4ナンバーのバンで車中泊|後席を起こしたままで寝られる長さはあるか?
バンの荷室なら、大人がまっすぐ寝られるよね?
785mm。N-VANの荷室は、4名乗車の状態だとこの長さです
4人で出かけたら、荷室では寝られないってこと?起こしたままならね。倒すと1,510mm、助手席も倒すと2,635mm
先に見るのは、広げられない開口部と荷室の幅・高さ、いちばん長いときの長さ人数の調整は、そのあとで考えればいいんだね 中古のバンを車中泊用に探していると、まず目が行くのは後席の後ろに広がる荷室の床です。「ここにマットを敷けば、大人がまっすぐ寝られそう」と考えるところです。
ただ、その床の長さは、座席を何人分使うかで変わります。N-VANなら、後席も使う4名乗車の状態で、荷室の長さは785mmです。
バンを貨物自動車として登録するには、座席をすべて使った状態でも、残る荷室の床面積が客室の床面積より大きくなければなりません。軽自動車のバンにも同じ条件があります。後席を使えば客室が広がり、そのぶん荷室は短くなります。
1ナンバーは普通貨物自動車、4ナンバーは小型貨物自動車です。2つを分けるのは車体の大きさと排気量で、その寸法と排気量がいくつなのかは小型自動車と普通自動車を分ける4つの条件を条文から読んだ記事で扱っています。貨物として満たす条件のほうは、1ナンバーでも4ナンバーでも同じものが適用されます。ハイエース バンのスーパーGLでいえば、全長4,695mm・全幅1,695mmのロング標準ボディが4ナンバー、全長4,840mm・全幅1,880mmのワイドボディが1ナンバーです。
貨物自動車として登録されているバンが満たす5つの条件
国土交通省の「自動車の用途等の区分について」という依命通達(自動車局長が各地方陸運局長などに宛てて、自動車の用途の分け方を示した文書)が、貨物自動車等の条件を定めています。まず物品積載設備(荷物を積む場所。バンなら荷室)の床面積が1m²以上、軽自動車なら0.6m²以上あること。そのうえで、残る4つの条件が求められます。
| 条件 | 普通・小型 | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 物品積載設備の床面積 | 1m²以上 | 0.6m²以上 |
| 荷室と客室の広さ | 乗車設備を最大に利用した状態で、残る荷室の床面積のほうが大きいこと | 同じ |
| 積める重さと乗る人の重さ | 同じ状態で、残る荷室に積み得る貨物の重量のほうが大きいこと | 同じ |
| 物品積卸口 | 縦・横の有効長さがそれぞれ800mm以上、鉛直面への投影面積0.64m²以上 | 縦600mm・横800mm以上、投影面積0.48m²以上 |
| 客室と荷室の間 | 適当な隔壁または保護仕切等を備えること | 同じ |
運転者席の後ろがすべて幌で覆われたトラックや、セミトレーラをけん引する車には、別の条件が定められています。荷室が屋根と側壁で囲まれた箱型のバンで、車検証の分類番号が1か4になっているものは、この表の5項目を満たした状態で登録されています。
車中泊に使うつもりでこの表を読むなら、かかわりが深いのは「荷室と客室の広さ」と「積める重さと乗る人の重さ」の2つです。どちらも「乗車設備を最大に利用した状態」、つまり後席をすべて使った状態で、荷室と客室を比べています。通達の「乗車設備」は、運転者席の後方にある座席を指します(運転者席と横に並んだ座席は、運転者席に含めています)。
床面積は、床では測っていない
「物品積載設備の床面積」という言葉からは、荷室の床を測るように読めます。屋根と側壁で囲まれたバンでは、測る高さが違います。
通達の注記では、室内最高部(室内でいちばん高いところ)と床面との中点を含む車室の断面のうち、床の大部分と平行なものの面積を床面積とします。

床の高さで測らないので、タイヤハウスの張り出しで狭くなった床の幅は、この床面積には反映されません。タイヤえぐりや蓄電池箱が占める面積も、物品の積載に支障がない限り床面積に含まれます。反対に含めないのが、後部トランクと屋根上の物品積載装置の床面積で、ルーフキャリアを付け足しても、この数字は増えません。
マットが敷けるかどうかを確かめるときは、通達の床面積ではなく、カタログの荷室内側寸法を見ます。ハイエース バンのスーパーGL ロング標準ボディは、荷室内側の幅が1,520mm、高さが1,320mmです。N-VANは2名乗車の状態で、幅が1,235mm、高さが1,370mmです。
では、後席を使うと、荷室の長さはどこまで短くなるのでしょうか。
後席を起こすと、そのぶん荷室が短くなる
「荷室と客室の広さ」の条件は、乗車設備を最大に利用した状態で、残った荷室の床面積がそのときの客室の床面積より大きいことを求めています。
客室の床面積は、後席の背もたれより前に荷物を載せない作りの車では、運転者席の背もたれの後端から最後部座席の最後端までの距離に、室内の幅を掛けます。隔壁や保護仕切があるときは、その後端から測ります。後席を後ろへ下げればこの距離が伸びて客室が広くなり、そのぶん荷室が短くなります。
ハイエース バンのスーパーGL ロング標準ボディは、荷室内側の長さが2名乗車で3,000mm、5名乗車で1,855mmです。N-VANは2名乗車で左1,510mm・右1,330mm、4名乗車で785mmです。
N-VANは助手席も倒せて、助手席と後席をどちらも倒すと、助手席の足元からテールゲートまでが2,635mmになります(ホンダの測定値)。後席は左右別々に倒せて、運転席の後ろの席を起こしたまま2名で乗る形も、ホンダは「2名乗車時(助手席&荷室フラットモード)」として載せています。
長さの目安には、キャンピング車の構造要件が大人用の就寝設備に求めている1人あたり1.8m以上が使えます。ハイエースは5名乗車の1,855mmでもこれを超えます。N-VANは助手席を起こした2名乗車の1,510mmでは届かず、1.8mを超えるのは、助手席も倒したときです。
寝床が入るかどうかは、寝るときに後席を起こしておくかどうかで、見る数字が変わります。 起こしたままなら、N-VANの荷室の長さは785mmです。
週末は4人で出かけて、夜は2人が荷室で寝るつもりなんだけど。長いほうの数字で見ていいの?
寝るときに後席を使わないなら、N-VANは2名乗車の状態の左1,510mm・右1,330mmで見られます。後席を起こしたままなら785mmです
4人分の荷物を夜どこに移すかまで決めておかないと、長いほうの数字は使えないんだね
乗る人数が増えると、積める重さが減る
「積める重さと乗る人の重さ」の条件は、乗車設備を最大に利用した状態で、残る荷室に積み得る貨物の重量が、そのとき後席に乗り得る人員の重量より大きいことを求めています。
ここで比べる貨物の重量は、折りたたみ式や脱着式の座席がある車では、最大積載量の基となる重量から、後席をすべて使ったときに後席に乗れる人の重量を引いた値です。脱着式の座席なら、座席そのものの重量も引きます。
N-VANの諸元表は、乗車定員を「2〈4〉名」、最大積載量を「350〈200〉kg」のように2つの値を並べて書いていて、〈 〉内が4名乗車のときの値です。4名乗車にすると、N-VANはどのタイプも最大積載量が200kgになります。ハイエース バンのスーパーGL ロングは、2名乗車で1,000kg、5名乗車で850kgです。
減り方が車種でどう違うかは、バンの乗車定員と最大積載量を比べた記事にまとめています。ベッドキットや棚を積み込むなら、その重さも積み荷の重さに含めて、最大積載量を超えないように数えます。
4人で乗る日は200kgまでか。ベッドキットに寝袋、クーラーボックスまで積んだら、どのくらい残るんだろう
それは積むものの重さを足してみないと出ません。ベッドキットの重さは、N-VANの諸元表ではなく、キットの資料に載っている数字です
じゃあ買う前に聞くのは、キットの重さだね。そこから200kgまでの残りで、ほかの荷物を考える
積卸口は、寸法と面積の両方が条件になる
荷室が屋根と側壁で覆われたバンは、側面か後面に物品積卸口(荷物を出し入れする開口部)を備えていなければなりません。縦と横の有効長さがそれぞれ800mm以上で、しかも鉛直面への投影面積が0.64m²以上あることが条件です。軽自動車は縦600mm・横800mm以上で、投影面積0.48m²以上です。ベッドキットの板や棚を荷室へ入れるときに通すのも、この開口部です。
角に丸みのある開口では、縦も横もちょうど800mmだと、丸みのぶん面積が0.64m²を下回ります。そうした開口では、縦か横の少なくとも一方が800mmより長くなければなりません。
条文は「側面又は後面」と書いているので、両方に要るとは読めません。スライドドアの開口が大きい車も、リアゲートの開口が大きい車も、どちらか一方でこの条件を満たします。
物品積載設備の上方が開放される構造で、開口部の床面への投影面積が1m²以上(軽自動車は0.6m²以上)ある車には、この条件は適用されません。荷台がむき出しの軽トラックや平ボディのトラックが、これに当たります。
客室と荷室の間の仕切りと、2つのただし書き
「客室と荷室の間」の条件は、乗車設備と物品積載設備の間に、適当な隔壁または保護仕切等を備えることを求めています。
この条件には、ただし書きが2つあります。1つは、最大積載量500kg以下の車で、乗る人が座席の背もたれで積み荷から守られる構造と認められるもの。もう1つは、折りたたみ式や脱着式の座席がある車で、座席をすべて使ったときには最大積載量を指定しないものです。
脱着式座席には定義があり、工具などを使わずに簡単に脱着でき、確実に装着できる構造の座席を指します。取り外しに工具が要る座席は、この定義に含まれません。
ハイエース バンのスーパーGL ロングは、2名乗車で1,000kg、5名乗車でも850kgの最大積載量が指定されています。500kgを超えているので1つ目に当たらず、座席をすべて使っても最大積載量が指定されているので、2つ目にも当たりません。
雨の夜に、外へ出ないで荷室から運転席へ移れるかって、けっこう大事なんだけどな
バンについて通達が書いているのは『適当な隔壁又は保護仕切等』までで、仕切りの形は決めていません。車内を通り抜けられるかどうかは、その車に付いている仕切りによります
現車を見に行ったら、荷室から運転席まで、実際に移れるか試してみる
8ナンバーのキャンピング車は、荷室を持たないことが条件になる
キャンピング車として8ナンバーを取ると、ここまでの5つの条件は適用されなくなります。通達は5つの条件を「特種用途自動車等以外の自動車」に当てはめていて、キャンピング車は特種用途自動車に当たるからです。そのうえキャンピング車の構造要件には、「物品積載設備を有していないこと」という条件があります。荷室を荷室のまま残して設備を積み込んだだけの形では、キャンピング車の構造要件を満たしません。
代わりに求められるのが、就寝設備・水道設備・炊事設備と、それを使う場所の床面積です。数値は8ナンバー(キャンピング車)の構造要件を数値で全整理で並べています。必要な就寝設備の数は、乗車定員から逆算します。乗車定員と就寝できる人数が同じ数になるのかは、乗車定員と就寝定員は別物で扱いました。
4ナンバーのまま使うなら、ここまで見てきた5つの条件が引き続き適用され、8ナンバーにするなら、物品積載設備を持たない車にすることになります。
中古のバンを見るときに確かめる順番
開口部の縦横と荷室の幅・高さ、それに座席をいちばん多く倒したときの荷室の長さは、買った時点で決まっていて、あとから広げられません。仕切りの形も、その車に付いているものを現車で見て確かめることになります。
一方、その日に使える荷室の長さと最大積載量は、何人乗るかで変わります。諸元表に2通り書かれている数字(N-VANは〈 〉付き、ハイエースはスラッシュ区切り)のどちらを使うかは、乗る人数と、寝るときに後席を起こしておくかどうかで決まります。
そのため、確かめるのは変えられないほうからです。
- 開口部と荷室の幅・高さ、座席をいちばん多く倒したときの長さが、寝たい寸法とベッドキットに足りているか(カタログの荷室内側寸法と開口部の寸法。載っていなければ現車で測る)
- 仕切りの形と、荷室から運転席まで車内を通って移れるか(現車)
- 何人乗せて出かけ、寝るときに後席を起こしておくか(諸元表の2通りの数字のどちらを見るか)
1つ目の寸法が足りていれば、その日の長さと積める重さは乗る人数で調整できます。乗る人数から先に決めて車を選ぶと、あとで人数を減らしても、開口部や荷室の幅・高さ、いちばん長くしたときの荷室の長さが足りない、ということが起こります。
※本記事の数値は、国土交通省が公開している用途区分通達と、各メーカーの公式諸元表(執筆時点)によります。登録や構造等変更の可否は運輸支局が判断しますので、実際の申請にあたっては最新の通達および運輸支局にご確認ください。