNTパッケージに標準)防汚撥水加工(20 Air Edition・25 Air Editionのみ。合成皮革を使用している一部箇所は防汚加工・防水機能)

前席シートヒーターは20 Air Edition以上で、20C・20S・20Gには付きません。ステアリングヒーターは25系だけです。防汚撥水加工も20 Air Editionと25 Air Editionの2グレードに限られ、合成皮革を使っている一部の箇所は防汚加工・防水機能という扱いです。

最上級の25Lはスムースレザーで、背もたれ前面・サイドサポート内側・座面に本革を使います。シートに本革が入るのは、両車あわせてこの1グレードだけです。

CX-30のグレード駆動価格(税込)
20C2WD2,640,000円
20S2WD2,734,600円
20G2WD2,970,000円
20 Air Edition2WD3,190,000円
25L2WD/4WD3,410,000円/3,646,500円
25 Air Edition2WD/4WD3,520,000円/3,756,500円

では、CX-30の安いグレードを選ぶ理由はどこにあるのでしょうか。1つは、サイドウォール(タイヤ側面のゴムの部分)がいちばん厚いタイヤを履いていることです。

タイヤ装着グレードサイドウォール高さ
215/65R16CX-30 20C・20S139.8mm
215/60R16ヴェゼル e:HEV X・HuNT・G129.0mm
215/55R18CX-30 20G以上118.3mm
225/50R18ヴェゼル Z・PLaY・RS112.5mm

20Cと20Sが履く215/65R16は、この2車でもっともサイドウォールが厚い設定です。ゴムに厚みがあるぶん、路面の継ぎ目や段差を越えたときの衝撃が伝わりにくい構成で、乗り心地を優先すると264万円の20Cが候補に残るという、珍しい並びになります。

クラ

でも20Cって、シートヒーターもステアリングヒーターも付かないんでしょ。冬の朝に乗る車だと迷うな

シキ

付かない。パワーシートもない。段差の当たりを取るか、冬の装備を取るかになる

クラ

雪の少ない地域なら、20Cを選ぶ理由になるのかな

リヤサスペンションが駆動方式で変わるのはヴェゼルだけで、価格帯は重なる

車両重量はヴェゼルのe:HEV XがFF1,350kg・4WD1,430kgで、CX-30は20系(20C〜20 Air Edition)が一律1,420kg、25系が2WD1,470kg・4WD1,530kgです。2車のなかでいちばん重いのは、CX-30の25系の4WDです。

サスペンションは両車とも前がマクファーソン式で、違いは後ろにあります。ヴェゼルはFF車が車軸式、4WD車がド・ディオン式で、CX-30は2WDも4WDもトーションビーム式です。

CX-30のフロントガラスについて、マツダの主要装備表は「フロントガラスは合わせガラスの採用により、UVカット機能を持たせています」と注記していて、ヴェゼルe:HEVのような「遮音機能付」の表示はありません。

いちばん安いのはCX-30の20Cで約264万円、ヴェゼルのG(約276万円)との差は約12万円です。上級グレード同士(e:HEV RS 4WDと25 Air Edition 4WD)でも差は約21万円で、2社の見積もりを並べても、価格だけで片方を外すほどの開きではありません。

将来手放すときの参考になるのが、カーセンサーの買取相場です。2026年8月更新の時点で、ヴェゼルが40.9万円〜310.2万円、CX-30が95.4万円〜158.5万円でした。ヴェゼルの相場には初代(2013年〜)と2代目(2021年〜)の両方が入っていて、CX-30は2019年発売の1世代です。同じ年式・同じグレードで比べた数字ではありません。

パワーシート、走行距離、駐車場と冬の装備の順に確かめる

  1. 最初に、運転席をパワーシートで合わせたいかを決めます。合わせたいなら、この時点でCX-30の25Lか25 Air Editionに決まります。ヴェゼルには設定のあるタイプがないので、ここがいちばん先です。
  2. 次に、年間の走行距離を見ます。距離が伸びるほど、ヴェゼルe:HEVの26.0km/LとCX-30の16.2km/Lの差が燃料代に出ます。燃費を取るなら、ヴェゼルのe:HEV系です。
  3. 最後に、駐車場の切り返しと冬の装備を突き合わせます。ヴェゼルで5.3mを取るなら16インチのタイプで、前席シートヒーターも欲しいなら、その中の4WD車(Gは4WDのみ)になります。18インチのZから上なら2WDでも付く代わりに5.5mです。CX-30なら、どのグレードでも5.3mのままです。

数値はホンダ「ヴェゼル 主要諸元」「ヴェゼル 主要装備」とマツダ「CX-30 Specifications」(いずれも2026年執筆時点)、価格は両社の公式価格ページ、買取相場はカーセンサー(2026年8月更新)によります。価格・仕様は改良で変わるため、購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。買取相場は掲載物件からの集計値で、実際の査定額は状態・走行距離・時期・業者・地域で変わります。