N-VAN vs アトレー|車中泊で伸びて寝られるのはどちら?

左がホンダ N-VAN L(5BD-JJ1)、右がダイハツ アトレー RS 2WD(3BA-S700V-ZBXZ)の外観
写真: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons ( CC BY-SA 4.0 ・2枚を左右に並置し縮小)
── この記事の結論を先に4コマで ──
クラが白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をパーカーのポケットに入れて、口を開けてシキに問いかけている。シキは白紙の書類の束を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔でクラを見ている N-VANとアトレー、車中泊ならどっち?
シキが白紙を1枚、胸の前で持って指で示しながら、口元をゆるめて説明している。クラは白いマグカップを両手で持ち、目を丸くして口を開けている 荷室高はN-VANが155mm高く、荷室長はアトレーが310mm長いです
クラが白いマグカップを両手で持ち、眉を下げて不安そうな顔でシキに問いかけている。シキは白紙の書類の束を両手で胸の前に持ち、眉を寄せた真顔で答えている 両方はそろわないんだ項目によって大きいほうの車が違います
シキが白紙を片手で持ち、目を細めて微笑んでいる。クラは白いマグカップを片手に持ち、もう片方の手をポケットに入れて、口を開けて明るく笑っている N-VANの1,510mmは、そのまま寝られる長さではありません座れる高さか、寝られる長さかだね

軽バンで車中泊を考えると、エブリイとハイゼットカーゴのほかに、ホンダ N-VAN とダイハツ アトレーが候補に挙がります。どちらも4ナンバーの軽貨物です。

荷室の作り方が違います。N-VANは高さ、アトレーは前後の長さ。車内で座って過ごす時間が長いならN-VAN、そのまま伸びて寝たいならアトレーです。

「同じ軽バンなんだから、そんなに変わらないでしょう」。カタログの外寸だけを眺めていると、そう思えます。全長も全幅も同じ数字が並ぶためです。

荷室高はN-VANが155mm高く、荷室長はアトレーが310mm長い

軽バンで寝られるかどうかを決める数字は、荷室高と荷室長の2つです。この2つの差は155mmと310mmで、しかも項目によって大きいほうの車が違います。高いのはN-VAN、長いのはアトレーです。

全長3,395mm・全幅1,475mmは軽規格の上限なので、2台とも同じ数字が並びます。最大積載量も350kgで同じです。ここを見比べても差にならないので、買ったあとの使い勝手と出費に関わる数字を3つ取り上げます。最小回転半径、WLTC燃費、車両価格です。

クラ

高さと長さ、両方あるほうを選べば済む話じゃないの

シキ

その組み合わせがありません。荷室高1,370mmはN-VAN、荷室長1,820mmはアトレーです

クラ

どっちも欲しいときは?

シキ

どちらをあきらめるかを決めることになります。両方そろう1台は、この2台の中にありません

N-VANの公表値1,510mmは、寝られる長さではありません

アトレーの荷室長は、公表値がそのまま寝られる長さになります。2名乗車時で1,820mmです。

見落とされやすいのは、N-VANのほうです。公表値は左1,510mm・右1,330mmという左右非対称で、これは助手席を畳んだ状態を含まない数値のようです。助手席まで使ったときの最大長は、諸元表に載っていません。前後方向に寝られるかどうかは、実車で測るところからになります。

クラ

1,510mmって、大人の身長より長いよね。それでも足りないの

シキ

伸びて寝るには1,800mm前後が要ります。公表値の1,510mmでは足りません

クラ

じゃあ販売店では、どこにメジャーを当てればいいんだろう

シキ

助手席を前に倒した状態で、床の前後の長さです。カタログに数字がないので、実車で測るしかありません

クラ

見に行く日は、メジャーを持っていく前提だね

4名乗車のままでは、2台とも寝られません

後席を使う前提だと、荷室長はN-VANが785mm、アトレーが1,005mmです。どちらも大人が横になれる長さではありません。荷室で寝るなら、後席を畳むことが前提になります。

荷室長が左右で違うのは、助手席が床下に入るからです

N-VANは、助手席を前に倒して床下に格納する「ダイブダウン」構造を持っています。そのため助手席側(左)が1,510mmと長く、運転席側(右)は1,330mmです。センタータンクレイアウトにより、床は低くフラットに保たれています。

駆動方式はN-VANがFF、アトレーがFR

N-VANが前輪駆動(FF)、アトレーが後輪駆動(FR)です。荷物を積んだときに後輪が駆動輪かどうかで、荷物を積んだときの後輪の荷重が駆動力につながるかどうかが変わります。積載時の挙動に関わる違いです。サスペンションは、N-VANが前マクファーソン式・後車軸式(4WDはド・ディオン式)、アトレーが前マクファーソン・ストラット式・後トレーリングリンク車軸式。どちらもコイルスプリングを使います。

全高が高いのはN-VAN、その差55mm

項目N-VANアトレー
全長3,395mm3,395mm
全幅1,475mm1,475mm
全高1,945mm(FF)/1,960mm(4WD)1,890mm
ホイールベース2,520mm2,450mm
荷室長左1,510mm/右1,330mm(4名時785mm)1,820mm(4名時1,005mm)
荷室幅1,235mm(4名時1,390mm)1,265mm(4名時1,410mm)
荷室高1,370mm1,215mm
最低地上高150〜155mm160mm
最大積載量350kg(4名時200kg)350kg(4名時250kg)
最小回転半径4.6m(FF)/4.7m(4WD)4.2m
項目N-VAN(NA)N-VAN(ターボ)アトレー(ターボのみ)
エンジン型式S07BS07BKF型
総排気量0.658L0.658L0.658L
圧縮比12.09.89.0
最高出力39kW(53PS)/6,80047kW(64PS)/6,00047kW(64PS)/5,700
最大トルク64N·m(6.5kgf·m)/4,800104N·m(10.6kgf·m)/2,60091N·m(9.3kgf·m)/2,800
駆動方式FFFFFR
WLTC燃費(2WD)18.8km/L(CVT)18.2km/L14.7km/L

数値はホンダ「N-VAN 主要諸元」とダイハツ「アトレー 主要諸元表」(いずれも2026年執筆時点)、価格は両社の公式価格ページによります。価格・仕様は改良で変わるため、購入前には販売店で最新の資料をご確認ください。

N-VAN|荷室高1,370mm。車内で座る姿勢が変わります

車内で過ごす時間が長いなら、N-VANです。 荷室高は1,370mmで、アトレーの1,215mmより155mm高い数字です。あぐらをかいて背筋を伸ばせる程度の高さがあります。アトレーだと、身長にもよりますが頭が天井に近くなります。着替え、調理、雨の日に車内でやり過ごす時間。この155mmで、車内で取れる姿勢が変わります。

全高は1,945mm対1,890mmで、差は55mmです。それに対して荷室高の差は155mm。外から見た大きさの差より、中の高さの差のほうが大きくなっています。

クラ

外は55mm差なのに、中で155mm違うのが不思議なんだけど

シキ

外寸の差が、そのまま中の差になるとは限りません。N-VANの荷室高は1,370mmあります

クラ

展示車を外から眺めているだけじゃ決まらないってことか。中に座ってみないと

走りと燃費の数字も見ておきます。N-VANのターボは最大トルク104N·mを2,600rpmで出し、アトレーは91N·mを2,800rpmで出します。N-VANのほうが最大トルクが大きく、しかもそれが出る回転数が低い組み合わせです。荷物を積んで発進する場面や坂を上がる場面で、回転を上げずに済む構成といえます。WLTC燃費はターボ同士で18.2km/L対14.7km/L。年1万km走るなら、給油量で年間130Lほど違う計算になります。

N-VANのグレード価格(税込・FF)
G1,498,200円
L1,648,900円
FUN1,900,800円
FUN 特別仕様車 NATURE STYLE2,000,900円
FUN・ターボ2,024,000円
FUN・ターボ 特別仕様車 NATURE STYLE2,124,100円

弱点は2つあります。

ひとつは寝る長さです。公表値の左1,510mmでは、大人ひとりが伸びて寝る1,800mmに届きません。助手席を畳めばさらに前まで使えるはずですが、その寸法は公表されていません。

もうひとつは取り回しです。最小回転半径はFFで4.6m、4WDで4.7m。アトレーの4.2mより0.4〜0.5m大きく、ホイールベースも2,520mmで70mm長くなっています。同じ場所でUターンするなら、アトレーより大きく回ることになります。

アトレー|荷室長1,820mm。後席を畳むだけで足ります

そのまま前後方向に寝たいなら、アトレーです。2名乗車時の荷室長1,820mmは、大人ひとりが伸びて寝る1,800mm前後をぎりぎり満たします。畳むのは後席だけで、助手席をどうするかを考えずに済みます。

最小回転半径4.2mも、軽バンとして小さい部類です。ホイールベースは2,450mmでN-VANより70mm短く、狭い区画の駐車場や路地での切り返しがしやすくなります。

アトレーのグレード価格(税込)
X1,738,000円〜
RS1,859,000円〜
アトレーデッキバン2,101,000円〜

いちばん安いのはN-VANのGで1,498,200円、アトレーのXより約24万円安い数字です。ただしGはNAエンジンで、アトレーはターボしか設定がありません。価格表を見比べるときに注意がいるのは、この条件がそろっていない点です。同じターボで並べ直すと、安いのはアトレーのRSになります。N-VANのFUN・ターボ2,024,000円に対して1,859,000円で、約17万円違います。

クラ

『どうせなら安いほうで』と思って表のいちばん上だけ見てた

シキ

そこはNAのグレードとターボのグレードが同じ表に並んでいます。エンジンをそろえると順番が入れ替わります

クラ

見積もりを取る前に、どっちのエンジンで乗るかを決めておく話だね

アトレーの弱点は、荷室高1,215mmと燃費14.7km/Lです。3.5km/Lの差は、走る距離が伸びるほど燃料代の差として積み上がります。ターボ同士の車両価格の差は約17万円なので、年間の走行距離が長い人ほど、この17万円の差は燃料代の差で早く埋まります。

見に行く前に確かめる順番

最初に決めるのは、車中泊のあいだ何をしているかです。着替えや料理で起きている時間が長いのか、横になっているだけなのか。荷室の高さと長さのどちらを取るかは、ここが決まらないと決まりません。しかも買ったあとには変えられません。

次に、家にある寝具と、いっしょに寝る人の身長を測ります。アトレーなら、その数字が1,820mmに収まるかどうかで答えが出ます。N-VANを候補に残すなら、販売店で助手席を前に倒してもらい、床の前後の長さを自分で測るところまでが確認作業です。カタログに載っていない数字なので、ここを確かめないと、寝られるかどうか分からないまま契約することになります。

最後に、停める場所と年間の走行距離です。狭い区画で切り返す機会が多いか、それとも長い距離を走るか。取り回しと燃費は毎日の話なので、車中泊が年に数回なら、こちらが決め手になることもあります。

エブリイとハイゼットカーゴとの比較は軽キャンパーのベース車両比較をどうぞ。寝られる寸法の考え方は車中泊で寝られる長さは諸元表のどこを見るかも参考になります。